エピジェネティクス酵素の発光アッセイ
エピジェネティクス酵素の発光アッセイ アカデミア創薬サポートプロジェクト ゲノム解読完了後の重要なテーマとして急速に発展したエピジェネティクス研究により、 がんを始めとする多くの疾患にエピジェネティクス異常が関与していることが分かって きました。現在ではエピジェネティック制御の関連分子は重要な創薬ターゲットとして 注目を集めており、ヒストンアセチル化制御にかかわるヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC)阻害剤をはじめ、ヒストンメチル化・脱メチル化酵素やそれらの制御因子をコン トロールする薬剤の開発が急ピッチで進められています。ここではエピジェネティック 制御タンパク質のうち、メチル化・アセチル化関連の酵素アッセイをご紹介します。 プロメガ エピジェネ 検索 ヒストンアセチル化・脱アセチル化酵素アッセイ 2006 年にボリノスタット(SAHA)が最初のヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC)阻害薬として米国で承認されたのを皮切りに、ヒストンアセチ ル化制御酵素をターゲットとした創薬ブームが起こりました。脱アセチ ル化を担う HDAC はヒトでは 11 種類が報告されており、Class I(1、2、3、 8)、Class II(4、5、6、7、9、10)、Class IV(11)に分類されています。 ボリノスタットは汎 HDAC 阻害剤であるため、次世代 HDAC 阻害剤とし てより選択性の高い化合物の探索が続けられています。 プロメガが提供する HDAC-Glo™ Assay(図 1)はこのような阻害剤探索 にぴったりのアッセイです。 DNA、ヒストンメチル化・脱メチル化酵素アッセイ 今ホットなターゲットは何と言っても DNA やヒストンのメチル化・脱メ チル化酵素です。主にタンパク質を修飾するアセチル化と異なり、メチ ル化はタンパク質だけでなく DNA も制御します。必然的に酵素の数も 多く、新しい酵素の阻害剤やより選択性の高い阻害剤を求めて各国の 製薬メーカーや研究所が新薬開発にしのぎを削っています。 このニーズに応え、プロメガはこの 4 月にメチル化酵素アッセイ MTase-Glo™ Methyltransferase Assay を発売しました。メチル化酵 素は数が多いものの、反応機序は DNA・タンパク質メチル化酵素で共 通しており、いずれも代謝産物として S-アデノシルホモシステイン(SAH) を産生します。MTase-Glo™ は SAH を測定することによりすべてのメチ ル化酵素活性を測定することができます(図 2)。 メチル化酵素と合わせて脱メチル化酵素も重要です。 プロメガでは、2 種 類のヒストン脱 メチル 化 酵 素 のうち、Jumonji C-domain を含む脱メチル化酵素(JHDM)の活性測定に使用できる Succinate-Glo™ を開発しました(図 3)。JHDM は代謝産物としてコハク 酸(Succinate)を産生することを利用し、コハク酸定量によって JHDM 活性を測定するアッセイです。 ここでは酵素アッセイに焦点を当てましたが、他の分野と同様エピジェ ネティクス研究でも生細胞で解析できるライブセルアッセイが求められ ています。特に多様な制御タンパク質や DNA の相互作用は生細胞で解 析することが重要であり、プロメガは生細胞解析の強力なツールも開 発しています。こちらは紙面を改めてご紹介する予定です。お楽しみに! MTase-Glo™ アッセイ論文 Methyltransferase-Glo: a universal, bioluminescent and homogenous assay for monitoring all classes of methyltransferases Epigenomics (2016) 8(3), 321–339. http://www.futuremedicine.com/doi/abs/10.2217/epi.15.113 Characterization of the histone methyltransferase PRDM9 using biochemical, biophysical and chemical biology techniques Biochem. J., Jul 2014; 461: 323 – 334. http://www.biochemj.org/content/461/2/323 Quantitative profiling of the activity of protein lysine methyltransferase SMYD2 using SILAC-based proteomics Mol. Cell. Proteomics, Mar 2016; 15: 892 – 905. abstract 関連製品 サイズ カタログ番号 価格(¥) メチル化酵素測定 MTase-Glo™ Methyltransferase Assay 400 回分 V7601 85,000 特 2000 回分 V7602 320,000 脱アセチル化酵素測定 HDAC-Glo™ I / II Assay 10 ml G6420 77,000 特 HDAC-Glo™ Class IIa Assay 10 ml G9560 77,000 特 HDAC-Glo™ 2 Assay 10 ml G9590 77,000 特 脱メチル化酵素測定 Succinate-Glo™ お問合せ下さい バイサルファイト処理 & 精製 MethylEdge™ Bisulfite Conversion System 50 回分 N1301 40,000 PC 特 キャンペーン対象製品:詳細については 8 ページをご覧ください。 PC プロメガクラブ対象製品です。詳細については 8 ページをご覧ください。 13146MA SAM ペプチド、ヒストン、 コアヒストン、 2本鎖オリゴ ヌクレオチド、DNA、 ヌクレオソーム ペプチド、ヒストン、 コアヒストン、 2本鎖オリゴ ヌクレオチド、DNA、 ヌクレオソーム CH3 SAH ADP メチルトランス フェラーゼ MTase-Glo™ Reagent MTase-Glo™ Detection Solution Light Light 図 2. MTase-Glo™ アッセイ原理 図 3. Succinate-Glo™ アッセイ原理 ヒストンまたは ペプチド Jmjc 試薬 I コハク酸 + コハク酸 中間体 脱メチル化 基質 ステップ 1:コハク酸の変換 2-OG ステップ 2:中間体から ATPと光への変換 試薬 II ルシフェラーゼ / ルシフェリン 中間体 Light 10548MA “Glow-type” luminescence Boc-XX N H S N S N H N O H N O O OH O N H S N S N NH O NH2 O OH O Boc-XX H2 N S N S N OH O Developer Reagent Ultra-Glo™ Luciferase HDAC-Glo™ I/II Substrate HDAC ATP, Mg 脱アセチル化クロマチン アセチル化クロマチン 遺伝子発現なし 遺伝子発現 HATs HDACs Ac Ac Ac Ac Ac Ac Ac Ac Ac Ac Ac Ac A. B. 図 1. HDAC と測定原理 パネル A. HDAC およびヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)。パネル B. HDACGlo™ I/II Assay の反応は 1 種類の試薬の添加により起こる。 4