NanoLuc® ってすごい!:より高感度なレポーターアッセイ
従来の Dual アッセイに比べて高い発光値 新しい Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay は一つのウェルから、 NanoLuc® luciferase とホタルルシフェラーゼの 2 つを検出することがで きます。NanoLuc® Luciferase は、従来のホタルルシフェラーゼに比べ 150 倍 以 上 明 る い ル シフェラ ー ゼ で す。 図 1 で従来の Dual-Glo® Luciferase Assay および Dual-Luciferase® Reporter Assay における各ルシ フェラーゼと発光値を比較しています。Dual-Glo® Luciferase Assay のホタ ルルシフェラーゼの発光値に比べ、Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay の NanoLuc® の発光値は、飛躍的に高くなっています。ルシフェラー ゼの発光値が高いことにより、これまで見えていなかったシグナル、例 えばトランスフェクション効率が低い細胞、またシグナルレベルが低く、 バックグラウンドに埋もれていたシグナルを検出できるようになります。 また、従来の Dual-Glo® Luciferase Assay と同じように、培地に直接試薬 を加える簡便なプロトコールで実験を行うことができます。さらに、従 来の Dual-Luciferase® Reporter Assay に匹敵する発光値が得られますの で、簡単なプロトコール、インジェクターを使った操作が不要になります。 安定かつ高い応答性の NanoLuc® Luciferase NanoLuc® Luciferase の特長の一つとして、高い安定性が挙げられます。 図 2 では細胞内でのホタルおよび NanoLuc® Luciferase の安定性を示し ております。NanoLuc® はホタルルシフェラーゼに比べ、長時間高い安 定性を保持しています。その一方で、タンパク質分解配列 PEST を付加 した場合、より速やかに分解されます。この高い安定性と迅速な分解は、 データの安定性あるいは応答性の高さに直結します。また、細胞種に よらず安定したデータが得られますので、これまでのような、細胞種に よりデータが得られないという問題が解消されます。 スクリーニングに最適な NanoLuc® レポーター NanoLuc® Luciferase は、レポーターアッセイを用いた化合物スクリーニン グに適しています。従来のホタルルシフェラーゼはその発光反応に ATP を必要とする一方で、NanoLuc® Luciferase は ATP を必要としませんので、 発光反応に対する影響が最小限に抑えられます。また、温度や pH の変 化に対して広い範囲で耐性があります(ACS Chem. Biol., 2012, 7 (11), pp 1848–1857)。さらにプロメガは、ルシフェラーゼと化合物が直接相互 作用して生じる偽陽性をあらかじめ検出するシステムを開発しました。 pNLCoI Vectors は次世代の Coincident ベクターシステムで、同じ mRNA 転写物からホタルルシフェラーゼ(luc2)と PEST 不安定化ドメインが融 合した NanoLuc(® NlucP)の両方を発現します。これにより2 つのルシフェ ラーゼに対する化合物との相互作用プロファイルが得られます(図 3)。 化合物のハイスループットスクリーニングで使用すれば、どちらか片方 のルシフェラーゼと化合物との直接相互作用による偽陽性が、両方のル シフェラーゼで同様の反応を示す真の陽性と区別することができます ので、デュアルアッセイを行うことにより偽陽性のヒット率が下がりま す。また、1 次スクリーニングを NanoLuc® で、2 次スクリーニングをデュ アルで行うことにより、偽陽性を振るい落とすことができます(8 ペー ジ参照)。 NanoLuc® ってすごい!:より高感度なレポーターアッセイ ありのままの細胞解析 レポーターアッセイのニーズは、実験対象の広がりに伴い、より高感度、より簡便な系が求められています。近年は希少なプライマリー細胞や iPS 細 胞での検出での使用例が多くなり、より高感度なアッセイシステムが必要とされています。プロメガはタンパク間相互作用(PPI)等のタンパクレベル での解析を目的とした Protein Reporter と、遺伝子発現解析を目的とした Genetic Reporter の 2 つのレポーターシステムをご用意しております。前 回は Protein Reporter として、PPI 解析システムである NanoBRET™、NanoBiT® をご紹介しました。今回は特に Genetic Reporter について、新しく開 発した Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay に焦点を当ててご紹介致します。 プロメガ NanoLuc® 検索 12881MA 104 105 106 107 108 Relative Luminescence (RLU) RLuc in DLR FLuc in DLR NLuc in NanoDLR FLuc in NanoDLR RLuc in Dual-Glo FLuc in Dual-Glo Time After Reagent Addition (minutes) 0 20 40 60 80 100 120 図 1. NanoDLR™ アッセイのより明るく安定な発光特性 NanoDLR™ アッセイのより明るく安定な発光特性 TK-RLuc(ウミシイタケ):TK-FLu(c ホ タル):キャリア DNA または TK-NLuc(NanoLuc® ):TK-FLuc:キャリア DNA をそれぞれ 1:1: 8 の割合で HEK293 細胞にトランスフェクションし、NanoDLR™、DLR™ または Dual-Glo® Dual-Luciferase® Assay System を用いて測定した。同じプロモーターでルシフェラーゼを発 現させた場合、NanoDLR™ Assay により測定した NLuc レポーターで最も明るい長時間発 光シグナルが得られ、Fluc レポーターも十分明るい長時間発光シグナルが得られた。 各種ルシフェラーゼ アッセイとの発光比較 % activity 100 50 0 t[min] 0 100 200 300 NLuc NLucP NLuc HEK293 HeLa NLucP FLuc FLuc-P NanoLuc NanoLuc-P % activity 100 50 0 100 200 300 t[min] 0 図 2. 細胞内における NanoLuc® およびホタルルシフェラーゼの安定性の比較 細胞内での各種ルシフェラーゼの安定性を評価した。HEK293 細胞に各種ルシフェラー ゼ Nluc、NlucP、Fluc、FlucP を一過的に恒常発現させ、シクロヘキシミドの添加によりタン パク合成をブロックしてからの発光値の変化を示す。 シクロヘキシミドの添加によりタンパク合成をブロックしてからの発光半減期 Cell line FLuc FLucP NLuc NLucP HEK-293 >6 h 2.0 ± 0.4 h >6 h 18 ± 11 min HeLa 3.8 ± 1.3 h 1.4 ± 0.2 h >6 h 20 ± 6 min U2OS(n=1) >6 h 2.8 h >6 h 36 min ※ FLucP および NLucP はタンパク質分解配列 PEST を付加し、応答性を向上させるため のベクターです。 0 5 10 15 HuTlR9/HuUnc93B1 Fold Induction None 1 ng/well 5 ng/well 10 ng/well 25 ng/well 50 ng/well 100 ng/well 200 ng/well 図 4. レポーター DNA 量に 依存しない安定した誘導倍率 HEK293 細胞に pNL3.2.NF-κ B-RE Vector(各濃度)およびヒト Toll like receptor 9/ ヒト Unc93B1 発現ベク ターを導入し、一定量の誘導剤を 添加した際のレポーター活性を Nano-Glo® Dual-Luciferase® Reporter Assay で測定し、その Fold Induction を示した。レポーターベクターの濃 度によらず、同等な誘導を示してい ることが分かる。 Reporter 1 p2A Reporter 2 Fluc Nluc True Hit Nluc Stabilization Fluc Stabilization 12519MA 図 3. タンデムレポーターを用いたスクリーニングにおける偽陽性の簡便な検出 タンデムレポーターベクターは、同じ mRNA 転写産物よりホタルルシフェラーゼと分解配 列をつけた NanoLuc® ルシフェラーゼを発現する。2 つのレポーターはリボソームスキッ プ機構を引き起こす短い P2A 配列により 2 つの未融合の可溶性ルシフェラーゼに分断さ れるため、より正確な化合物プロファイルの作成が可能となる。 東京大学医科学研究所 感染遺伝学 柴田 琢磨 先生 レポーター DNA 量の希釈系列を作製し、 最適な導入条件を検討しました。 • 従来のホタルルシフェラーゼを利用した Luciferase Assay System では、高濃度のレポー タープラスミドの条件下では誘導倍率が低下することから至適条件 の検討が必要でした。またシグナルの活性化が見られる実験条件が 限られていた為、実験間および実験者によりデータがバラついてい ました。 • ホタルルシフェラーゼから NanoLuc® に変えることにより、広いレン ジのレポータープラスミド量で同等の誘導を検出でき、データが安定 するようになりました(図 4)。 レポーター DNA 量に関わらず一定の誘導倍率が得られ、トランスフェ クション効率や手技の違いによらず、安定した結果が得られるように なった。 お客様 の声 関連製品については 8 ページをご覧ください。 5Promega KAWARABAN