かわら版 2016年秋号
Promega KAWARABAN サポートします。 創薬、がん研究を 発光テクノロジーで プロメガは 二頁、 NanoLuc® ってすごい: 多彩なアプリケーション 三頁、 『ライブセル解析ツール』 エピジェネティック制御タンパク質の 四頁、 発光法によるレドックス細胞アッセイ 五頁、 ADCC 発光レポーターバイオアッセイを用いた 抗 TNF 抗体医薬品および抗ウイルスワクチン の評価 六頁、 RNA を簡便に合成! 今、注目される in vitro 転写システム 七頁、 自動核酸精製装置 Maxwell® RSC Instrument を用いた 肺がんでの臨床応用のアプリケーション 2016年 秋号 プロメガ株式会社 NanoLuc® ってすごい:多彩なアプリケーション ありのままの細胞解析 近年、遺伝子改変やゲノム解析・タンパク質発現解析技術・検出装置の急速な発展により、さまざまな状況下で目的分子の挙動を捉えることができ るようになってきました。さらに、生きた細胞を用いて生理現象を“ありのまま”解析したいというニーズも高まっており、これに応える技術や手法 の開発も活発化しています。これまで発光酵素ルシフェラーゼは感度の高さからレポーター酵素として広く利用されてきました。プロメガではさらに 生命科学研究に有効なツールとして、高感度であると同時に分子量も小さい NanoLuc® を開発しました。ここでは NanoLuc® の特性と、様々なアプリ ケーションへの応用の可能性についてご紹介します。 NanoLuc® の特性 NanoLuc® は深海エビ(トゲオキヒオドシエビ)由来のルシフェラーゼで、 発光レポーターとして最適なパフォーマンスを発揮するために改変され た分子量の小さな発光酵素(19 kDa)です。この NanoLuc® は新規基質 furimazine を用いて、ホタルルシフェラーゼ(Fluc)やウミシイタケルシフェ ラーゼ(Rluc)より約 150 倍明るい高レベルの発光を長時間維持します (図 1)。低分子量・高発光値により、応用可能なアプリケーションが広 がると同時に、少ない分子数で十分な発光シグナルが得られるため、 より生体システムに近い細胞内環境での実験を行うことができます。 非常に高い発光レベル ● ホタルルシフェラーゼ(luc2) よりも 80 倍~ 240 倍のシグ ナル(細胞内発現) ● 高感度:正確な生体内イベン トを検出可能 非常に小さいレポーター分子 (19kDa) ● ホタル / ウミシイタケルシフェラーゼや GFPよりも小さい分子量 ● 遺伝子やタンパク質サイズに制約がある用途にも対応 (例:ウイルスパッケージング、タンパク質融合) 高い安定性 ● 幅広い実験条件に適応(温度、pH 他) ● 化合物ライブラリースクリーニングでの疑陽性を低減 新しいアプリケーションへの応用 発光強度が高く、分子量の小さな NanoLuc® ルシフェラーゼは、従来の 遺伝子発現解析を目的とした Genetic Reporter としてだけではなく、タン パク安定性試験、タンパク間相互作用(PPI;NanoBRET™、NanoBiT™) 等のタンパクレベルでの解析を目的とした Protein Reporter としての利用 も可能です。特に、分子量の小ささは従来のホタルルシフェラーゼにお ける分子量の大きさが問題となる場合に有効です。 “ゲノム編集技術”との親和性も抜群です NanoLuc® は Fluc, RLuc よりも約 150 倍明るいため、低レベル発現での 検出が可能となり、生理的レベルに近い分子濃度でイベントが検出でき る可能性を示唆しています。また、内在レベルで発現する NanoLuc® 融 合体による、ハイスループットスクリーニングにも応用可能です。また、 ゲノム編集技術を用いて、特定疾患パスウェイの研究標的となるタンパ ク質との NanoLuc® 融合体の作製も行われ、内在レベルの発現変化を 感度良く測定することにも成功しています。さらに特定のタンパク質と の NanoLuc® 融合体を発現する改変細胞株も市販されています (X-MAN™ NanoLuc® Reporter Cell Lines, Horizon Discovery)。 CRISPR/Cas9 システムでの活用例 岐阜大学工学部化学・生命工学科 准教授 大橋憲太郎先生 GRP78(78 kDa Glucose-regulated protein)は小胞体 に局在する分子シャペロンで、タンパク質のフォー ルディングや小胞体輸送、カルシウム恒常性の調 節、ミスフォールドされたタンパク質を分解する ためのターゲッティングなどに関係している。大橋准教授のグループは CRISPR/Cas9 system を用いて、HEK293 細胞株ゲノム中の GRP78 の N 末 端 coding region に NanoLuc® をノックインしたセルラインを作製した。 このセルラインを用いて、GRP78 の内在的なプロモーター活性の測定 を行い、各種小胞体ストレス誘発因子に対して応答することを確認した。 NanoLuc® ベースの CRISPR/Cas9 システムは目的遺伝子の内在的なプロ モーター活性の評価に有用なツールであることが示された。 Oh-hashi, Kentaro, et al. “Application of NanoLuc ® to monitor the intrinsic promoter activity of GRP78 using the CRISPR/Cas9 system.” Genes to Cells(2016) お客様 の声 大橋先生の声 従来のホタルルシフェラーゼと比べて非常に高活性を有する NanoLuc® を GRP78 のシグナルペプチド下流に CRISPR/Cas9 system を用いてノックインすることにより、一部は細胞外に放出 され、培養液中の活性でも検出できます。したがって、NanoLuc® をノックインした細胞を 96-well プレート上で一定期間培養した後 に、僅かな培養液を用いるだけでポジティブクローンを選別出来 ます。今回のような場合、従来のように細胞溶解液を調製する必 要がないので簡便なセレクションが可能です。 本研究では小胞体局在性シャペロン GRP78 遺伝子を対象としま したが、ゲノム編集技術と組み合わせることで、興味深い多くの 遺伝子への応用が期待できます。 プロメガ NanoLuc® 検索 プロメガのトランスフェクション 試薬 プロメガではレポーターアッセイ、ゲノム編集実験に最適なトランスフェク ション試薬をご用意しております。 ViaFect™:浮遊細胞や幹細胞由来の細胞株などトランスフェクションが 難しいとされる細胞でも優れた効率を示します。 FuGENE® HD:10,000 報以上の論文実績があり、広範な細胞株に適した非リ ポソーム試薬です。 プロメガクラブ会員には大特価でサンプルサイズをご提供! 関連製品 製品名 サイズ カタログ番号 定価(¥) 特別価格(¥) NanoLuc® 関連製品 Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay/pNL1.1.TK Bundle 1 セット N1521 80,000 40,000 PC Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay/pNL1.1.PGK Bundle 1 セット N1531 80,000 40,000 PC Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay/pGL4.54 [luc2/TK] Bundle 1 セット N1541 80,000 40,000 PC Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay/pGL4.53 [luc2/PGK] Bundle 1 セット N1551 80,000 40,000 PC NanoLuc® ベクター(coincidence vector を除く) 各種 ー 73,000 58,000 PC pGL4 ホタルベクター 各種 ー 73,000 58,000 PC トランスフェクション試薬 FuGENE® HD Transfection Reagent, Trial ※初回限り(1 回のみ) 0.2ml E2313 ー 2,000 PC ViaFect™ Transfection Reagent ※初回限り(1 回のみ) 0.2ml E4983 ー 2,000 PC PC プロメガクラブ対象製品です。 プロメガクラブについては www.promega.co.jp/promegaclub.html をご覧ください。 10 10587MA 3 104 105 106 NanoLuc Firefly Renilla Luminescence (RLU) 150倍の比活性 図 1. ルシフェラーゼ酵素 3 種類 (50 attomoles)からの発光測定 図 2. NanoLuc® の幅広いアプリケーション RE Nluc Nluc Rec Nluc HT シグナル伝達 / 遺伝子調節 Nluc HT Prot Y Prot X DEVD 例:カスパーゼ 3 BRET BRET BRET Nluc Nluc Nluc Nluc Nluc HT BRET Prot Prot Prot タンパク質動態 タンパク質安定性 受容体相互作用 ウイルスパッケージング タンパク質間相互作用 バイオセンサー B バイオセンサー A 2 エピジェネティック制御因子のライブセル“タンパク質間相互作用解析” 酵素活性を持たないタンパク質の解析手法として特にライブセルでの タンパク質相互作用解析は非常に有効な手段です。研究レベルでのタン パク質相互作用解析は FRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer) の系が良く使われますが、細胞自身や薬剤の自家蛍光がバックグラウン ドとなり、十分な定量性が得られません(かわら版夏号 p7)。この問題 を解決するために優れた定量性に定評のある発光アッセイの利点を生 かして、FRET のドナーの蛍光物質をルシフェラーゼにした BRET (Bioluminescence RET)に期待が寄せられました。しかしもともと低い 発光シグナルの一部のエネルギーだけが転移した BRET シグナルは更に 小さく、高感度な装置でも検出が難しい系となってしまいました。 この状況を一変させたのが、プロメガの非常に明るい NanoLuc® を利用 した NanoBRET™システムです。従来の BRET で問題だったシグナルの 低さは NanoLuc® によって改善され(図 1)、また細胞や薬剤のもつ蛍光 の影響がなく、発光法の特長である高い定量性があります。 この NanoBRET™システムを用いることにより、これまで解析が難しかっ た生細胞での全長タンパク質を用いたタンパク質相互作用の解析が可 能になりました。 図 2 にヒストンのアセチル化部位に結合するブロモドメインタンパク質 の一つ、CBP とヒストンの NanoBRET™アッセイ模式図を示しました。 CBP は約 260kDa の巨大なタンパク質であり、従来の方法では全長 CBP とヒストンの相互作用を検出することは困難とされてきました。そのた め CBP のブロモドメイン(BD)のみを使用して CBP -ヒストン結合阻 害剤が探索され、SGC-CBP-30 が見つかったのですが、実はこの化合物 は全長 CBP とヒストンの結合は阻害しないことが分かりました(図 3)。 生体内の CBP はもちろん全長タンパク 質ですので、実際に薬として使えるか どうかはやはり全長タンパク質で評価 することが重要です。また NanoBRET™ システムで新しい阻害剤を評価した論 文もすでに多数報告されています。 エピジェネティック制御因子のライブセルにおける“ 化合物相互作用解析” ところで、セルフリーアッセイで見つけた阻害剤はどのような手法で解 析していますか? IC50 やタンパク質との解離定数(Kd)を測定するだけ でよいのでしょうか?近年、薬剤の有効性に標的タンパクとの結合の非 平衡状態での結合-解離が影響すること、特に Residence time(滞留時 間)が重要な指標となることが明らかになってきました。また、単なる タンパク質との結合・解離速度だけでなく膜透過速度やプロドラッグの 場合は細胞内での代謝速度も合わせて検討する必要があり、ここでも セルフリーアッセイからライブセルアッセイへとニーズがシフトしていま す。ライブセルでの Residence time 測定に有用なのが、BRET を用いた 細 胞 内蛍 光 標 識 化合 物 結 合 試 験(Target Engagement、図 4)です。 Target Engagement では BRET シグナルの増加速度によりタンパク質と化 合物の解離速度が分かります。 図 4 では、HDAC1-NanoLuc® 融合タンパクを発現させた細胞にあらかじ め、SAHA、Mocetinostat, FK228 処理を行い、洗浄後に Tracer (SAHA 誘 導体)を添加して BRET を測定しました。HDAC1 との解離が速ければ BRET シグナルが速く増加します。SAHA は Tracer 添加 20 分後にほぼプ ラトーに達しました。これは Tracer の膜透過時間と一致しており、 SAHA の早い解離を示しています。一方、Mocetinostat は解離が遅いも のとして報告されていますが、BRET シグナルもゆっくりと増加していま す。また、プロドラッグである FK228 は、Mocetinostat よりもさらにゆっ くりとした解離が観察されました。FK228 はがん細胞に対してゆっくり と長く生理活性を示すことが知られており、NanoBRET™の結果もこの 性質に一致したものとなっています。 前回に続き、今回はライブセルでのアッセイに焦点を当てました。エピ ジェネティクス研究は発展がめざましい分野の一つであり、今後も新た なターゲットが続々と見つかってくることでしょう。プロメガも独自テク ノロジーを生かした新たなアッセイを提供し続けます。次なる新テクノ ロジーをお楽しみに! エピジェネティック制御タンパク質の『ライブセル解析ツール』 アカデミア創薬サポートプロジェクト エピジェネティック制御にかかわるタンパク質は、主に DNA やヒストンをメチル化・アセチル化修飾する「ライター」酵素、これらの修飾を除去する「イ レイサー」酵素、そして DNA・ヒストンの修飾部位と結合する「リーダー」タンパク質が知られており、これらが相互作用しながらエピジェネティック な制御機構を支えています。このうち「ライター」と「イレイサー」は酵素であるため、前回ご紹介したような精製酵素アッセイや細胞を用いて活性 調節化合物の探索、解析が 進められてきました(HDAC 阻害剤ボリノスタット [SAHA] など)。一方、酵素ではない「リーダー」タンパク質は解析手法 が少なく、特にライブセルでの解析やスクリーニングに適した方法がありませんでした。本稿ではタンパク質間相互作用を検出する最新の NanoBRET™ 法によるエピジェネティック制御タンパク質のライブセル解析ツールをご紹介します。 プロメガ エピジェネ 検索 図 3. CBP の構造および全長 CBP/ CBP ブロモドメイン-ヒストン結合における阻害剤の効果 図 1. NanoBRET™システムと従来法 BRET の比較 ベクターを導入した細胞内で発現した Nluc 融合タンパク質(FRB-Nluc)と低分子蛍光 618 リガンドが結合した HT(HaloTag® )融合タンパク質(FKBP-HT)が近接すると BRET が起こる(この系ではラパマイシンの添加により FRB: FKBP の相互作用が促進:左図)、 低分子蛍光 618 リガンドはタンパク質発現後に細胞へ添加する細胞透過性の蛍光試薬。 FKBP-YFP と FRB-Rluc8 による BRET システムとのデータ比較(右図)。 Histone H3 or H4 BRET NanoLuc HT CBP Ac K 図 2. NanoBRET™による Histone - CBP 結合検出 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5 7.5 8.5 9.5 A. B. 12399MB Corrected milliBRET Ratio CBP–30 Inhibitor [µM] CBP (Bromodomain) with Histone H3.3 0.0001 0.001 0.01 0.1 1 10 100 IC50 = 1.05µM Corrected milliBRET Ratio CBP–30 Inhibitor [µM] Full-Length CBP with Histone H3.3 0.0001 0.001 0.01 0.1 1 10 100 IC50 = NA IC50 consistent with results from in vitro assays Inhibitor developed against domain alone is ineffective at disrupting interaction of full-length protein 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Nluc : HT-618 Ruc8 : YFP Rapamycin (nM) Signal-to-Background Ratio 0.0001 0.01 1 100 10,000 NLuc HT NLuc FKBP FKBP HT FRB FRB 610nm BRET Rapamycin HT ligand 20 40 60 80 100 120 0 20 40 60 80 100 Time (m) Vehicle SAHA Mocetinostat FK228 Residence Time: HDAC1 Normalized BRET Target Target Target Drug Tracer Luc Luc Saturate w/ test ligand Wash Add Tracer Measure BRET(real time) Luc 今ならエピジェネティクス関連タンパク質を含むペアセット 47 種を特別価格でご提供!(2016 年 12 月 22 日まで) 詳しくは www.promega.co.jp/kawarabancamp/ をご覧ください。 エピジェネティクス関連キット 100 種以上! プロメガでは 100 近いエピジェネティクス関連タンパク 質ペアのアッセイが構築済みなのですぐにアッセイを始 められます(QR コードよりご覧ください)。 ※関連する論文など詳細についてはお問合せください。 図 4. タンパク質と化合物の結合検出、 Residence Time 測定 3Promega KAWARABAN 発光法によるレドックス細胞アッセイ 高次元細胞プロジェクト 好気性生物は酸素を用いた代謝機構により、基質の酸化反応から大きなエネルギーを得ています。その一方で、好気性生物は酸化ストレスに曝され るという宿命を背負っており、進化の過程で様々な防御機構を発達させてきました。細胞内の酸化還元状態のバランスの乱れは、細胞の老化や疾患 発症などにつながると考えられており、たとえば、Navdeep ら(Current Biology, 2014)は H₂O₂ により NFκ B 経路や MAPK 経路の活性化が誘導され 発がんに寄与することや、酸化ストレスが幹細胞の自己複製能や分化に関与していることを述べています。ここでは幅広い研究分野にて注目されて いる細胞内の酸化還元に関与する因子を発光にて測定する技術を紹介します。 発光テクノロジーによる活性酸素種と還元物質の測定 活性酸素種(ROS)である過酸化水素(H₂O₂)は細胞の ROS・酸化スト レスレベルを評価する指標の 1 つです。対して、グルタチオンは細胞内 での還元物質であり、活性酸素種の除去を行っています。プロメガで はこれらの因子を発光にて測定する技術を確立しており、その測定原 理を図 1 に示しました。 発光での測定メリットとして ROS アッセイのハイスループットスクリー ニング(HTS)での比較の例をご紹介します。表 1 に LOPAC-1280 を用 いて、ROS-Glo™ Assay と西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)法とを実 際に比較した結果を示しました。75% 阻害を示す化合物数を比較する と HRP 法では系に影響が見られた化合物が 7.1% もありました。それに 対し、ルシフェラーゼの発光を用いたROS-Glo™ Assayでは0.5%でした。 HRP は発光強度が弱く、発光の減衰が速いなどの欠点があり、さらに HRP に対する阻害効果が偽陽性の原因となるなどの問題点があります。 プロメガの H₂O₂ 測定法では①ルシフェリン前駆体が H₂O₂ とまず反応 する、②化合物の影響を受けにくい改良型ルシフェラーゼ Ultra-Glo™ Luciferase を使用しているなどの工夫がなされており、偽陽性が少なく、 スクリーニングなどの薬効評価に威力を発揮します。 ROS-Glo™ Assay HRP 法 化合物の数 LOPAC に 占める割合(%) 化合物の数 LOPAC に 占める割合(%) スクリーニングに用いた化合物数 1,280 1,280 インヒビター:活性 75% 以下 6 0.5 91 7.1 インヒビター:活性 50% 以下 3 0.2 67 5.2 アクチベター:活性 150% 以上 2 0.2 0 0 以上細胞株レベルでの測定例でしたが、組織レベルでの酸化還元状態 を検討したい場合にはグルタチオン測定法、GSH-Glo™ Assay がお勧 めです。様々な細胞株や組織での測定報告がありますので、詳細はプ ロメガ HP のサイテーションリストをご覧ください。 www.promega.jp/resources/tools/citations/ 発光テクノロジーによる NAD・NADP の測定 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)および、そのリン酸化 型 NADP はともに生体内の酸化還元反応の補酵素として関与する重要 な分子です。これらの分子もまた細胞内の代謝の状態や酸化還元状態 を示す指標の 1 つです。 これまで、ELISA・HPLC などの煩雑な方法での測定がなされてきました が、プロメガではこれらの分子種も簡便に測定できるよう、試薬の添 加のみで測定できるようにデザインし、改良した測定法を確立しました。 図 2 には一例として、NAD/NADH の測定原理を示しました。さらに、作 製したライセートに対して酸やアルカリで前処理を行うことにより、片 方の分子種を分解することで、酸化型・還元型それぞれの量や比率を測 定することも可能です。 最後に ここで紹介した NAD/NADH-Glo™ , NADP/NADPH-Glo™ はかわら版夏号 で紹介したGlucose Uptakeアッセイなどの測定原理の基礎になっており、 この技術をベースに種々の代謝産物の測定法の開発が進められていま す。また細胞株ベースでのアッセイのみならず、組織サンプルやバクテ リアなどの応用例もありますので、詳細については弊社 Web サイトを 参照いただくか、お気軽にお問い合わせください。 プロメガ 高次元細胞プロジェクト 検索 図 1. 活性酸素種と還元物質の測定原理 (上図)H₂O₂ の測定法では、H₂O₂ とルシフェリン前駆体が反応し、ルシフェリンを生成。 H₂O₂ 量を発光シグナルに変換して測定する。 (下図)グルタチオンの測定法では、グルタチオン Sトランスフェラーゼ(GST)を用いて、 ルシフェリン前駆体と還元型グルタチオン(GSH)を反応させ、ルシフェリンを生成。GSH 量を発光シグナルに変換して測定する。 キーポイント 頑強なアッセイ 化合物の影響を受けにくいアッセイデザ インと改良型 Luciferase を使用 簡単な測定プロトコル Add to Measure の簡単 プロトコル 様々な生物種での応用例 哺乳動物細胞株に加え、組織 やバクテリアの例もあり。もちろんマルチプレックスアッセ イにも対応! NAD+ NADH NAD+ NADH NAD+ NADH NAD+ NADH 細胞 (PBS中) 細胞溶解液 細胞溶解剤を添加 NAD+ 測定用 NAD/NADH-Glo™ で NAD+ を測定する NAD/NADH-Glo™ Assay. NADHを測定する NADH測定用 0.4N HClを添加 60°C 15分熱処理 60°C 15分熱処理 室温で10分置き、 Trizma® base を添加 室温で10分置き、 HCl/Trizma® 溶液を添加 NADH Reductase Substrate NAD+ Luciferin Reductase NAD Cycling Product NAD Cycling Substrate NAD Cycling Enzyme Light Luciferin Detection Reagent (Ultra-Glo™ rLuciferase + ATP) (右図)細胞株、組織、菌などのライセートサンプルに前処理を加えることにより、 NAD,NADH(もしくは NADP,NADPH)をそれぞれ分けて測定可能 図 2. NAD/NADH 測定法の原理と応用例 (左図)発光シグナルに変換して NAD/ NADH 量を測定する。測定は試薬を調製し、 添加するのみで 1 時間程度で発光測定が 可能。 CH3 S O O O NO2 S N S N COOH HO GST S N S N COOH Luciferin GSH GS-R Luc-NT Luciferase Light H2 O2 Substrate S N C N O B O O HO S N S N COOH Luciferin H2O2 Luciferase Light 表 1. ROS-Glo™ H₂O₂ と一般的な HRP 法(蛍光)の偽陽性率の比較 10µM H₂O₂ を各 well に加え、LOPAC-1280 を添加した際のシグナルへの影響を、ROSGlo™ Assay と HRP 法を比較した。 関連製品 製品名 測定用途 サイズ カタログ番号 定価(¥) 特別価格(¥) ROS-Glo™ H₂O₂ Assay 過酸化水素(H₂O₂)の測定 10ml G8820 69,000 55,200 特 GSH-Glo™ Glutathione Assay 還元型グルタチオン(GSH)の測定 10ml V6911 69,000 55,200 特 GSH/GSSG-Glo™ Assay 還元型および酸化型グルタチオン(GSH,GSSG)の測定 10ml V6611 90,000 72,000 特 NAD/NADH-Glo™ Assay NAD,NADH の測定 10ml G9071 90,000 72,000 特 NADP/NADPH-Glo™ Assay NADP,NADPH の測定 10ml G9081 90,000 72,000 特 4 特 期間限定プロメガクラブキャンペーン対象製品 ※期間:2016 年 10 月 11 日~ 12 月 22 日 プロメガクラブについては www.promega.co.jp/promegaclub.html をご覧ください。 mTNF α CHO-K1 Traget Cells 抗 TNF α抗体医薬は第一世代の Remicade (Infliximab, EU では 2015 年 2 月に期限切れ、アメリカでは 2018 年 9 月)、Humira (Adalimumab, アメ リカで 2016 年 12 月、EU で 2018 年)がここ数年で相次いでパテント切 れになり、現在バイオシミラー開発競争が激しく繰り広げられています。 Remicade のバイオシミラーは一足先に日本国内でも承認され、すでに 上市されています(インフリキシマブ BS 点滴静注用、日本化薬)。 これら抗 TNF α抗体の作用機序は、可溶性 TNF α(sTNF α)や膜結合型 TNF α(mTNF α)への結合等によりTNF α の生理活性を中和することと されていますが、Remicade や Humira においてはこの他にも mTNF α に 結合することにより TNF α 産生細胞にアポトーシスを誘導する作用や、 抗体依存性細胞傷害(ADCC)や補体依存性細胞傷害(CDC)を引き起 こす作用も報告されており、これらは特にクローン病や潰瘍性大腸炎に おける薬効の一つと考えられています。このためバイオシミラーの承認 申請時にも mTNF αを介した活性の有無を調べるよう求められています が、mTNF α発現細胞株は入手が難しいのが問題点でした。プロメガで はこのニーズに応えて mTNF α安定発現 CHO-K1 細胞を開発し、カスタ ム品での供給を開始しました。 通常 TNF αは膜結合型として発現し、細胞表面でプロテアーゼ(TNFconverting enzyme, TACE)に切断されて sTNF αが放出されます。そのた めプロメガの mTNF 安定発現株では、TNF αを膜上にとどめるため TACE が切断できない mTNF α変異体を使用しました。この細胞株は ADCC Reporter Bioassay のターゲット細胞として使用できます。図 1 に細胞お よ び ア ッ セ イ の 模 式 図 と、Remicade (Infliximab)および Humira (Adalimumab)でのアッセイ結果を示しています。プロトコールも確定し ており、これまで困難だった mTNF αを介する ADCC 活性の測定も抗体 さえあればすぐに結果を出せるようになりました。 Murine Fc γ RIV ADCC Reporter Bioassay インフルエンザのシーズンが近づいてきました。そろそろワクチン接種 する方もいらっしゃるのではないでしょうか?現在のワクチン接種で誘 導される抗ウイルス抗体は主に中和抗体ですが、中和抗体の弱点はウイ ルス抗原がわずかに変異するだけで反応しなくなるため、ほぼ毎年新た にワクチン接種が必要なことです。 実は ADCC 活性を調べたいというニーズは、抗体医薬品だけでなくワク チン開発の分野でも高まりつつあります。ワクチン接種によって産生さ れた抗体の中には ADCC 活性を示すものも含まれており、1970 年代後 半にはすでにこのような抗インフルエンザウイルス抗体の存在が報告さ れていました(① Infect. Immunol. 1978 20: 640–645. ② J. Immunol. 1977 119: 2100–2106. ③ Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1979 76: 4622–4626)。驚 くべきことに、ADCC 活性を示す抗体はインフルエンザウイルスの亜型 に関係なく A 型ウイルス全般と反応し、これに感染した細胞を除去でき ると報告されています(J. Immunol. 2014;193(2):469–475)。このため ADCC 活性を持つ抗体を優先的に誘導できる新しいタイプのワクチン開 発に焦点があてられています。 しかし、このようなワクチンをどうやって見つけたらいいのでしょうか? ワクチン開発にはマウスモデルが使われますが、マウスは血液量が少な いため従来の ADCC アッセイのエフェクター細胞である初代 NK 細胞 (PBMC など)を必要量採取することができません。ここで活躍するのが、 プロメガが開発したマウス ADCC Reporter Bioassayです。ワクチン候補 で免疫したマウスの血清を採取し、マウス ADCC Reporter Bioassayで ADCC 活性の強さを調べれば、効率的に ADCC 活性を持つ抗体を産生 できるワクチン候補を簡単にスクリーニングできます。マウス ADCC Reporter BioassayはヒトADCC Reporter BioassayのEffector cellsを改変し、 抗体と結合する Fc γ受容体をマウスの Fc γ RIV に置き換えたアッセイで す(図 2)。ヒト用キットと同じ簡便なプロトコールでありながら、①マ ウスの in vivo と in vitro の結果をシームレスに解析できる、②ヒトとマウ スでの効果を同じアッセイプラットフォームで比較ができる、という大 きなメリットがあります。 近い将来、インフルエンザワクチンは数年に 1 回接種するだけになるか もしれません。インフルエンザにかかりやすい方は乞うご期待! ここでご紹介した ADCC ベースのアッセイの他にも、プロメガでは抗体 医薬品開発をサポートする画期的な製品を次々に開発しています。次回 の記事もお楽しみに! 今回ご紹介したバイオアッセイについての詳細は弊社まで お問合せください。 ADCC 発光レポーターバイオアッセイを用いた 抗 TNF 抗体医薬品および抗ウイルスワクチンの評価 バイオ医薬プロジェクト 抗体医薬に代表されるバイオ医薬品の研究開発が加速しています。このセクションでは、抗体医薬の研究・評価試験のうち従来法の問題を新たな技 術で克服したアッセイや、従来法では対応できなかった新しいニーズに応えるアッセイをシリーズでご紹介していきます。 第三回目は ADCC Reporter Bioassay の利用例として、抗 TNF α抗体医薬品の評価用 mTNF α CHO-K1 Target Cells、およびマウス ADCC Reporter Bioassay を用いた抗ウイルスワクチン評価についてのお話です。 図 2. 抗インフルエンザ HA ワクチンの ADCC 活性評価 プロメガ 抗体医薬 検索 図 1. mTNF α Target cells でのアッセイ模式図および Infliximab、Adalimumab のデータ ウェブセミナーも要チェック! 以下のタイトルのウェビナーが 7/12、9/27 に開催されました。 ●処理容量を自由に変えられるマグネットビーズ法による 抗体濃縮の効率化 Streamline Your Antibody Enrichment Using Scalable Magnetic Bead-Based Chemistries ●免疫療法を加速させる免疫チェックポイントバイオアッセイ。 Immune Checkpoint Bioassays Power Combination Immunotherapy 以下よりウェビナーの記録やファイル、今後の予定をご覧いただけます。 コラム Promega Webinars 検索 www.promega.jp/resources/webinars/ HA Transfected Target cells Y = NFAT-RE-luc mFcγRIV or hFcγRIIIα Anti-HA stem Ab engineered Jurkat effector cells HA Glo mTNFα CHO-K1 Target cells Y = NFAT-RE-luc FcγRIIIα anti-TNFα engineered Jurkat effector cells Glo mTNFα 0 2.0×10⁵ 4.0×10⁵ 6.0×10⁵ 8.0×10⁵ 1.0×10⁶ Adalimumab Bioluminescence(RLU) LOg10[lnfliximab],g/ml Infliximab -10 -9 -8 -7 -6 -5 0 2.0×10⁵ 4.0×10⁵ 6.0×10⁶ Bioluminescence(RLU) LOg10[adalimumab],g/ml -11 -10 -9 -8 -7 -6 5Promega KAWARABAN ファージ RNA ポリメラーゼベース(T7 /SP6)の in vitro 転写システムで合成された RNA は in vitro 翻訳やトランスフェクション、マイ クロインジェクションによるタンパク質発現実験やウィルス RNA 実験などに利用されてきました。近年では iPS/ES 細胞のリプログ ラミングや分化誘導の実験やゲノム編集におけるガイドとしてさらに様々な用途に用いられています。 In vitro 転写は T7 や SP6 RNA プロモーターを有するベクターがあれば比較的簡単に RNA を大量調製することができます。また in vitro 転写反応にキャップアナログを付加することで翻訳の効率が飛躍的に向上します。プロメガの RiboMAX™ システムはこれまで に 1,000 件以上の利用実績のある信頼された RNA 合成システムです。 RNA を簡便に合成! 今、注目される in vitro 転写システム ◀ PureYield™ RNA Midiprep System で精製した合成 RNA 各サンプルより 1µl を電気泳動 (1.2% アガロースゲル)した。 添加した RNA のほとんどを回 収した。A:精製前の転写反応 液(+DNase 処理後)。 B: 精製後の溶出液サンプル。 RNA合成反応のタイムコース▲ 27.3kb HcoV cDNA を含むベクターをテンプレート として、T7 RiboMAX™ Express Large Scale RNA Production を用いて RNA 合成した。 10min, 20min, 30min, 1h, 2h 後のサンプルを 1% アガロースゲルで電気泳動した。 ▲ Vac-Man® による PureYield™ RNA Midiprep System の吸引処理 RNA 合成反応液量と RNA 収量の関係 RNA合成反応溶液1mlから最大5mgRNAのクリーン アップが可能 アプリケーション紹介 mg オーダーの RNA 合成とクリーンナップ RiboMAX™ Large Scale RNA Production System In vitro 転写反応により合成された RNA にはフリーのヌクレオチド、タンパク質、DNA などが含まれており、 下流の実験を妨げる可能性があります。近年は iPS や ES 細胞へのトランスフェクションを行うために 1 度に多くの RNA を必要とするケースが多くなりました。RiboMAX™ Large Scale RNA Production System に よる大量の RNA 合成と PureYield™ RNA Midiprep System による RNA 精製により mg レベルの高純度な RNA を取得することができます。PureYield™ RNA Midiprep System は 200base から 20kb のインタクトな RNA を精製することができるシリカメンブレン技術を採用したキットでフェノール:クロロフォルム抽出 やアルコール沈殿も不要です。in vitro転写反応を標準的な 20µl 反応から100–1,000µlにスケールアップし、 PureYield™と組み合わせることで大量の RNA 合成と精製を行えます。 また、Vac®-Man Manifold (吸引装置)を用いればより簡便・迅速に RNA をクリーンナップすることが出 ます。 詳細については以下をご覧ください。 www.promega.jp/resources/pubhub/purify-rna-transcribed-in-vitro-using-the-pureyieldrna-midiprep-system/ CRISPR/Cas9 で利用する sgRNA の合成にも利用いただけます! Wei W, Xin H, Roy B, Dai J, Miao Y, Gao G (2014) Heritable Genome Editing with CRISPR/Cas9 in the Silkworm, Bombyx mori. PLoS ONE 9(7): e101210. 長鎖 RNA のハイスピード 合成 T7 RiboMAX™ Express Large Scale RNA Production System in vitro 転写は RNA ウイルスゲノムを合成するための最も一般的な方法の 1 つであり、現在ワクチン開発 などに応用されているリバースジェネティクス法は in vitro で完全長 RNA の合成をベースとして確立され ました。しかし、非常に長いゲノムを有する RNA ウイルスのゲノム RNA の合成は非常に困難です。T7 RiboMAX™ Express Large Scale RNA Production System は従来の RiboMax™ よりも短時間で効率的に RNA を合成することができます(ただし、キャップの付加には推奨しません)。T7 RNA ポリメラーゼプ ロモーターおよび完全長 HCoV cDNA 27.3kb を含むワクシニアウイルスベクターより T7 RiboMAX™ Express Large Scale RNA Production System を用いて in vitro 転写反応を 10 分から 2 時間行い 27.3kb の 長鎖 RNA を合成しており、10 分でも一定量の RNA が得られています。 詳細については以下をご覧ください。 www.promega.jp/en/resources/pubhub/enotes/t7-ribomax-express-generation-of-27kbin-vitro-transcripts-in-minutes/ 関連製品 製品名 サイズ カタログ番号 定価(¥) 特別価格(¥) RiboMAX™ Large Scale RNA Production System-SP6 50 回分 P1280 40,000 32,000 特 RiboMAX™ Large Scale RNA Production System-T7 50 回分 P1300 40,000 32,000 特 T7 RiboMAX™ Express Large Scale RNA Production System 50 回分 P1320 50,000 40,000 特 PureYield™ RNA Midiprep System 10 回分 Z3740 17,000 13,600 特 50 回分 Z3741 80,000 64,000 特 特 期間限定プロメガクラブキャンペーン対象製品 ※期間限定:2016 年 10 月 11 日~ 12 月 22 日 プロメガクラブについては www.promega.co.jp/promegaclub.html をご覧ください。 6 個々の患者の遺伝的な違いなどを踏まえながら、患者ごとに最適な治療を施す「テーラーメイド医療」が広く受け入 れてきています。分子標的薬の奏功に関わる遺伝子変異の研究データは長年にわたり蓄積され、薬効に関連する遺 伝子解析を事前に行うことで、患者ごとに薬剤の奏功を診断できる「コンパニオン診断」も普及してきました。また、 近年では医薬品とともにコンパニオン診断薬が同時に販売されるケースも増えています。 プロメガの Maxwell® RSC Instrument は、細胞診検体、FFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋切片)、末梢血など様々 な臨床検体からのゲノム DNA や total RNA の精製にご利用いただいています。 その中から、自治医科大学 呼吸器内科学部門 萩原教授より、肺がんでの臨床応用のアプリケーションについてご説 明いただきました。 自動核酸精製装置 Maxwell® RSC Instrument を用いた 肺がんでの臨床応用のアプリケーション Step1:検体を 2 つに 分ける Step1:遠心分離 Step2:血漿を保存 血液採取 検体採取 Step2:検体を遠心、RNA 保存液 を加え、細胞を 4℃または -20℃で保存 Maxwell® RSC Instrument で ccfDNA を抽出 NGS Step3:検体中に癌 細胞がある ことを確認 図 2. 細胞診検体からのゲノム DNA および total RNA 抽出のスキーム 気管支鏡で採取される気管支洗浄液,気管支擦過液,さらに胸水, 髄液などからも良好な検体が得られる.検体中の癌細胞の病理 学的確認は重要である。少量の血漿より ccfDNA を抽出・分析で きれば患者の負担の少ない医療につながる。 自治医科大学 内科学講座 呼吸器内科学部門 教授 萩原弘一先生 イントロダクション: 分子標的薬が肺癌臨床に導入され 10 年余になる。患者検体中の遺伝子変異を検索することで、薬剤の抗腫瘍効 果を予測することが可能なため、臨床検体での遺伝子変異検索は日常的な手技となった。遺伝子変異を検索する ために、患者から採取される癌検体は多種にわたるが、組織検体・細胞診検体・血漿検体を主たる検体として取 り扱っている。組織検体が標準とされるが、組織検体を全患者から採取するのは容易でない。 たとえば、初発肺癌が肺の末梢に発生した場合、内視鏡による擦過細胞検体が重要なサンプルになる。また、肺 癌が血行性に脳など深部臓器に転移した場合(図 1)、頭蓋内のため、組織を採取することは困難であり、ccfDNA が転移巣の遺伝子変異を知る唯一のサンプルになる。 これらの事例のように、すべての肺癌患者に適切な治療を行うために、どのような種類のサンプルからでも遺伝 子検査が行えるようにしたいと考えている。 Maxwell® RSC Instrument とキットの利用法: 我々は,臨床で使用されている全ての分子標的薬の標的遺伝子を、次世代シークエンサーで検索する包括的遺伝子変異検査システム(MINtS システム) を開発している。患者から採取しやすい細胞診検体を用いて、すでに 700 検体を処理し、データベース化を行っている。この解析において、ゲノム DNA および total RNA の抽出は、Maxwell® RSC instrument とそのキットで行っている。当初、臨床検体からの total RNA の抽出は困難と考えていたが、 検体採取直後に検体を遠心し、RNA 保存液中で保存し、Maxwell® RSC simplyRNA Cells Kit で total RNA を抽出したところ、ほぼ 100% の患者で良好な 品質の total RNA が得られ驚いている.同様に、Maxwell® RSC Cell DNA Purification Kit を用いたゲノム DNA 抽出においても、安定的に良質なゲノム DNA を得ることができている。当科において、煩雑で根気の必要なゲノム DNA および total RNA 抽出に Maxwell® RSC instrument は欠かせないツール となっている。 今後の展開: 細胞診検体で良好な成績を上げている MINtS システムを、ccfDNA にも応用する検討を始めている。ccfDNA の抽出にも Maxwell® RSC instrument を用 いているが、用手的に市販の ccfDNA 抽出キットを用いた場合の数倍の収量があり、DNA 品質も良好なことは嬉しい誤算であった。患者から採取す る血漿量を減らせることは、患者に優しい医療を提供するために重要である。今後、ccfDNA のさらなる臨床応用を目指し、研究を進めていきたい。 関連製品 製品名 サイズ カタログ番号 定価(¥) Maxwell® RSC Instrument 1 台 AS4500 2,800,000 Maxwell® RSC simplyRNA Cells Kit 48 回分 AS1390 39,000 Maxwell® RSC Cell DNA Purification Kit 48 回分 AS1370 41,000 Maxwell® RSC ccfDNA Plasma Kit 48 回分 AS1480 96,000 図 1. 肺癌多発性脳転移 肺癌の多発性脳転移患者の頭部 CT 白くリング状に映し出された部分が 脳転移病巣。 Step4: Maxwell® RSC Instrument で DNA, RNA を抽出 MINtS システム 将来的な展望(低侵襲) 現在の解析の流れ www.promega.co.jp/rentamax 機器貸出プログラム RentaMAXで 体験してみませんか? 7Promega KAWARABAN 日本分子生物学会年会 バイオテクノロジーセミナー(ランチョンセミナー)のご案内 プロメガの最新の発光技術をご紹介するセミナーを開催いたします。 “発光アッセイテクノロジーによる細胞内代謝産物の高感度測定および新規 PCA テクノロジー” プログラム No.: 2BT16 日付: 12 月 1 日(木) 11:55 ~ 12:45 会場:第 16 会場(パシフィコ横浜 会議棟 5F 501) ●細胞内エネルギー代謝の高感度モニタリングを可能にする新しいアプローチ がんや糖尿病など様々な疾患において細胞内の代謝経路が大きく変化することが知られており、代謝産物や代謝酵素を分析するためのアッセイは標準また は疾患状態下に細胞内で要求される代謝を理解するための強力なツールです。がん研究などの分野で注目されている重要な細胞内代謝物(例:グルコース、 乳酸、グルタミン、グルタミン酸および NAD(P)/NAD(P)H)を高感度に検出する発光アッセイ法をご紹介し、より精度・情報量を得るためのマルチプレックスアッ セイの利点についてもお話しいたします。 ●新規 タンパク質断片相補アッセイ HiBiT™テクノロジー 従来のホタルルシフェラーゼ(60KDa)と比較して小さく(19kDa)、明るい(100 倍以上)NanoLuc® はこれまで利用されてきたレポーターアッセイだけでなく 細胞内分子間相互作用定量システムとしてその用途を広げてきました。細胞内分子間相互作用に利用された親和性の低い NanoLuc® の C 末短鎖ペプチド SmBiT と残りの LgBiT からなるタンパク質断片相補アッセイ(PCA)をさらに発展させ、高親和性の HiBiT-LgBiT ペアを作成することによりあらたな利用法が 期待できます。本セミナーでは、HiBiT を用いた新規 PCA をそのユニークなアプリケーションと合わせてご紹介いたします。 第 39 回 これで吸引法がすぐできる! 吸引法スタートアップセットキャンペーン ポンプだけ買うより安い 大好評につき期間延長 2016 年 12 月 22 日 まで セット 1 ゲルからの切り出し &PCR 産物精製セット (カタログ番号 JKC003) 試薬として Wizard® SV Gel and PCR Clearn-Up System (50 回分)を含みます。 その他ゲル切り出し用グッズ(x-tracta ™ Gel Extractor 25 個)、吸引装置用小物 Vacuum Adapter(20 個)が付属します。 通常価格 ¥161,000 ¥70,000 セット 2 プラスミド ミニプレップセット (カタログ番号 JKC004) 試薬として Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System +Vacuum Adapters(50 回分)を含みます。 通常価格 ¥155,000 ¥70,000 セット 3 プラスミド ミディ& マキシプレップセット (カタログ番号 JKC005) 試薬は PureYield ™ Plasmid Midiprep System(4 回分)、PureYield ™ Plasmid Maxiprep System(2 回分)が含まれます。 その他吸引装置用小物 Eluator ™ Vacuum Elution Device(4 個)が付属します。 通常価格 ¥178,000 ¥80,000 ポンプ:¥90,000 試薬:¥13,000~ 吸引装置:¥51,000 超お買得 ! 遠心法 遠心機へ複数回の出 し入れが必要 ×3 吸引法 セットは 1度で OK 吸引法はより簡便、迅速です! テクニカルサービス ● Tel. 03-3669-7980 / Fax. 03-3669-7982 ● E-Mail : prometec@jp.promega.com PK1610-01B 販売店 日本語 Web site:www.promega.jp プロメガ株式会社 本 社 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町14-15 マツモトビル Tel. 03-3669-7981/Fax. 03-3669-7982 大阪事務所 〒532-0011 大阪市淀川区西中島6-8-8 花原第8ビル704号室 Tel. 06-6390-7051/Fax. 06-6390-7052 ※製品の仕様、価格については2016年10月現在のものであり予告なしに変更することがあります。