マルチプレックス解析: 同一細胞サンプルを用いた細胞生存性試験と遺伝子発現解析
マルチプレックス解析: 同一細胞サンプルを用いた細胞生存性試験と遺伝子発現解析 高次元細胞プロジェクト 培養細胞を用いた実験が日常化している現在、より生体に近い高次な細胞モデルである 3 次元培養細胞あるいは初代培養細胞、ES/iPS 分化細胞な ど特殊かつ貴重な細胞が多く利用されてきています。プロメガでは、これらに対応すべく高次元細胞プロジェクトとして、3 次元培養対応、カイネティ クス測定、多重測定(マルチプレックスアッセイ)あるいは、細胞内エネルギー代謝測定システムなど、より高度なツールを提供しています。今回は、 マルチプレックスアッセイの中でも、特にユニークな例をご紹介します。 細胞生存性測定と RNA 精製あるいはレポーターアッセイとのマルチ プレックス解析 培養細胞 核酸精製 (Maxwell® RSC / Reliaprep™) 細胞生存性試験 (RealTime-Glo® ) RT-qPCR (GoTaq® ) レポーターアッセイ (ONE-Glo® ) 細胞の継続的な生存性を測定するために、細胞非侵襲的な方法として RealTime-Glo™ が開発されました。この非侵襲的な特徴を生かして、 細胞生存性測定後に細胞を他の目的に利用することが可能です。薬剤 による細胞刺激、siRNA などによるノックダウンの影響の指標として、 細胞生存性試 験あるいは発 現量(転写量)の変化を測定します。 RealTime-Glo™ は両試験を同一細胞で測定することを可能にしました。 これを確認するために RealTime-Glo™ の RNA 精製に対する影響を調べた ところ、その収量に影響が認められず(図 1)、また、ホタルルシフェラー ゼによるレポーターアッセイに対する影響も認められませんでした(図 2)。 160 212 442 1075 1 10 100 1000 Microtissue Diameter (µm) RNA yield Yield (ng) Maxwell® + RT-Glo Maxwell® − RT-Glo ReliaPrep® + RT-Glo ReliaPrep® − RT-Glo 図 1. Maxwell® (自動精製)あるいは ReliaPrep™(マニュアル精製)による RNA 精製に 対する RealTime-Glo™ の影響 さまざまなサイズの HEK293 スフェロイドを RealTime-Glo™ を用いて細胞生存性を測定 した後、Maxwell® 16 LEV simply RNA Tissue Kit あるいは ReliaPrep™ RNA Tissue Miniprep System を用いて RNA 精製を行った。RealTime-Glo™ は、RNA の収量に影響を与えなかった。 図 2. ホタルルシフェラーゼアッセイに対する RealTime-Glo™ の影響 RealTime-Glo™ 試薬添加 2 時間後に細胞生存性を測定し、次にルシフェラーゼアッセイ 試薬である ONE Glo™ を添加して、ルシフェラーゼ活性を測定した。レポーターアッセイ の結果、RealTime-Glo™ 非処理(▲)と比較し RealTime-Glo™ 処理(■)による影響は 認められなかった。 0 1000 2000 3000 0.00E+00 1.60E+06 1.20E+06 8.00E+05 4.00E+05 2.00E+06 0.00E+00 4.00E+04 3.00E+04 2.00E+04 1.00E+04 5.00E+04 cells/well ONE-Glo (RLU) RealTime-Glo (RLU) ONE-Glo multiplex ONE-Glo alone RealTime-Glo 次に細胞周期をコントロールする CDK2 に対する siRNA をトランスフェ クションし、同一細胞を用いて細胞生存性および転写産物を定量しま した。CDK2 siRNA をトランスフェクションすると、継時的な細胞生存 性の低下が認められ、併せて細胞内の転写量が低下していることも確 認することができました(図 3)。この結果は CDK2 のノックダウンによ り細胞周期が停止し、細胞数が減少したことを示唆していました。 CDK2 Cyclophillin B Relative Expression 2 1.5 1 0.5 0 Non-Targeting CDK2 Cyclophillin B Non-Targeting CDK2 Cyclophillin B 120 100 80 60 40 20 0 CDK2 CyclophillinB Cell Viability RT-qPCR % of Non-Targeting Control Signal 24hr 48hr 図 3. siRNA 処理による細胞生存性試験と遺伝子発現解析のマルチアッセイ CDK2 およびハウスキーピング遺伝子 Cyclophilin B に対する siRNA 処理後 24 時間および 48 時間に RealTime-Glo™ による細胞生存性試験を行った。さらに、同一の細胞サンプ ルより抽出した RNA と GoTaq® 1-Step RT-qPCR System を用いて RT-qPCR を行い各遺伝 子の転写物を定量した(コントロール:GAPDH)。CDK2 のノックダウンは細胞生存性を 低下させたが、Cyclophilin B では顕著な影響は認められなかった。 RealTime-Glo™ については、このほかに ATP 測定による細胞生存性試 験 CellTiter-Glo®、アポトーシス試験 Caspase-Glo® 3/7 などを組み合わせ たマルチプレックスアッセイが可能で、その他 Promega の多くのアッセ イシステムでもマルチプレックスアッセイが構築されています。詳細につ いては弊社 Web サイトを参照いただくか直接お問い合わせください。 今すぐ始めたいけど装置が無い?そんな時は… www.promega.co.jp/rentamax/ 関連製品 サイズ カタログ番号 価格(¥) セルベースアッセイ 細胞生存性試験(リアルタイム) RealTime-Glo™ MT Cell Viability Assay 100 回分 G9711 20,000 特 10 × 100 回分 G9712 97,000 1000 回分 G9713 88,000 ホタルルシフェラーゼアッセイ ONE-Glo™ Luciferase Assay System 10 ml E6110 22,000 特 100 ml E6120 139,000 核酸精製 RNA 自動精製 Maxwell® RSC System 1 台 AS4500 2,800,000 Maxwell® RSC simplyRNA Tissue 48 回分 AS1340 39,000 RNA マニュアル精製 ReliaPrep™ RNA Tissue Miniprep System 50 回分 Z6111 34,000 PC 250 回分 Z6112 152,000 PC RT-qPCR GoTaq® 1-Step RT-qPCR System 200 回分 A6020 75,000 PC 特 キャンペーン対象製品:詳細については 8 ページをご覧ください。 PC プロメガクラブ対象製品です。会員価格については www.promega.co.jp/promegaclub.html でご確認ください。 高次元細胞プロジェクト 検索 5