グルコースの取込みとエネルギー代謝
発光テクノロジーによるグルコース取り込み活性評価 生体を構成する細胞において、グルコースは主要なエネルギー源の 1 つ です。これまで放射性標識、蛍光または吸光により取り込み活性の測 定が行われてきましたが、従来法では感度やバックグラウンドなどに問 題がありました。これらの問題点を改善すべく、プロメガでは発光での 測定アッセイ Glucose Uptake-Glo™ Assay を開発しました。従来法と 同じく、蓄積された 2- デオキシグルコース -6- リン酸(2DG6P)を発光 シグナルに変換することでグルコースの取り込み能を評価します。さら にプロトコルも見直し、細胞の洗浄がほぼ不要の Add to Measure プロ トコルにより、簡便な測定が可能になりました(図 1)。 発光テクノロジーの代謝アッセイへの応用 Glucose Uptake-Glo™ Assayで培った技術をさらに他の代謝産物や栄養 成分の測定アッセイに応用しました。これまでに乳酸、グルタミン、グ ルタミン酸などを発光シグナルに変換して測定することに成功していま す(図 2)。この技術を活用した例として、図 3 に代謝経路の変化を観 察した結果を示しました。細胞では酸素が欠乏するとミトコンドリアで の代謝反応に進まず、解糖系が働きます。乳酸は解糖系の最終生成物 であり、分泌された乳酸は解糖系の活性化の指標となります。2 つの 乳がん細胞株を低酸素条件下で培養したところ、MCF7 細胞では低酸 素条件下において乳酸の分泌量が増加している結果が得られ、解糖系 への代謝経路の変化が観察されました。一方で、MDA-MB-231 細胞は 低酸素誘導因子 HIF1 が高発現しており、恒常的に解糖系が亢進してい るため、代謝経路の変化は観察されませんでした。 MDA-MB-231 細胞のように、がん細胞では正常細胞と比較し、種々の 代謝経路に異常がみられることが明らかになっており、有用な治療標的 の 1 つとして捉えられています。プロメガのシンプルな発光測定法はバ ラつきも最小限に抑えられており、疾患特異的な代謝経路を標的とし た化合物のハイスループットスクリーニングにも最適です。 最後に ここで紹介した Glucose Uptake-Glo™ Assay の他にもプロメガでは、代 謝経路を標的とした薬剤の評価・創薬をサポートする製品を開発中です。 また、同一細胞サンプルを用いたマルチプレックス解析が可能な組み 合わせを多数構築しています。例えば、細胞内の ATP により生細胞を 測定する CellTiter-Glo® や還元能から生細胞を測定する RealTime-Glo™ とのマルチプレックス解析を行っており、1 枚のプレートからルミノメー ターだけで、代謝産物や栄養成分の測定アッセイと生細胞アッセイが実 施可能になっています。詳細については弊社 Web サイトを参照いただ くか直接お問い合わせください。 関連製品 サイズ カタログ番号 価格(¥) グルコースの取込み量測定 Glucose Uptake-Glo™ Assay 5 ml J1341 63,000 特 10 ml J1342 110,000 50 ml J1343 440,000 CellTiter-Glo® 2.0 Assay 10 ml G9241 15,000 PC 100 ml G9242 59,000 RealTime-Glo™ MT Cell Viability, 100 100 回分 G9711 20,000 10 × 100 回分 G9712 97,000 特 キャンペーン対象製品:詳細については 8 ページをご覧ください。 PC プロメガクラブ対象製品です。詳細については 8 ページをご覧ください。 アッセイキット 測定用途 カタログ番号 Glucose Detection assay 細胞内グルコース量の測定 お問合せ下さい Lactate Detection assay 細胞内乳酸量の測定 お問合せ下さい Glutamate Detection assay 細胞内グルタミン酸量の測定 お問合せ下さい Glutamine Detection assa 細胞内グルタミン量の測定 お問合せ下さい グルコースの取込みとエネルギー代謝 高次元細胞プロジェクト 糖尿病やがんなどの種々の疾患において、細胞内の代謝経路が大きく変化していることが明らかになっており、疾患特異的な代謝経路が有用な治療 標的となりうると考えられています。プロメガでは細胞内の様々なシグナル経路やシグナル因子を測定する技術を提供しており、このセクションでは 新たに登場した代謝経路を標的としたアッセイシステムを紹介します。 プロメガ 高次元細胞プロジェクト 検索 図 1. Glucose Uptake-Glo™ アッセイの概要と手順 グルコース類似体 2- デオキシグルコース (2-DG) を細胞に取り込ませ、グルコースの取り込 み量を発光シグナルに変換して評価する(上図)。プロトコルが大幅に簡便化され、約 70 分で測定結果が取得可能(下図) 2DG 2DG 2DG6P 2DG6P 6PDG Step 1. 2DG の取り込み Step 3. 発光による取り込みの量の測定 Step 2. 細胞溶解 2DG6P 2DG6P 2DG6P 2DG6P G6PDH NADP+ NADPH + reductase proluciferin luciferin ATP Ultra-Glo™ rLuciferase Light Light GloMax ルミノメーター ~ 10 min ~ 60 min グルコースを含む 培地を除き、 2DG を添加 細胞溶解試薬や 発光測定試薬を 順次添加 ‘Cells as reagents’: Frozen, thaw-and-use cells (3-24hr) ‘Cells as reagents’: Frozen, thaw-and-use cells (3-24hr) w-and-use cells (3-24hr) a th , ‘Cells as reagents’: Frozen ‘Cells as reagents’: Frozen , thaw-and-use cells (3-24hr) w-and-use cells (3-24hr) a th , ‘Cells as reagents’: Frozen NAD(P)H NAD(P) ルシフェリン前駆体 ルシフェリン ルシフェラーゼ デヒドロゲナーゼ レダクターゼ Light Light グルコース、乳酸、 グルタミン、グルタミン酸 図 2. プロメガの代謝アッセイの測定プラットフォーム 代謝産物や栄養成分に対する特異的デヒドロゲナーゼとレダクターゼを用いた方法によ り、代謝産物・栄養成分を発光シグナルに変換して測定。 図 3. 発光テクノロジーを用いた代謝シフトの解析 乳がん細胞株 MDA-MB-231 細胞と MCF7 細胞を通常酸素分圧下(約 20% O2)および低 酸素条件下(3% O2)でそれぞれ培養し、細胞内グルコース量と分泌された乳酸量を比較 した。MCF7 細胞では低酸素条件下で培養することにより、乳酸の産生量が亢進し、解 糖系への代謝シフトが観察された。一方で、MDA-MB-231 細胞では代謝経路の変化は観 察されていない。 700000 600000 500000 400000 300000 200000 100000 0 RLU Hypoxia MDA-MB-231 MCF7 Normoxia Hypoxia Normoxia Glucose Lactate キーポイント 高感度 従来法の蛍光や吸光よりも高感度。RI 法とも同 等の感度。 RI 不要!スムーズな測定プロトコル 細胞の洗浄がほぼ 不要。Add to Measure の簡単プロトコル マルチアッセイへの応用 同一ウェル内で細胞生存性試 験が実施可能 3Promega KAWARABAN