Promega Info 鼻咽頭ぬぐい液・唾液・喀痰からの コロナウイルス RNA 抽出の自動化
Promega Info プロメガ株式会社 群馬大学附属病院 検査部 平本卓 先生、須田いつみ 先生、 宮下大地 先生、丹羽尊彦 先生、 高橋美紀 先生、村上正巳 先生 鼻咽頭ぬぐい液・唾液・喀痰からの コロナウイルス RNA 抽出の自動化 当検査部の検査体制 群馬大学医学部附属病院は、特定機能病院ならびに第一種感染症指定医療機関として群馬県の中核病院の役割を担っており、検 査部では、24時間/365日の体制をとり、救急外来等の緊急検査にも対応している。 新型コロナウイルス検査のフロー : ウイルスRNA抽出 編 当院ではSARS-CoV2核酸検査を2020年3月より院内で開始している。開始当初、核酸精製は感染研マニュアルで紹介されているシリ カメンブレンのスピンカラム法を用いた用手法-RNA抽出キットを使用していたが、4月にMaxwell® RSC Instrument を導入し、 Maxwell® RSC Viral Total Nucleic Acid Purification Kit によるRNA抽出を行っている。 導入に際して、Maxwell® Kit はスピンカラム法と同等の感度が得られることを、陽性検体の Cp値の比較により確認した(裏面参照)。 新型コロナウイルス検査のフロー : RT-PCR検査薬 編 当院では、「感染研プロトコルに則ったPCR法」を採用し、「cobas Z480」を用いて測定している。 以下の二点の理由から、「感染研プロトコルに則ったPCR法」を採用した。 1. 衛生研等による行政検査が「感染研プロトコルに則ったPCR法」を採用しており、判定の不一致などを避けるため、当院においても検 査/検出法を同一とした。 一回目の検査:感染研プロトコルに則ったPCR法※ 二回目の検査:群馬大学病院におけるPCR法(病態のフォロー)※※ 三回目の検査:群馬大学病院におけるPCR法(病態のフォロー) ※※ 2. 術前の陰性確認などにおいて、低コピーのウイルスRNAの検出が特に重要であり、検出感度の高さを実現できる方法を採用した。 ※ ただし、継続的に、他法の検討も行う ※※ 再検査においては、感染研プロトコルに則ったPCR法の他、ロシュ社キットやLAMP法も活用している 同検体・再抽出検体で再度、 PCR検査(他法での測定含) 陽性 COVID-19 陰性 検体再採取を検討 経過観察 など 判定保留 ※非特異的な曲線が 認められた場合など Maxwell® RSC および Viral TNA Kitで ウイルスRNA抽出 感染研法の cobas z480で測定 お問合せ先 プロメガ株式会社 Maxwell RSC 検索 www.promega.jp TEL. 03-3669-7981 E-mail: prometec.jp@promega.com Promega Info PK2010-03T SARS-CoV2 核酸検査 鼻咽頭ぬぐい液 ウイルス輸送用培地 又は 綿棒 + 生理食塩水 ボルテックスで撹拌 (10~15秒間) 825 xg、15分間 喀痰 滅菌容器に採取 1倍量の10% DTT in PBSを加え ボルテックスで撹拌 (10~15秒間) 15分間 室温放置 DNase処理 唾液 滅菌容器に採取 1~3倍量の PBS を加えボルテックスで 撹拌 1,930 ×g、15分間 ① 上清 200µL を新しい 1.5ml チューブに移す。 ② Lysis Buffer 200µL とProteinase K 20µL を加える。 ③ 56℃、10分間のインキュベーションを行う (ウイルスの不活化) 。 ④ Maxwell® RSC Viral Total Nucleic Acid Purification Kit を用いてRNA抽出を行う。 当検査部におけるMaxwell® RSC 導入の効果 ① 感染研推奨の用手法と同等の高い精製品質を確保 臨床検体を用いたMaxwell® RSC Viral TNA Kit と QIAamp Viral RNA Mini Kitとの比較結果(Cp値) 両キットにおいて、同等の Cp を示し ( 陽性:4件、陰性:2件 )、結果 は良好であった。 ② 検体数が増える中、核酸精製工程の自動化により、高い検出感度を保ちつつ、ターン・アラウンド・タイムを改善。 10検体の報告までの操作に要する時間を用手法と比較したところ、操作時間に関してはおよそ30分短縮することができた。(下図参照) Maxwell® は一度に16検体まで抽出可能であるため、検体運用の効率化にもつながった。 用手法と比較して、手技の時間は大幅に短縮できた。 検体数が多いほど検体運用の効率化改善が顕著となった。 ③ 手技間差・コンタミリスクの低減・安全性の確保 →前処理後は抽出終了まで機械内で自動で行われるため、手技 間差(熟練度に依存)が排除され核酸精製品質の平準化に繋がった。 更に、コンタミリスクの低減・安全性確保にも繋がった。 ④ LAMP法の前処理として Maxwell ® RSC と LAMP法 による SARS-CoV2 核酸検出の検討 臨床検体5件(陽性:3件、陰性:2件)を用いて当院プロトコルと比較した。 結果は全て一致した。LAMP法によるSARS-CoV2核酸検出においてもMaxwell RSCは有用と考えられた。 検体番号 Maxwell® RSC QIAGEN 1 13.83 14.01 2 17.57 16.00 3 32.88 32.13 4 27.81 29.09 LAMP法との検討結果 Maxwell® RSC+感染研プロトコル (Cp) Maxwell® RSC+LAMP (Tt) 1 13.83 10:54 2 - - 3 17.57 12:42 4 32.88 30:48 5 - -