Promega Info FFPEからのDNA抽出キットの選択
Promega Info プロメガ株式会社 国立がん研究センター 中央病院 臨床検査科 遺伝子検査室 柿島 裕樹 先生 FFPEからのDNA抽出キットの選択 ~ 解析に適した高品質なDNAを得るために ~ 後列左から柿島先生、千木良先生 前列左から吉田先生、福原先生 -吸光度計による 収量測定- ー TapeStationによる DIN測定※- ※DIN (DNA Integrity Number) 解析アプローチを考慮したDNA抽出キットの選択 検討を行った 千木良 浩志 技師,ご指導頂いた松下 弘道 先生に感謝申し上げます. P<0.005 (μg) Maxwell® RSC DNA FFPE Kit シリカメンブレン スピンカラム法(他社) 切断された DNA も多く溶出されており,収量が多く DIN は 見かけ上低くなる。しかし qPCR の解析は問題なく行えるレベ ルである。 抽出された DNA は高品質であり、オールラウンドな解析で使 用できると言える。DIN の数値は NGS 解析の品質指標とし て機能する。 セルブロックから作製した FFPE未染標本( 9例,固定時間 72 時間以内,切片面積 約 5mm2,薄切10 μm×5枚) から 「Maxwell® RSC DNA FFPE Kit」 と他社のシリカメンブレンのスピンカラムを用いた抽出キットで抽出を行い、 収量と品質について検証した。 同じ検体であっても・・・ P<0.005 Maxwell® RSC DNA FFPE Kit シリカメンブレンスピ ンカラム法(他社) Maxwell® RSC DNA FFPE Kit シリカメンブレンスピ ンカラム法(他社) DNA抽出キットの特性の違い 両者とも抽出キットの特性が現れており、「Maxwell® RSC DNA FFPE Kit」 は、オールラウンドに解析が行えるよう、 高品質なDNAのみを抽出している。 DNA抽出キットの性能の指標として収量がよくあげられるが、FFPEのDNA抽出においては、ホルマリン固定によるDNA切断という 品質低下が生じていることを考慮する必要があり、収量と共に品質について考えなければならない。各キットが抽出するDNAの特性 をつかんでおく必要がある。 近年、NGS など解析法が多様化するなか、必要となる FFPE の DNA品質の許容レベルは異なり、解析アプローチを踏まえたう えでDNA抽出キットが選択される時代に入ったといえる。 お問合せ先 プロメガ株式会社 Maxwell RSC 検索 www.promega.jp TEL. 03-3669-7981 E-mail: prometec.jp@promega.com Promega Info PK2011-04T 製品名 カタログ番号 サイズ 定価 Maxwell® RSC Instrument AS4500 一式 2,800,000 Maxwell® RSC FFPE DNA Kit – PKK, Custom AX2500 48回分 41,000 FFPE 180μl Incubation Buffer 20μl Proteinase K 1時間~ 一晩 @ 70℃ 400μl Lysis Buffer Maxwell® RSC FFPE DNA Kit, PKK – Customの操作手順 カートリッジ へ移送 Maxwell® RSC Instrumentで DNA抽出 (約 30分間) その他、がんゲノム関連製品 試料など 製品名 カタログ番号 サイズ 定価(¥) FFPE DNA Maxwell® RSC DNA FFPE Kit AS1450 48回分 43,000 FFPE RNA Maxwell® RSC RNA FFPE Kit AS1440 48回分 43,000 血液 DNA Maxwell® RSC Blood DNA Kit AS1400 48回分 43,000 血漿 (~1ml) ccfDNA Maxwell® RSC ccfDNA Plasma Kit AS1480 48回分 96,000 血漿 (~4ml) ccfDNA Maxwell® RSC Large Volume ccfDNA Plasma Kit, Custom AX1115 48回分 120,000 血漿/血清 miRNA Maxwell® RSC miRNA Plasma and Serum Kit AS1680 48回分 43,000 国立がん研究センター 検査室での核酸抽出キットの実際 ~ 非小細胞性肺がんにおけるEGFRのコンパニオン診断とFFPEからのDNA抽出キットについて ~ 当検査室では、2013年、therascreen® EGFR 変異検出キット RGQ 「キアゲン」 を用いて、肺の非小細胞性肺がんにおけるコン パニオン診断としてEGFRの変異解析を開始した。 当初、FFPE からの DNA抽出は、シリカメンブレンのスピンカラムを用いた用手法の DNA抽出キットを使用していた。 2015年に、Maxwell® RSC Instrument を導入し、Maxwell® RSC DNA FFPE Kit – PKK, Custom (カタログ番号 AX2500) を用いたDNA抽出法に切り替えを行った。プロメガの本キットは脱パラフィンが不要で、前処理として Proteinase K 処理をオーバーナイトで行うだけであり、非常に簡便で、作業の効率化を実現することができた。 その後、オシメルチニブに対応した 「コバス EGFR 変異検出キット v2.0」(ロシュ)への切り替えに伴い、DNA抽出キットは、同社の 「コバス DNA プレパレーションキット」(用手法)へと変更し今に至っている。 今後、仕様変更などにより コバス と Maxwell® RSC DNA FFPE Kitでのエビデンスが示されれば、省力化、ヒューマンエラーリスクの 回避、手技間差などを抑えるために、再度、FFPE からの DNA抽出に Maxwell® RSC Instrument による自動化を進めたい。