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かわら版 2017年春号

Promega KAWARABAN サポートします。 創薬、がん研究を 発光テクノロジーで プロメガは 二頁、 T細胞活性化バイオアッセイ プライマリー細胞不要! 三頁、 新たなタンパク質消化法 タンパク質の部分変性を回避! 四〜五頁、 代謝物質をプレートリーダーで高速解析! 六頁、 RT-qPCR + レポーターアッセイで 1 + 1 = 3 !? 七頁、 Maxwell 野外トランスクリプトーム研究を支える ® RSC 自動核酸精製装置 2017年 春号 プロメガ株式会社 第四回目は「T Cell Activation Assays(T 細胞活性化アッセイ)」の お話です。 ①そもそも T Cell Activation とは? PD-1/PD-L1 チェックポイント阻害に代表されるがん免疫療法では、T 細 胞活性化を抑制する機構の解除を目的としています。またがん免疫 チェックポイント阻害に続くターゲットとして、積極的に T 細胞活性化 を起こすパスウェイの活性化に期待が寄せられています。 ところで、そもそも T 細胞活性化(T Cell Activation)とはどのような現 象をさすのでしょうか?詳しい説明は免疫学の教科書に譲りますが、非 常にシンプルに定義すると「抗原の T 細胞受容体(TCR)刺激により IL-2 が産生されること」と言えます。この TCR から IL-2 産生(= IL-2 プ ロモーター活性化)につながるシグナル経路は複数ありますが、重要 なものの一つが NFAT 経路です。カルシウムシグナルの転写因子として 有名な NFAT は Nuclear factor of activated T-cells の略であり、もともと T 細胞活性化に深い関わりのある分子なのです。IL-2 プロモーターには NFAT シグナルを受け取る NFAT-RE とそれ以外のシグナル経路の刺激を 受け取る領域があり、NFAT 経路は主に TCR/CD3 複合体を介して活性 化され、TCR の co-receptorである CD28 を介したシグナルはそれ以外 の領域を活性化することが分かっています。このメカニズムを再現した 製品 T Cell Activation Bioassays では、主に TCR/CD3 経路の解析に使え る NFAT レポーターを組込んだタイプ(図 1A)と、CD28 など他のシグ ナル経路の解析にも使える IL-2 プロモーターのレポーターを組込んだ タイプ(図 1B)の 2 つを用意しました。 この 2 つの使い分けは、解析対象シグナルが NFAT シグナル以外の経 路に関与するかどうかをもとに考えます。例えば TCR/CD3 経路をブロッ クする PD-1/PD-L1 の解析には NFAT レポータータイプが使えますが、 CD28 経路をブロックする CTLA-4 の解析には IL-2 プロモーター全長を 持つ IL-2 レポータータイプが必要です。PD-1/PD-L1 のようにどちらも 使える場合はシグナルが強い NFAT レポータータイプが使いやすいで しょう(図 2)。 ② T Cell Activation Bioassay アプリケーション Anti-CD3 といった普通のモノクローナル抗体による T 細胞活性化の解 析はもちろん、Abatacept(CTLA-4 R と IgG-Fc のキメラタンパク質)の ような遺伝子組換え融合タンパク質や、Blinatumomab(CD3 と CD19 に 結合する二重特異性抗体)などの評価に使用したアプリケーションもあ ります(技術ポスター:www.promega.co.jp/asy_search.html より“二重特 異性抗体”で検索)。 しかしこのような使い方では、Jurkat がもともと持っている分子を介し たアッセイしかできません。Jurkat が持っていない因子や変異遺伝子の 解析などにも幅広く使いたい。そんな声に対応するため、実はこのアッ セイ、細胞増殖権利付きモデル(Cell Propagation Model, CPM)をご購 入いただければ自由に細胞を改変できるのです。つまり自分のターゲッ トとなる受容体を発現させたり、疾患原因となる遺伝子を欠損させた り、プローブとなるような分子を組込んだりすることで、自由にアッセ イをデザインできるようになりました。これは今までのプロメガのバイ オアッセイとは大きく違う特長です。細胞を改変したアッセイの一例と して、キメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor, CAR)発現 T 細胞 (CAR-T)アッセイをご紹介します。 CAR は腫瘍抗原に特異的なモノクローナル抗体可変領域の軽鎖(VL) と重鎖(VH)を直列に結合させた単鎖抗体(scFv)を N 末端側に、 CD3 ζ鎖を C 末端側に持つキメラタンパク質の総称です(図 3)。CAR を 発現させた T 細胞は scFv 領域で腫瘍抗原を認識した後、その認識シグ ナルを引き続き CD3 ζ鎖を通じて T 細胞内に伝達します。さらに T 細胞 活性化を増強するため、scFv と CD3 ζ鎖の間に共刺激分子(CD28、 4-1BB のドメイン)を組み込んでいます。図 3 は CAR の構造と CAR 発 現 NFAT エフェクター細胞でのアッセイデータです。 今回ご紹介した T Cell Activation Bioassay は ADCC Reporter Bioassay をは じめ、多くのプロメガバイオアッセイのベースとなったアッセイです。こ のアッセイ、他のバイオアッセイとは違って細胞増殖権利付きモデル(Cell Propagation Model, CPM)をご購入いただければ、お好きなタンパク質 を組込んだり、逆にノックアウトしたりと自由に改変できる点も見逃せ ません。次々出てくる免疫療法ターゲットをいち早く解析するためにも、 アッセイ構築ベースとしてラボに常備いただきたい製品です。 プライマリー細胞不要! T 細胞活性化バイオアッセイ バイオ医薬プロジェクト 抗体医薬に代表されるバイオ医薬品の研究開発が加速しています。このセクションでは、抗体医薬の研究・評価試験のうち従来法の問題を新たな技 術で克服したアッセイや、従来法では対応できなかった新しいニーズに応えるアッセイをシリーズでご紹介していきます。 プロメガ 抗体医薬 検索 図 1. T Cell Activation Bioassay のアッセイ原理 図 2. 2 つのタイプの使い分け 図 3. 抗 CD19 または抗 CD20 キメラ抗原受容体(CAR)構造と T Cell Activation Bioassay データ 左:CAR の構造。 右:TCR/CD3 Effector Cells(NFAT)に抗 CD19-CAR または抗 CD20-CAR ベクターを一過性に 導入し、Raji 細胞と反応させた。導入した発現ベクター量依存的にシグナルが得られている。 13791M Glo A TCR/CD3 Effector Cell (NFAT) TCR CD3 CD3 CD28 Glo TCR/CD3 Effector Cell (IL-2) NFAT-RE Luciferase TCR CD3 CD3 CD28 IL-2 promoter Luciferase A. B. Signal Linker CD19/CD20 scFv Ab CD28 Linker 4-1BB CD3ζ scFv Spacer Intracytoplasmic Transmembrane Ectodomain Endodomain VH VL 0.0E +00 2.0E +05 4.0E +05 6.0E +05 8.0E +05 1.0E +06 1.2E +06 Bioluminescence (RLU) αCD19-CAR : Carrier 10:0 αCD19-CAR : Carrier 3.3:6.6 αCD19-CAR : Carrier 1:9 αCD19-CAR : Carrier 0:10 αCD20-CAR : Carrier 10:0 αCD20-CAR : Carrier 3.3:6.6 αCD20-CAR : Carrier 1:9 αCD20-CAR : Carrier 0:10 Ratio of CAR DNA to Carrier DNA TCR/CD3 (NFAT) Raji No Raji NFAT-RE Luciferase PD-L1 or PD-L2 Anti-PD-L1 or Anti-PD-L2 Anti-PD-1 PD-L1 or PD-L2 aAPC/CHO-K1 Cells TCR Activator TCR TCR Activator TCR IL-2 Promoter Luciferase CD80/86 CD28 Anti-CTLA-4 aAPC/Raji Cells PD-1 Effector Cells (Jurkat) CTLA-4 Effector Cells (Jurkat) PD-L1 CTLA-4 関連製品 製品名 カタログ番号 価格(¥) (NFAT) J1621 85,000 T Cell Activation Bioassay (NFAT) 5X J1625 385,000 (NFAT), Propagation Model J1601 お問合せ下さい (IL-2) J1651 85,000 T Cell Activation Bioassay (IL-2) 5X J1655 385,000 (IL-2), Propagation Model J1631 お問合せ下さい 2 第五回目は「ペプチドマッピング」のお話です。 バイオ医薬品の多くが抗体やホルモンなどのタンパク質製剤です。タン パク質製剤の品質管理ではタンパク質一次構造の解析が重要項目の一 つであり、この解析法の一つにペプチドマッピング(ペプチドマップ法) があります。ペプチドマッピングとは、タンパク質を化学的または酵素 的に消化してペプチド断片化し、ペプチド単位で検討する方法です。ア ミノ酸配列をはじめとする様々な情報が得られるため、特に酵素消化 による断片化プロトコールはバイオ医薬品の品質評価法として広く使用 されており、アメリカ、EU、日本の 3 者間で国際調和が検討されてい るテーマの一つです。 ただし現状では解決すべき問題もあります。そのうちの一つがタンパク 質分解中にアミノ酸残基の脱アミド化やジスルフィド結合スクランブ リングといった変性が起こってしまうことです。これらの問題はタンパ ク質品質評価を困難にさせ、長い間タンパク質解析担当者を悩ませて きました。この問題を解決すべく、プロメガは脱アミド化やジスルフィ ド結合スクランブリングを最低限に抑えられるタンパク質酵素消化シス テム AccuMap™ Low pH Protein Digestion kit を開発しました。 ①タンパク質脱アミド化の抑制 タンパク質が脱アミド化されると、主にアスパラギン残基がアスパラ ギン酸またはイソアスパラギン酸に変換されます(図 1 左)。この反応 が起きると、もともとアスパラギン酸だったのか、サンプル調製中に変 換されたのか見分けがつかなくなり、アミノ酸配列決定に大きな影響 を与えます。この脱アミド化はアルカリ性条件で起こりやすいため、ア ルカリ性条件で反応させるトリプシン消化ステップが原因の一つでし た。脱アミド化を最低限に抑えるためには酸性条件下でトリプシン処理 すればよいのですが、酸性ではトリプシン活性が低下してしまい断片化 が不十分になるジレンマがありました。プロメガはこの問題を解決する ため様々な検討を行い、酸性条件下ではトリプシンのリジン残基切断 効率のみが低下し、アルギニン残基の切断活性には影響がないことを 突き止め、酸性条件下でも活性を保つ特別な Lys-C と組合せることに より脱アミド化を起こさず効率よくペプチド断片化できる手法を開発し ました(図 1 右)。 ②ジスルフィド結合スクランブリングの抑制 脱アミド化と並んで大きな問題となっているのがジスルフィド結合スク ランブリングです。 ジスルフィド結合は適切な三次元構造を確立・維持するのに重要であり、 タンパク質製剤などの機能維持に非常に重要です。このためジスルフィ ド結合の位置を決定することはタンパク質構造解析上重要な項目です。 しかし、ペプチド断片化処理ステップにおいては、ネイティブなジスル フィド結合が開裂するだけでなく、しばしば本来とは異なる位置で結合 を形成してしまいます。これがジスルフィド結合スクランブリングと呼 ばれる現象であり、タンパク質のシステイン残基数が増加するにつれて 飛躍的に解析が困難になります。たとえばシステイン残基 8 個を含む タンパク質の場合、対を形成しうるジスルフィド結合の組合せが計 105 個あります。抗体医薬品としては最も多いヒト IgG1 やヒト化 IgG1 には ジスルフィド結合を形成しうるシステイン残基が 28~32 個あると言われ ており、組合せはより複雑になります。 ジスルフィド結合スクランブリングもアルカリ性条件で起こりやすいた め、脱アミド化抑制と同じく酸性条件でサンプル処理すれば大幅に抑 制できます(図 2)。 ③酸化防止およびその他の条件検討 脱アミド化、ジスルフィド結合スクランブリングに次いで、メチオニン 残基の酸化もペプチドマッピング解析に悪影響を与えます。プロメガで は様々な脱酸素剤を検討し、もっとも酸化防止効果が高かったものを Oxidation Suppressant としてキットに添付しています。 また酵素反応条件を酸性に最適化するため、タンパク質変性ステップ や還元アルキル化ステップの条件もすべて最適化しており、ペプチドマッ ピング解析サンプル調製全ステップをカバーするプロトコールを開発し ました。解析したいタンパク質と AccuMap™ Low pH Protein Digestion kit だけ用意すれば、ペプチドマッピングの悩みは解決します!お困りの方 はぜひ一度お試しください。 抗体の構造解析に必須の IdeS や IdeZ プロテアーゼはご存知ですか ? タンパク質の部分変性を回避! 新たなタンパク質消化法 バイオ医薬プロジェクト 抗体医薬に代表されるバイオ医薬品の研究開発が加速しています。このセクションでは、抗体医薬の研究・評価試験のうち従来法の問題を新たな技 術で克服したアッセイや、従来法では対応できなかった新しいニーズに応えるアッセイをシリーズでご紹介していきます。 プロメガ 抗体医薬 検索 図 1. 脱アミド化メカニズム(左)と Low pH digestion による脱アミド化抑制(右) 図 2. ジスルフィド結合スクランブリング 関連製品 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) AccuMap™ Low pH Protein Digestion kit ー ー お問合せ下さい Rapid Digestion Kit – Trypsin 100 µg VA1060 35,000 Rapid Digestion Kit – Trypsin/Lys-C 100 µg VA1061 53,000 アスパラギン酸 アスパラギン 元のペプチド 脱アミド化ペプチド 脱アミド化 されない 従来法 Low pH digestion Low pH digestion による IgG 脱アミド化抑制 イソアスパラギン酸 スクシンイミド中間体 スクランブル化 S-S 結合 TPEVTCVVVDVSHEDPEVK SFNRGEC スクランブル化 S-S 結合 スクランブル化されない 従来法 Low pH digestion Cys265(重鎖):Cys213(軽鎖) 短時間でも優れた消化を示す Rapid Digestion Kit サンプルが届いたら、とにかくすぐに結果がほしい!という方には Rapid Digestion Kit がお勧めです。 サンプルを化学的に変性させるのではなく、熱変性させることにより大 幅な時間短縮が可能になりました。これまで一晩かかっていた酵素消化 ステップがたったの 30 分で終了します! 図 3. Rapid Digestion Kit によるインシュリンの消化 アルカリ性 本来の S-S 結合 S-S 結合スクランブリング スクランブル化 した S-S 結合 ※ IdeS や IdeZ はかわら版 2016 年夏号をご覧ください▶ http://www.promega.co.jp/pdf/kawara1607_p2.pdf 3Promega KAWARABAN 代謝物質をプレートリーダーで高速解析! 細胞ビックバン – 高次元細胞プロジェクト 細胞は周囲を取り巻く環境に適応するために細胞内のシグナル経路や代謝経路を変化させ、生存・分化・増殖といった運命決定を行っています。近 年では癌細胞や細胞分化の過程でエネルギー代謝に変化が現れることが明らかとなり、創薬や再生医療の分野で新たな標的としてエネルギー代謝 が注目を集めています。プロメガでは細胞の多様な応答性を細胞内外の酵素や代謝物を指標として簡便、高感度に測定するアッセイ技術を数多く開 発してきました。今回はエネルギー代謝の主要なマーカーであるグルタミン、グルタミン酸、グルコース、乳酸を高感度な発光法で検出できる新たな アッセイシステムをご紹介いたします。 エネルギー代謝アッセイへの注目の高まり 幹細胞はその多能性を維持するために、解糖系に依存した代謝特性を 示す一方、分化段階が進むにつれてミトコンドリアでの酸化的リン酸化 の活性が高まり、代謝経路が移っていく事が知られています (Int. J. Mol. Sci. 2016, 17, 253)。昨今、がん領域で注目を浴びている免疫系におい ても、代謝経路の変化はホットなトピックであり、T 細胞の分化の際に は解糖系からミトコンドリアでの代謝への変化が起きるといわれていま す (Nature Reviews, 2016, 16, 553)。 また代謝産物がエピジェネティックな制御に関与したり、脳・神経組織 のように代謝産物が神経伝達物質として働くことも知られています (Cell Metabolism, 2016, 23, 27-47、Neuron, 2015, 86, 883-901)。 細胞周囲の代謝産物量の変化、細胞内の代謝経路の評価は今後、重要 なアッセイの1つになっていくでしょう。 発光でのエネルギー代謝産物の測定 これまで、生体反応に関わっている様々な代謝産物を解析するには煩 雑な MS 解析、HPLC、RI などの技術が必要となり、ボトルネックとなっ ていました。 このような背景を受けて、プロメガでは発光法でエネルギー代謝産物 を測定する技術を開発しています。図1にはグルコース・乳酸・グルタミン・ グルタミン酸の測定原理の概要を示しています。各測定対象に特異的 なデヒドロゲナーゼがルシフェリン前駆体を還元することにより発光反 応に必要なルシフェリンを生成するため、各産物の濃度に比例した発 光を生じます。発光シグナルはルミノメーターで簡便に測定できるため、 高価な機器の導入や煩雑な準備を行う必要はありません。また特殊な 前処理を行う必要はなく、試薬の添加・混合のみで測定することがで きます。加えて、この技術は細胞内の測定だけではなく、細胞外(培養 上清)サンプルや組織サンプル、血液(体液)サンプルにも対応可能 です(図 1)。 培養上清や分化誘導した細胞を使ったアプリケーション この技術を使って培養上清中の代謝産物の経時的な変化を測定したア プリケーションを図 2 に示しました。一般的な細胞株では増殖の際にグ ルコースとグルタミンを細胞内に取り込み、代謝産物として乳酸とグル タミン酸を培地中に放出します。 肺がん細胞株の A549 細胞を異なる細胞数で播種し、3 日間培養を続け、 各タイムポイントで培養上清を回収しました。各サンプルは希釈して発 光アッセイのタイミングまで凍結保存し、最後のサンプリング後に発光 アッセイを行いました。 細胞数および培養日数に依存してグルコースとグルタミンの減少が観察 され、その一方で、培地中の乳酸とグルタミン酸量の増加が観察され ました。グルコースとグルタミンが細胞内に取り込まれ、代謝産物の放 出がなされた結果を反映しています。 図 3 にはマクロファージ様に分化誘導した細胞を用いた例を示しまし た。マクロファージには大きく分けて M1 型と M2 型と呼ばれる 2 つの サブグループが存在し、M1 型は炎症の惹起、M2 型は抗炎症反応に関 与すると言われています。また、M1 型は解糖系が亢進している事が明 らかになっています。 ヒト単球細胞株 THP-1 細胞を分化誘導し、各サブグループの代謝活性 を評価したところ、M1 型ではグルコースの取り込み量と乳酸の分泌量 が亢進している結果が観察されました。このような分化誘導による代 謝活性の評価にも対応可能です。 細胞内 3次元培養 サンプル 培地 組織 酵素活性 血液 (体液) 発光代謝 アッセイ 図 1. (上図)グルコース、乳酸、グルタミン、グルタミン酸 測定の原理。 (下図)代謝産物測定アッセイで対応可能なサンプル例 。 図 2. 培養上清を用いた、各代謝産物の経時的測定 各代謝産物のグラフにおいて、濃い棒グラフは 15,000 細胞の条件を示し、薄い棒グラ フは 5,000 細胞の条件を示す。また、赤い点線は培地のみの測定値を示す。培地は DMEM, 5mM glucose, 2mM glutamine, 10% dialyzed serum を使用した。 図 3. T 細胞における代謝活性の比較 THP-1 細胞を PMA で刺激し、マクロファージ様に分化誘導した。その後、M1 型は IFN γ +LPS 刺激にて、M2 型は IL4+IL13 刺激にて分化誘導した。その後、培養上清中の乳酸 量(左グラフ)およびグルコースの取り込み量の評価(右グラフ)を行った。 ※ Glucose Uptake はかわら版 2016 年夏号をご覧ください▶ http://www.promega.co.jp/pdf/ kawara1607_p3.pdf Luminescence 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 8h 24h 48h 72h Time, hrs Luminescence 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 8h 24h 48h 72h Time, hrs Luminescence 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 8h 24h 48h 72h Glutamine Glutamate Glucose Lactate Time, hrs Luminescence 8h 24h 48h 72h Time, hrs 400,000 300,000 200,000 100,000 0 細胞播種 細胞培養 各タイムポイントで培養上清 2µLを回収 50倍希釈し、サンプルを 分けて発光アッセイ グルコースの消費 乳酸の分泌 グルタミンの消費 グルタミン酸の分泌 M1 IFNγ+LPS 24h THP1 Add 2DG PMA Remove media Wash cells for lactate M0 Media IL4+IL13 M2 M0 4 3 2 1 0 lactate(mM) 乳酸の分泌 Luminescence(RLU) グルコースの取込み M1 M2 M0 3,000,000 2,500,000 1,500,000 500,000 0 1,000,000 2,000,000 M1 M2 NAD(P)H NAD(P) ルシフェリン前駆体 ルシフェリン ルシフェラーゼ デヒドロゲナーゼ レダクターゼ Light Light グルコース、乳酸、 グルタミン、グルタミン酸 4 RentaMax : ルミノメーター貸出しプログラム 本稿でご紹介した発光法によるエネルギー 代謝アッセイはルミノメーター(ルシフェラー ゼアッセイでおなじみ発光測定装置)で測 定することができます。ルミノメーターを利 用できない場合は弊社の GloMax ルミノメーターをお貸出しいたします(詳 細については www.promega.co.jp/rentamax/ をご覧ください)。プロメガ の試薬 & 検出装置の組み合わせで最適なアッセイパフォーマンスが得られ ます。詳細はお気軽にお問い合わせください。 マルチプレックスアッセイへの対応 分化誘導や化合物刺激の後に、細胞の代謝を調べたい場合、化合物処 理や分化誘導が細胞にダメージを与えてしまったり、生存性に影響を及 ぼしてしまい、アッセイ結果に影響が出てしまう事はありませんか?特 に図 3 のような分化誘導をおこなったサンプルや生体由来の細胞、未 分化な細胞といった貴重なサンプルには、出来る限り1つの実験で複数 のパラメーターが取得できる実験が望ましいのではないでしょうか? プロメガではマルチプレックスアッセイ(同一のサンプルに対して、複 数パラメーターを取得するアッセイ)にて、より精度の高いデータを取 得する実験を推奨しており、様々な組み合わせの事例があります。 図 4 は細胞内のグルタミン酸量の測定と合わせて、生存細胞数と細胞 内 ATP 量を測定したアプリケーションです。まず、生細胞の還元能を 指標とした RealTime-Glo™アッセイまたは生細胞に特異的なプロテアー ゼ活性を測定する CellTiter-Fluor™ 蛍光アッセイで生細胞を測定しまし た。次に細胞ライセートを調製し、その一部を用いたグルタミン酸量 の測定や CellTiter-Glo® アッセイを用いて生細胞由来の ATP を 測定して います。貴重なサンプルでのアッセイにおいて余すところなくデータを 取得することができます。 最後に 図 2 や 4 の例のように、プロメガの発光アッセイではわずか数µ L のサン プルからでも測定を行う事が可能です。図 5 に各アッセイの測定レンジ を示しました。この発光アッセイ法は pico mol レベルからの検出が可能 であり、測定レンジも広いため従来の蛍光法では解釈が困難な実験結 果を明瞭に示すことができます。 この他、様々なアプリケーション例を開発中であり、iPS 細胞 由来の分 化細胞や分化誘導した脂肪様細胞、T 細胞の代謝活性評価なども行っ ています。詳細は弊社 Web サイトを参照いただくか、お気軽にお問い 合わせください。 図 4. グルタミン酸量の測定アッセイのマルチプレックス例 A549 細胞を各細胞数で well に播種し、生存細胞、細胞内グルタミン酸量、ATP 量の測 定を行った。 A. アッセイの概要と流れ B. 培地中での生細胞試験(青色のバー:RealTime-Glo™)と、蛍光法での生細胞試験 (オレンジ色のバー:CellTiter-Fluor™) C. 調製した細胞ライセートに含まれる ATP 量を CellTiter-Glo® 2.0 Assay にて測定(青色の バー:RealTime-Glo™)実施後の細胞(オレンジ色のバー:CellTiter-Fluor™)実施後の 細胞(グレーのバー:未処理の細胞) D. 調製した細胞ライセートに含まれるグルタミン酸量を Glutamate-Glo™ Assay にて測定 (上記と同様) Luminescence (CellTiter-Glo™) Cells per well C D 100,000 90,000 70,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 5,000 10,000 20,000 60,000 80,000 Cells per well 0 5,000 10,000 20,000 1,800,000 1,400,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 1,200,000 1,600,000 Luminescence (Glutamate-Glo™) A B Cells per well 0 5,000 10,000 20,000 3,500,000 2,500,000 1,500,000 1,000,000 500,000 2,000,000 3,000,000 0 12000 10000 6000 4000 2000 8000 Luminescence (RealTime-Glo™) Fluorescence (CellTiter-Fluor™) 培養上清での細胞生存性アッセイ 細胞ライセートの作成 細胞内のグルタミン酸の測定 ATPアッセイ 1 0.001 1000000 10000 100 10 1000 100000 S/N 0.1 10 1000 Lactate Glutamate Glucose Glutamine Metabolites, µM 測定サンプル 検出下限 直線性 S/B 比 Lactate 100nM(5pmol/50 µl) Up to 200 µM >240 Glucose 5nM(0.25pmol/50 µl) Up to 50 µM >1000 Glutamine 5nM(0.25pmol/50 µl) Up to 50 µM >1000 Glutamate 5nM(0.25pmol/50 µl) Up to 50 µM >500 キーポイント 簡 単 な 測 定プロトコル・高 価 な 機 器 不 要 Add to Measure の簡単なホモジニアスアッセイでルミノメーター で測定可能! 頑強で高感度なアッセイ バックグラウンドの低い発光 測定で、幅広いレンジでの測定が可能! 様々なサンプルでの応用例 培養細胞に加え、組織や体 液サンプルの例もあり。もちろんマルチプレックスアッセイ にも対応! プロメガ 高次元細胞プロジェクト 検索 図 5. 乳酸・グルコース・グルタミン・グルタミン酸の測定レンジ 参考文献 ● Donna Leippe et al. J Biomol Screen 2016 Nov. 1087057116675612. ● A Cacace and P Sonveaux et al. Oncogene, 1–11., 2016 関連製品 Assay kit 測定用途 サイズ カタログ番号 価格(¥) Lactate-Glo™ Assay 乳酸量の測定(発光) 5 ml J5021 74,000 Glucose-Glo™ Assay グルコース量の測定(発光) 5 ml J6021 67,000 Glutamate-Glo™ Assay グルタミン酸量の測定(発光) 5 ml J7021 74,000 Glutamine/Glutamate-Glo™ Assay グルタミンとグルタミン酸量の測定(発光) 5 ml J8021 80,000 CellTiter-Glo®2.0 Assay 生細胞測定(ATP・発光) 10 ml(100 回分) G9241 15,000 CellTiter-Fluor™ Cell Viability Assay 生細胞測定(生プロテアーゼ・蛍光) 10 ml(100 回分) G6080 17,000 RealTime-Glo™ MT Cell Viability Assay 生細胞測定(還元能・発光) 100 回分 G9711 20,000 Glucose Uptake-Glo™ Assay グルコース取り込み能の測定(発光) 5 ml(50 回分) J1341 63,000         プロメガ のルミノメーターが最適 ! 超高感度 クロストークゼロ スーパーワイドダイナミックレンジ RentaMAX はプロメガのルミノメーター / 自動精製装置を無償で一定期間 お貸出しするプログラムで、試薬 / 機器の両面からのサポート・コンサル ティングも行います。 「機器がないから…」 大丈夫です、ご相談ください! 代謝アッセイも 5Promega KAWARABAN レポーターアッセイと RT-qPCR の違い 遺伝子発現解析実験にはレポーターアッセイや RT-qPCR 法が広く用いら れています。それぞれ解析対象が異なり、また各々特徴および、メリット・ デメリットがあります。 RT-qPCR 法は内在性の遺伝子発現量を定量できるという特長がありま す。RT-qPCR の問題点として、実験の過程での RNA の分解、逆転写反 応や PCR 反応による酵素的な artifact、プライマーおよびプローブの特 異性の差、また指数関数的な PCR データによる誤差の拡大等が挙げら れ、タンパク発現量を正確に反映できているか疑問であるという声を 多く耳にします。一方で、レポーターアッセイはレポータープラスミドを 細胞に導入する点で、外来的な実験手法となりますが、発光量測定に よる転写・翻訳されたルシフェラーゼ酵素の直接的な定量であるため、 対象のプロモーター活性やシグナル応答を高い再現性で定量できます。 しかも transient な transfection 技術を用いることにより、わずかな期間 で容易にデータを得ることができます。 レポーターアッセイで RT-qPCR のデータを補強 RT-qPCR の問題点を補強する形でレポーターアッセイの実験を併用する 手法が、多くの論文で用いられています。例えば、京都大学 山中伸 弥教授のノーベル医学生理学賞の受賞理由となった論文 1)では、得ら れた iPS 細胞の評価のため、各種 ES マーカー遺伝子の semi-qPCR を実 施し、さらにこの中で代表的な ES マーカー Oct3/4 および Nanog のプ ロモーターのレポーターアッセイで詳細な解析を行い、より定量性の高 いデータを示してます。 このように、RT-qPCR で得られた発現解析結果に加え、さらに詳細な プロモーターおよびシグナル解析をレポーターアッセイで行うことによ り、より定量的かつ説得力のあるデータを示すことができます。 RT-qPCR + NanoLuc® レポーターで 1 + 1 = 300 ?! プロメガはこのレポーターアッセイの用途を飛躍的に広げる、より高感 度で定量性の高い NanoLuc® Luciferase (Nluc) を 開 発 し ま し た。 NanoLuc® は深海エビ(Oplophorus gracilirostris)由来のルシフェラーゼで、 発光レポーターとして最適なパフォーマンスを発揮するために改変され た分子量の小さな発光酵素(19kDa)です。また、従来のホタルルシフェ ラーゼ (Fluc) に比べ、100 倍以上の発光値を示すので、これまで検出が 難しかったより微小なシグナルの検出や標的タンパク質の遺伝子と融合 させることによりタンパク質レベルの発現解析(タンパク質レポーター) が容易になります(図 1)。 実験技術の進歩により、初代培養細胞や単一細胞レベルでの解析、ゲ ノム編集によるエンドジニアスな解析など高感度での検出が求められ ています。新しい Nluc はこのような最先端の実験手法に完全に適応す る次世代型の発光レポーターです。 NanoLuc® シグナルベクターおよび関連製品を特別価格でご提供! 以下のシグナルパスウェイ解析用のシグナルベクター(非カタログ品を含 む)およびその他の NanoLuc® 関連試薬の特別価格については本誌最終 ページ(8ページ)をご覧ください。 RT-qPCR + レポーターアッセイで 1 + 1 = 3 !? ありのままの細胞解析 生命現象や細胞内の作用機序を真に理解するためには、外的な実験操作を最小限にし、細胞にもともと存在する内在性タンパク質およびそれらによ るシグナルパスウェイの機能や挙動を解析するという方向性が重要になってきます。近年は CRISPR などのゲノム編集技術を利用した内在性の遺伝子 発現解析、あるいは単一細胞レベルでの解析のニーズが高まっており、より高感度な検出システムが必要とされています。現在、遺伝子発現解析実 験には RT-qPCR 法やレポーターアッセイが広く用いられていますが、各々メリットとデメリットがあるため 1 つの手法だけでは十分な発現解析データ が得られない場合があります。今回はこれら2 つの実験手法の組み合わせにより、より信頼性の高い実験結果を示すことができることをご紹介します。 さらに、その効果が 10 倍にも 100 倍にもなる、プロメガの新しいルシ フェラーゼレポーター NanoLuc® をご紹介します。 プロメガ NanoLuc® 検索 RT-qPCR 発光レポーターアッセイ 測定対象 mRNA 転写活性 解析目的 複数遺伝子の発現プロファイリング / 相対的発現比較 (どの遺伝子が動くのか?) 単遺伝子の発現 カイネティクス   (特定の遺伝子または シグナル経路がどの程度動くのか [ex. IC₅₀, EC₅₀]) 情報の内在性 ○ △ artifact △ RNA 精製 逆転写反応 プライマー配列 PCR 反応 ○ トランスフェクション 発光反応 情報取得の タイミング 細胞溶解時(RNA 精製) 細胞溶解時 または経時的 (生細胞) 補正方法 ハウスキーピング遺伝子 2nd レポーター 1)Kazutoshi Takahashi and Shinya Yamanaka, Cell 126, 663–676, 2006 RT-qPCR レポーターアッセイ 信頼性の高い + = 説得力のあるデータ 発現量の変動する 遺伝子を特定 特定遺伝子の発現 カイネティクス解析 Log10[Phenanthroline](M) HRE-luc2P HIF1A-Nluc Celltiter-Fluor™(細胞生存性) Fold Response(log scale) 1 10 -7 -6 -5 -4 13950MA (転写活性) (タンパク質レベル) 図 1. HEK293 細胞のフェナントロリン処理による用量反応 CellTiter-Fluor™により細胞生存性を蛍光測定した後、HIF1A-Nluc 融合タンパク質および 低酸素応答配列を含むレポーターベクターより発現したホタルルシフェラーゼを NanoDLR™アッセイで測定した(本実験で使用したベクター、アッセイ試薬を特価でご利 用いただけます。詳細につては 8 ページをご覧ください)。 京都府立医科大学 中央研究室 RI センター 研究教授 勝山 真人先生 1960 年代に我が国で多発した亜急性脊髄視神経末 梢神経障害(スモン)はキノホルムによる薬害ですが、 その発症メカニズムは未だ不明です。私は培養神経 系細胞株を用い、キノホルムによって起こる遺伝子 発現の変化を調べています。 DNA チップを用いた網羅的解析で、キノホルムが VGF という痛みに関わ るペプチドの前駆体の発現を誘導することがわかっていたのですが、 VGF 遺伝子のプロモーター解析をきっかけに、転写因子 c-Fos の発現 誘導を介する現象であることを見出しました 2)。NanoLuc® の系を用い たのですが、ホタルルシフェラーゼの系よりも発光検出器での測定値が 高く、より信頼性の高いデータが得られたと記憶しています。以降はずっ と NanoLuc® の系を愛用しています。 NanoLuc® レポーターの活用例 2) Masato Katsuyama, et al. “Clioquinol Increases the Expression of VGF, a Neuropeptide Precursor, Through Induction of c-Fos Expression” Journal of Pharmacological Sciences 124, 427-432, 2014 お客様 の声 転写因子 応答エレメント シグナル経路 GPCR シグナル伝達経路 CREB CRE cAMP / PKA NFAT NFAT RE カルシウム / カルシニウリン ELK / SRF SRE MAP / ERK SRF SRF RE RhoA AP1 AP1 RE MAPK / JNK ストレスシグナル伝達経路 Nrf2 ARE 酸化ストレス p53 p53 RE DNA 損傷 ATF6 ATF6 RE 小胞体ストレス ATF4 ATF4 RE 小胞体ストレス MTF1 MRE 重金属ストレス Hif1 α HRE 低酸素 AhR XRE 生体異物ストレス AP1 AP1 RE MAPK / JNK 各種シグナル伝達経路 NF- κ B NF- κ B RE NF- κ B STAT1:STAT2 ISRE INF- α STAT3:STAT3 SIE IL-6 SMAD3:SMAD4 SBE TGF- β STAT5:STAT5 STAT5 RE IL-3 STAT1:STAT1 GAS RE JAK / STAT1 IFN- γ C / EBP RE 複数経路 TCF-LEF TCF-LEF RE Wnt Myc:Max Myc Myc 6 Maxwell® RSC Instrument とキットの利用法: 野外では環境要因が複雑に変動し、それを人間が制御することはでき ません。そのため、統計的手法を駆使したデータ解析を行うために 数百から数千サンプルのデータを取得することが必要です。また、野 外で得られるサンプルは多くの場合、実験室と比べて不均質なものと なります。このようなサンプルから安定的に RNA の抽出を行うために、 我々の研究室では Maxwell® RSC Instrument を用いています。多検体を 処理するためのシステムは、マニュアルの 96 ウェルフォーマットのも のなど他にもありますが、サンプルが不均質なため 96 サンプルの準備 に時間がかかり、技術補佐員の方の勤務時間に収まらないなどの問題 がありました。 Maxwell® RSC Instrument では、一度に処理できるの は 16 サンプルですが、その分、柔軟な運用が可能で、重宝しています。 また、自動化されているため、マニュアルで抽出していたころと比べて、 失敗が減り、非常に安定した収量が得られるようになりました。 今後の展開: 野外トランスクリプトーム研究をさらに拡張していくために、さまざま な技術開発に取り組んでいます。例えばこれまでに、低コストでハイス ループットな RNA-Seq システムや、トランスクリプトームデータと気象 データとの統計モデリングのための計算ライブラリを確立してきました (Iwayama et al., (2017), Bioinformatics)。今後はこれらを活用して、野外 と実験室をつなぐ研究を進めていきたいと考えています。 temperature solar radiation 気象データ 予測 統計モデリング /機械学習 トランスクリプトームデータ データベース 理解 Nagano et al ., (2012) Cell イントロダクション: 分子生物学の多くの研究は、実験室で育てた生物を材料として行われています。しかしながら、生物は野外環境に おいて生育し、進化してきました。いうまでもなく、野外環境では複数の環境要因が同時に、かつ複雑に変化します。 これは、コントロールされたシンプルな環境である実験室とは大きく異なった環境です。そのため、実験室で取ら れたデータだけでは野外における実際の生物のふるまいを理解することは困難であり、分子生物学を現実の諸問題 解決に十分生かすことができていない原因になっています。そこで我々のグループでは、野外環境下で多数のサン プルからトランスクリプトームデータを取得し、それらのデータと気象データを合わせて統計モデリングを行うこと で、この問題に挑んでいます。例えば、水田のイネを用いた研究では、気温などの環境要因へのトランスクリプトー ムの応答を定量的に明らかにするとともに、栽培期間の任意のタイミングでのトランスクリプトームを気象データか ら予測することを可能としました(図1、Nagano et al., (2012), Cell)。 図 2. RNA-Seq ライブラリ調製の低コスト・多検体化 龍谷大学農学部 植物生命科学科 講師 永野惇先生 図 1. 野外トランスクリプトームデータと気象データのモデル化 これによって実際の野外環境下における環境応答をトランスクリプトームレベルから理解 できる。また、任意の気象条件下のトランスクリプトームの予測が可能となる。 自動化などによりRNA-Seqを 大幅に低コスト・多検体化 Cost Down ! 従来法 当研究室 Speed Up ! 従来法 当研究室 共同研究先での利用: 我々の研究室では、RNA-Seq だけでなく、WGS や GBS(ddRAD-Seq) といった様々な NGS 解析のライブラリ調製を多検体化しており、多くの研究室と 共同研究を行っています。共同研究先で対象としている生物は、植物のみならず動物、真菌、細菌など多岐にわたっており、中には核酸抽出が困難 なサンプルもしばしば含まれます。プロメガでは条件検討サービスや機器の一時的な貸し出しサービスなどがあるため、あまり分子生物学を得意と していない共同研究先にも導入を勧めやすいと感じています。実際、Maxwell® RSC Instrument は、分子生物学実験に慣れていない学生などでも NGS 解析グレードの核酸を安定的に抽出できるので、いくつかの共同研究先でも利用されるようになりました。 植物・土壌細菌など困難なサンプルの核酸抽出を無償で 検討いたします。 難しいサンプルからの核酸精製検討サービスについての詳細、お問合せは promega.formstack.com/forms/muzusample をご覧ください 野外トランスクリプトーム研究を支える Maxwell® RSC 自動核酸精製装置 関連製品 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) Maxwell® RSC Instrument 1 台 AS4500 2,800,000 Maxwell® RSC Plant RNA Kit 48 回分 AS1500 39,000 難しいサンプル検討サービス開始! あなたの研究を 進める 7Promega KAWARABAN NanoLuc ユーザー講演会:NanoLuc® の無限の可能性 NanoLuc® は従来のルシフェラーゼよりも非常に明るく(ホタルの 100 倍以上)、分子量が小さい(19kDa)という大きな特長により、ホタルルシフェラーゼを用 いたレポーター実験を改善するだけでなく、タンパク質レポーターとして新たな可能性が広がっています。細胞内タンパク質の挙動を調べるための高感度 / 極 小の発光タグとしてタンパク質の安定性・分解、タンパク質間相互作用[NanoBRET™ ,NanoBiT® ])の実験等に利用され、さらにはタンパク質レベルの簡便な 発現解析や高速タンパク質ブロッティング検出[HiBiT™]などが開発されています。今回は発売から 4 年を経過して、NanoLuc® テクノロジーをご利用いただ いている先生方を講師にお招きし、研究成果をご講演いただきます。また、本社より開発責任者 Frank Fan も参加いたしますので NanoLuc® に関する最新技術 などもお聞きいただけます。 東京会場: 9 月 13 日(水)/秋葉原 富士ソフトアキバプラザ【13:30 開演予定】 大阪会場: 9 月 15 日(金)/大阪千里 千里ライフサイエンスセンター【13:30 開演予定】 セミナー参加希望の方は以下のサイトより事前登録をお願いいたします。 事前登録 promega.formstack.com/forms/nlucseminar2017 2017 年 4 月 10 日~ 6 月 23 日 受注分まで NanoLuc® テクノロジー (強発光・低分子の発光レポーター) 細胞生存性 / 毒性のエンドポイント & リアルタイムアッセイ 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) 特別価格(¥) リアルタイムアッセイ RealTime-Glo™ MT Cell Viability Assay 100 回分 G9711 20,000 14,000 CellTox™ Green Cytotoxicity Assay 10 ml G8741 16,000 9,600 エンドポイントアッセイ CellTiter-Glo® 2.0 Assay 10 ml G9241 15,000 9,000 CellTiter-Glo® 3D Cell Assay 10 ml G9681 16,000 11,200 CellTiter-Fluor™ Cell Viability Assay 10 ml G6080 17,000 10,200 カスパーゼ 3/7 発光エンドポイントアッセイ 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) 特別価格(¥) Caspase-Glo® 3/7 Assay 2.5 ml G8090 21,000 12,600 NanoBiT® タンパク質:タンパク質相互作用発光アッセイ 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) 特別価格(¥) NanoBiT® PPI MCS Starter System 1 システム N2014 180,000 108,000 NanoBiT® PPI Flexi® Starter System 1 システム N2015 180,000 108,000 ※クローニングベクター(MCS [ 制限酵素サイト ] または Flexi® [Flexi® クローニング ])、 アッセイ試薬、コントロールなどが含まれます。 NanoLuc ®/ ホタルルシフェラーゼデュアルレポーターアッセイ 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) 特別価格(¥) Nano-Glo® Dual-Luciferase®/pNL 1.1.TK Bundle 1 セット N1521 80,000 40,000 Nano-Glo® Dual-Luciferase®/pNL1.1 PGK Bundle 1 セット N1531 80,000 40,000 Nano-Glo® Dual-Luciferase®/pGL4.54[luc2/TK] Bundle 1 セット N1541 80,000 40,000 Nano-Glo® Dual-Luciferase®/pGL4.53[luc2/PGK] Bundle 1 セット N1551 80,000 40,000 Nano-Glo® Dual-Luciferase® ReporterAssaySystem (デュアル) 10 ml N1610 39,000 31,000 Nano-Glo® LuciferaseAssay(シングル) 10 ml N1110 23,000 18,000 ※ Bundle は表示のベクターとデュアルアッセイ試薬のセット品。 細胞の生死 上記シグナルベクターの注文方法については promega.formstack.com/forms/nvect2017 をご覧ください。 NAD(P)H 発光アッセイ 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) 特別価格(¥) NAD/NADH-Glo™ Assay 10 ml G9071 90,000 63,000 NADP/NADPH-Glo™ Assay 10 ml G9081 90,000 63,000 低酸素ストレスシグナル検出用 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) 特別価格(¥) pGL4.42[luc2P/HRE/Hygro] Vector 20 µg E4001 73,000 51,100 pNLF1-HIF1a [CMV/neo] Vector System 20 µg N1381 73,000 51,100 製品名 サイズ 製品番号 価格(¥) 特別価格(¥) pNL [NlucP/NFAT-RE/Puro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/NFAT-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/CRE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/p53-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/ATF6-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/ATF4-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/MRE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/HRE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/GAS-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/ISRE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/SIE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/STAT5-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/AP1-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/CEBP-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/MycMax-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL[NlucP/ARE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL[NlucP/SRE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL[NlucP/SRF/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL[NlucP/SBE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/TCF/LEF-RE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL [NlucP/XRE/Hygro] Vector 20 µg ー 非カタログ品 78,000 pNL3.2.NF-B-RE [NlucP/NF-B-RE/ Hygro] Vector 20 µg N1111 73,000 51,100 グルコース取込み発光アッセイ 製品名 サイズ カタログ番号 価格(¥) 特別価格(¥) Glucose Uptake-Glo™ Assay 5 ml J1341 63,000 44,100 NanoLuc® シグナルベクター レベルアップ エネルギー代謝 キャンペーン 特別価格 4444 で研究力が上がる! 細胞アッセイビッグバン テクニカルサービス ● Tel. 03-3669-7980 / Fax. 03-3669-7982 ● E-Mail : prometec@jp.promega.com PK1703-02B 販売店 日本語 Web site:www.promega.jp プロメガ株式会社 本   社 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町14-15 マツモトビル Tel. 03-3669-7981/Fax. 03-3669-7982 大阪事務所 〒532-0011 大阪市淀川区西中島6-8-8 花原第8ビル704号室 Tel. 06-6390-7051/Fax. 06-6390-7052 ※製品の仕様、価格については2017年3月現在のものであり予告なしに変更することがあります。