テックの一言コラム_2015年7月号 これから創薬を始める方へ ~ セルベースアッセイを始めるまえに ~
これから創薬を始める方へ[Vol. 2] ~ セルベースアッセイを始めるまえに ~ 2015 年7月号 創薬の中の High Throughput Screenig(HTS)というプロセスに おいては、大量のサンプルの生理活性を調べるためにマイクロ プレートを使ったアッセイが必須となってきました。さらに、さ まざまなプレートが開発、発売されています。またプレートの 高密度化が 384 ウェル、1,536 ウェルへと進み、そもそもサン プルが混ざるのかどうか、それどころかどうやって分注するのか、 といった問題も生まれてきますが、現在では専用の装置も開発、 販売されています。 マイクロプレートには、透明、白、黒と色の工夫、また滅菌、 細胞の接着しやすい加工、最近では細胞を接着しにくくすること により細胞にスフェロイドを形成させるものなどが開発されて います。プロメガでは、ルシフェラーゼを応用した発光法を主 体として、蛍光、吸光度を用いた試薬をご提供していますが、 試薬を使用する上でときどきお問合せいただくのが、プレートの 色の選択です。発光、蛍光それぞれのメカニズムを考えると悩 む必要がありません。 励起範囲 発光測定 蛍光測定 プレート色の選択 白プレート 黒プレート 基本的に発光は白、蛍光は黒プレートを用います。発光は酵素 反応あるいは化学発光反応を利用しており、すべてのエネルギー 源はサンプル中にあります。またサンプル中には発光する物質、 バックグラウンドを上げるものは含まれていないため極力すべ ての光を検出器に回収するために、光を反射する白プレートを 用います。本来は鏡のプレートがあればよいのかもしれません。 一方、蛍光は外部から与える励起光の量をコントロールすること により、蛍光量をコントロールすることができるので、光量に困 ることはあまりありません。したがってバックグラウンドの上が らない黒プレートを用いるわけです。よって、一般的には発光 法は白、蛍光法では黒を第一選択とします。しかしながら、発 光法において十分な発光量がある場合は黒プレートの方がよい 結果が得られることがありますし、蛍光法においても、蛍光量 が得られないときなどは、白プレートを用いた方がよいこと もあります。ただしこの場合は S/B ではなくて、前回(Vol. 1) 記述しました Z’で評価することが重要になります。 プレートの色が決まり、プレートの表面処理が決まると、プレー トが決まります。 次に 96 ウェル以上の密度のプレートを用いたセルベースアッセ イになると、ぶつかる問題として、エッジエフェクトというもの があります。外側のウェルのシグナルが低いといった類の問題 です。これを非常に気にされる方は、外側のウェルをすべて使わ ないということもあります。となるとせっかくの 96 ウェルプレー トも、60 ウェルプレートになってしまいます。さて、これを何と かできないかと、プレートがインキュベーター中の金属の棚に 直接触れないようにするという話も聞いたことがあります。 エッジエフェクト : 外側のウェルシグナルが低い そんな中、いまから 12 年も前ですが A Simple Technique for Reducing Edge Effect in Cell-Based Assays というタイトルで、 ユニークな報告がありました。エッジエフェクトを除く方法は 至ってシンプル。細胞を播種したあと、CO2 インキュベーターに 入れるまえに室温に 1 時間放置するだけです。さらにこのレポー トでは、このエッジのウェル内での細胞の生え方まで調べてい て、ウェル内にもエッジエフェクトは起きていることを報告して います。 これはあくまでも報告ですが、もしもプロメガのセルベース アッセイをご利用いただいていて(いただいていなくとも)、エッ ジエフェクトが気になる方がいらっしゃいましたら、この報告 (J. Biomol. Screen. 2003; 8: 566-570)をご一読いただき、お試し ください。 テクニカルの ひ こ と と コラム テクニカルサービス Tel. 03-3669-7980/Fax. 03-3669-7982 E-Mail : prometec@jp.promega.com プロメガ株式会社 本 社 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町14-15 マツモトビル Tel. 03-3669-7981/Fax. 03-3669-7982