1. HOME
  2. 全件表示
  3. 遺伝子導入試薬 MultiFectam

遺伝子導入試薬 MultiFectam

Te c hnical Bulletin 遺伝子導入試薬 MultiFectam INSTRUCTIONS FOR USE OF PRODUCTS ETF1000, ETF,2000 and ETF5000. PRINTED IN JPN. 08/2012 Part# TBJ100 I. はじめに ………………………………………………………………………………………………………. 1 II. 製品容量と保存 ……………………………………………………………………………………………. 2 III. プロトコール ………………………………………………………………………………………………. 2 A. 細胞の準備 ………………………………………………………………………………………………… 2 B. MultiFectam/ プラスミド DNA 複合体形成および細胞へのトランスフェクション ……. 3 C. MultiFectam / siRNA 複合体形成および細胞へのトランスフェクション…………….. 4 D. MultiFectam / siRNA / プラスミド DNA 複合体形成および細胞へのトランスフェクション. 4 IV. 参考文献 …………………………………………………………………………………………………….. 5 V. 関連製品 ……………………………………………………………………………………………………… 5 I. はじめに 本製品は、様々な哺乳動物由来の培養細胞中へプラスミド DNA や siRNA を効果的に導入で きるトランスフェクション試薬です。本製品は、ポリアミドアミンデンドロンを極性基とす るカチオン性脂質からなり、静電気的相互作用により核酸と複合体を形成します。この複合 体は、エンドサイトーシスにより細胞内のエンドソームに取り込まれます。その後、複合体は、 ポリアミドアミンデンドロンにより誘起されるプロトンスポンジ効果注 1 およびエンドソーム 膜との疎水的相互作用により、効率よくエンドソームから細胞質へと放出される為、高い遺 伝子導入効率が得られます(参考文献 1, 2)。 特長 ・新しい細胞導入メカニズム。 ・正常細胞を含む多くの細胞に対し、低毒性かつ高い遺伝子導入効率。 ・血清存在下においても遺伝子導入が可能。 ・操作が簡便。 ・非ウイルス系遺伝子導入試薬。 ・siRNA の導入も可能。 製品マニュアルは弊社のウェブサイトでもご入手頂けます(www.promega.co.jp/lit/ multifectam/)。最新バージョンについてはウェブサイトをご覧ください。製品の技術的な お問い合わせは prometec@jp.promega.com までお寄せください。 MultiFectam 技術的なお問合せ: e-mail: prometec@jp.promega.com・Tel: 03-3669-7980・Fax: 03-3669-7982 Page 1 技術的なお問合せは: e-mail: prometec@jp.promega.com・Tel: 03-3669-7980・Fax: 03-3669-79822 Page 2 注 1:プロトンスポンジ効果とは、試薬のプロトン(H+ )バッファリング効果によりエンドソーム内の pH 低下を抑制し、エ ンドソーム内に塩化物イオンを集積させ、浸透圧によってエンドソームを膨張、破裂させる効果のことです。遺伝子の発現 / siRNA の発現抑制のためには MultiFectam などのカチオン性ポリマーと核酸の複合体がエンドサイトーシス経由で細胞内に 取り込まれた後に、エンドソームから細胞質へ放出される必要があります。プロトンスポンジ効果によって、エンドソーム が膨張、破裂することで効率よくエンドソームに取り込まれた核酸が細胞質に放出されるようになります。 II. 製品容量と保存 容量 Product Size Cat. # MultiFectam(凍結乾燥品) 1.98mg (6 x 0.33mg)ETF5000 0.66mg (2 x 0.33mg) ETF2000 0.33mg (1 x 0.33mg) ETF1000 MultiFectam 1.98mg は、24 ウェルプレート 20 枚分 (480well 分 : 240µg 相当の DNA)。 siRNA の場合、24 ウェルプレート 18 枚分 (450well 分 : 9000pmol 相当の siRNA) 保存方法 ・未溶解の MultiFectam は、冷蔵保存 (4°C) して下さい (-20°C でも保存可能 )。 ・溶解後は、冷蔵 (4°C) で 3 か月の保存が可能です。 溶解後 3 か月以上保存する場合には、冷凍保存 (-20°C) して下さい注 2 。  注 2:冷凍保存(-20℃)した場合、6 カ月使用可能です。 III. プロトコール 以下のプロトコールは、24 ウェルプレート用です。ご利用のプレートに応じて試薬量は調節して ください(表 1 参照) A. 細胞の準備  接着細胞:トランスフェクションする当日に 50 - 80% コンフルエントになるように、細胞を播種 しておきます。培地(血清を含む注3 )の量はトランスフェクション時には500 µlにします。 浮遊細胞:トランスフェクション当日に、500 µl の培地(血清を含む注 3 )に 0.5~1.5 × 106 個 の細胞(細胞種に依存)になるように播種します。 ステップ 1 DNA 溶液 /siRNA 溶液の調製(TE など) ステップ 2 MultiFectam と DNA 溶液 /siRNA 溶液を混合して、30 分間インキュベーション ステップ 3 さらに無血清培地を加えて混合後 5 分間インキュベーション ステップ 4 培養細胞に添加する ステップ 5 4 時間後に培地交換する。 表 1. 様々な細胞培養フォーマットにおけるトランスフェクションスケール Growth Area* 培地量(ml) MultiFectam (µl) DNA -Tris 溶液 Opti-MEM® (µl) 1 ウェルあたりの DNA / total volume 添加量(µl) 96-well 0.32 cm2 0.1 2.5 0.1 µg / 5.0 µl 2.5 10 48-well 0.82 cm2 0.2 5.0 0.2 µg / 10.0 µl 5.0 20 24-well 1.88 cm2 0.5 12.5 0.5 µg / 25.0 µl 12.5 50 12-well 3.83 cm2 1.0 25.0 1.0 µg / 50.0 µl 25.0 100 6-well 9.4 cm2 2.5 62.5 2.5 µg / 125 µl 62.5 250 35 mm 8.0 cm2 2.0 50.0 2.0 µg / 100 µl 50.0 200 60 mm 21 cm2 5.0 125 5.0 µg / 250 µl 125 500 100 mm 55 cm2 10.0 250 10 µg / 500 µl 250 1000 表 2. MultiFectam とプラスミド DNA-Tris 溶液の混合比率と添加量 混合比 MultiFectam DNA -Tris 溶液 Opti-MEM® 1 ウェルあたりの添加量 DNA / total volume A * 1 16.7 µl 0.5 µg / 20.8 µl 12.5 µl 50 - 100 µl B * 2 12.5 µl 0.5 µg / 25.0 µl 12.5 µl 50 - 100 µl C * 3 8.4 µl 0.5 µg / 29.1 µl 12.5 µl 20 - 50 µl * Corning® culture dishes のデータによります。 MultiFectam とプラスミド DNA 溶液との最適混合比率・添加量は、細胞種および実験条件によ り異なることがあります。表 2 に記載している混合比率、添加量の検討もお勧めします注 8 。 A * 1 :高発現が期待できますが、毒性がみられることがあります。添加量を少なくすることをお勧めいたします。 B * 2 :多くの細胞種において最適な条件です(標準法)。 C * 3 :低毒性の条件ですが、発現がやや低いことがあります。添加量を増やすことをお勧めいたします。 *4 :毒性がみられない場合、添加量を増やすことでより多くの発現がみられることがあります。 Page 3 技術的なお問合せは: e-mail: prometec@jp.promega.com・Tel: 03-3669-7980・Fax: 03-3669-7982 B. MultiFectam/ プラスミド DNA 複合体形成および細胞へのトランスフェクション 1. MultiFectam に 1 ml の滅菌水(室温)を加え、約 10 秒間静置します。その後、ボルテックス でよく混合します。溶解後の試薬は、4℃もしくは -20℃で保存してください。 2. 20 mM Tris-HCl (pH 7.4)バッファーに、0.5µg のプラスミド DNA を添加し、0.5µg/25µl と なるよう調製します注 4 。 3. 調製した 25µl のプラスミド DNA 溶液に、12.5µl の MultiFectam を加え、ボルテックスでよく 混合し、室温で 30 分間インキュベートします。(MultiFectam / プラスミド DNA 複合体形成)。 4. さらに 12.5µl の Opti-MEM® I Reduced Serum Medium (Invitrogen, #31985-062)、また  は無血清培地を添加し、よく混合し、室温で 5 分間静置します注 5 。 5. 1 ウェルあたり 50 µl の MultiFectam / プラスミド DNA 複合体溶液を加え、均一になるよ   うプレートを揺らして混合します。毒性が確認される場合は、1 ウェル当たりの添加量を   減らす、もしくは表 2 にしたがい MultiFectam とプラスミド DNA の混合比率・添加量の   検討を行ってください。 6. 37℃、5%CO2 下で細胞を 4 時間インキュベートし、新しい増殖培地に交換してください注 6 。 7. 24 – 96 時間後に目的遺伝子の発現がみられます。 C. MultiFectam / siRNA 複合体形成および細胞へのトランスフェクション 1. MultiFectam に 750 µl の滅菌水(室温)を加え、約 10 秒間静置します。その後、ボルテックス でよく混合します。溶解後の試薬は、4℃もしくは -20℃で保存してください。 2. siRNA を Opti-MEM® I Reduced Serum Medium (Invitrogen)もしくは無血清培地で希釈し、 終濃度 1.0 pmol/µl の siRNA 溶液を調製します注 7 。 3. 調製した siRNA 溶液 20 µl (20 pmol)に MultiFectam 10 µl を加え、タッピングでよく混合し、 室温で 30 分間インキュベートします。(MultiFectam /siRNA 複合体形成)。 4. 1 ウェルあたり 30 µl の MultiFectam /siRNA 複合体溶液を加え、均一になるようプレー トを揺らして混合します。 5. 37℃、5% CO2 下で細胞を 4 時間インキュベートし、新しい増殖培地に交換してください注 6 。 6. 24~120 時間後に標的遺伝子発現のノックダウン効果がみられます。 D. MultiFectam / siRNA / プラスミド DNA 複合体形成および細胞へのトランスフェクション 1. MultiFectam に 750 µl の滅菌水(室温)を加え、約 10 秒間静置します。その後、ボルテックス でよく混合します。溶解後の試薬は、4℃もしくは -20℃で保存してください。 2. 20 mM Tris-HCl( pH 7.4)バッファーに、0.2 µg のプラスミド DNA、10 pmol の siRNA を添加し、11.75 µl となるよう調製します注 4 。 3. 調整した 11.75 µl の DNA, siRNA-Tris 溶液に MultiFectam 8.75 µl を加え、タッピングでよ く混合し、室温で 25 分間インキュベートします(MultiFectam /siRNA / プラスミド DNA 複合体形成)。 4. さらに 14.5µl の Opti-MEM® I Reduced Serum Medium (Invitrogen, #31985-062)、または 無血清培地を添加し、よく混合し、室温で 5 分間静置します注 5 。 5. 1 ウェルあたり 35 µl の MultiFectam /siRNA / プラスミド DNA 複合体溶液を加え、均一に なるようプレートを揺らして混合します。 6. 37℃、5% CO2 下で細胞を4時間インキュベートし、新しい増殖培地に交換してください注6 。 7. 24~120 時間後に標的遺伝子発現のノックダウン効果がみられます。 技術的なお問合せは: Page 4 e-mail: prometec@jp.promega.com・Tel: 03-3669-7980・Fax: 03-3669-79822 表 3. 様々な細胞培養フォーマットにおけるトランスフェクションスケール Growth Area* 培地量(ml) MultiFectam (µl) siRNA 溶液 1 ウェルあたりの siRNA / total volume 添加量(µl) 96-well 0.32 cm2 0.1 2 4 pmol / 4 µl 6 48-well 0.82 cm2 0.2 4 8 pmol / 8 µl 12 24-well 1.88 cm2 0.5 10 20 pmol / 20 µl 30 12-well 3.83 cm2 1.0 20 40 pmol / 40 µl 60 6-well 9.4 cm2 2.5 50 100 pmol / 100 µl 150 35 mm 8.0 cm2 2.0 40 80 pmol / 80 µl 120 60 mm 21 cm2 5.0 100 200 pmol / 200 µl 300 * Corning® culture dishes のデータによります。 注 3:血清を含む培地と無血清培地を使った場合の導入効果に大きな違いは認められません。 注 4:DNA を溶解する溶液として 20mM Tris-HCl(pH7.4)以外に TE(Tris/EDTA)も利用可能です。 注 5:OPTI-MEM® 培地の替わりに PBS を使用すると毒性が強く認められるケースがあります。 注 6:培地を交換したほうが細胞に対してのダメージは少なくなります。そのため、交換することを推奨しています。 注 7:siRNA を TE もしくは滅菌水で溶解して使用することも可能です。10-20pmol/µl の濃度の siRNA 溶液は、1 pmol/µl に なるように RNase フリーの TE や Opti-MEM® などの無血清培地で希釈してご利用ください。 注 8:細胞によって最適な混合比が異なります。表 2 にあるような、いくつかの混合比をお試しいただき最適な混 合比を決定してください。 IV. 参考文献 1. T.Takahashi, K.Kono, T.Itoh, N.Emi, T.Takagishi: Synthesis of novel cationic lipids and their transfection activity. Bioconjugate Chem., 14, 764-773(2003). 2. T.Takahashi, A.Harada, N.Emi, K.Kondo: Preparation of efficient gene carriers using a polyamidoamine dendron-bearing lipid: improvement of serum resistance. Bioconjugate Chem., 16, 1160-1165(2005). V. 関連製品 製品名 サイズ カタログ番号 定価(¥) トランスフェクション試薬 FuGENE® HD Transfection Reagent 1ml E2311 55,000 5X1ml E2312 220,000 FuGENE® 6 Transfection Reagent 1ml E2691 55,000 5X1ml E2692 220,000 Page 5 技術的なお問合せは: e-mail: prometec@jp.promega.com・Tel: 03-3669-7980・Fax: 03-3669-7982 <特許>  特許第 4305615 「ポリアミドアミンデンドロンを含む遺伝子導入組成物」 MultiFectam と siRNA 溶液との最適混合比率・添加量は、細胞種および実験条件により異な ることがあります。混合比率、添加量の検討もお勧めします注 8 。 表 4. 様々な細胞培養フォーマットにおけるトランスフェクションスケール Growth Area * 培地量 (ml) MultiFectam (µl) siRNA/DNA-Tris 溶液 Opti-MEM® (µl) 1 ウェルあたり siRNA/DNA/total volume の添加量(µl) 96-well 0.32 cm2 0.1 1.75 2pmol/0.04µg/2.35µl 2.9 7 2.75 4pmol/0.04µg/4.08µl 4.8 11.63 48-well 0.82 cm2 0.2 3.5 4pmol/0.08µg/4.7µl 5.8 14 5.5 8pmol/0.08µg/8.16µl 9.6 23.26 24-well 1.88 cm2 0.5 8.75 10pmol/0.2µg/11.75µl 14.5 35 13.75 20pmol/0.2µg/20.4µl 24 58.15 12-well 3.83 cm2 1 17.5 20pmol/0.4µg/23.5µl 29 70 27.5 40pmol/0.4µg/40.8µl 48 116.3 6-well 9.4 cm2 2.5 43.75 50pmol/1µg/58.75µl 72.5 175 68.75 100pmol/1µg/102µl 120 290.75 35 mm 8 cm2 2 35 40pmol/0.8µg/47µl 58 140 55 80pmol/0.8µg/81.6µl 96 232.6 60 mm 21 cm2 5 87.5 100pmol/2µg/117.5µl 145 350 137.5 200pmol/2µg/204µl 240 581.5 * Corning® culture dishes のデータによります。 プロメガ株式会社 東京都中央区日本橋大伝馬町 14-15 TEL: 03-3669-7981 FAX: 03-3669-7982