Maxwel® RSC Instrument の導入事例 ~AmoyDx® 肺癌マルチ遺伝子 PCR パネル検査への適用の試み~
Promega Info 岡山大学病院 医療技術部 検査部門 遺伝子・ゲノム融合推進検査室 井上 博文 先生 Maxwell® RSC Instrumentの導入事例 AmoyDx®肺癌マルチ遺伝子PCRパネル検査への適用の試み 当院は、全国に13あるがんゲノム医療中核拠点病院の1つ。がん遺伝子パネル検査(NGS、プロファイリング検査)の保険適用 (2019年6月)に先立つ2017年12月、ゲノム医療総合推進センターを院内に立ち上げ、その後に「国内完結型マルチプレックス遺伝子パネル検査」を開発・実装(2020年12月)するなど、先駆的にがんゲノム医療に取り組んできた。さらに患者を向いた医療実現のため、AmoyDx®肺癌マルチ遺伝子PCRパネルの院内検査を2022年6月に開始した。 AmoyDx®パネル検査への適用を試みる中で、ROSEによる検査時での生検の品質確認、臨床医との密接かつ積極的なコミュ ケーション、またMaxwell®を用いた高効率かつ安定した核酸精製が、現在のワークフローにおいては欠かせないものとなっている。本稿では、当院のAmoyDx®の運用とMaxwell®での詳細なプロトコールを紹介する。 当院での検査のワークフロー ⑦ AmoyDx®の検査開始 ① Rapid on site evaluation (ROSE) 施行 ⑥ FFPEでの確定診断後、検査をオーダー ②-1 組織診検体を確保し、 FFPE標本を作成 ②-2 新鮮組織を確保 ③ 新鮮組織は冷凍で保管 ⑤ 精製した核酸は -80℃で保管 ④ 核酸の精製 Maxwell RSC 病理診断 ・ 腫瘍量の評価 単一のFFPEからのDNA/RNAの同時抽出 推奨するFFPEの量 : 5~10μm厚 × 1枚 (サイズの目安 5mm × 5mm) • スライドガラスの上で、余分なパラフィンを除いてから、チューブに回収してくだい。 • FFPE切片の量を増やしたい場合には、パラフィンも増えるため、Mineral Oilを増量してください。 ・ FFPE (余分なパラフィンを除く) ・ 300µl Mineral Oil 530µl Proteinase K / Lysis Buffer / Blue Dye 2分間 @ 80°C 15分間 @ 56°C ボルテックス 10秒 ボルテックス 5秒 遠心 (10,000×g、20秒) ≪ RNA抽出 ≫ Maxwell® RSC RNA FFPE Kit (AS1440) ≪ DNA抽出 ≫ Maxwell® RSC DNA FFPE Kit(AS1450) 半量の水層を 新しいチューブに移す 56℃の加温を継続 60分間 @ 80°C 15分間 @ 室温 15分間 @ 56°C 4時間 @ 80℃ 5分間 @ 室温 TAT改善のため時間短縮可 50μl DNaseカクテル 10μl RNase A Solution 15分間 @ 室温 5分間 @ 室温 遠心 (14,000×g、2分間) 全量をカートリッジへ 遠心 (14,000×g、2分間) 水層全量をカートリッジへ (オイルを加えないこと) Maxwell® RSC InstrumentでRNA抽出 Maxwell® RSC InstrumentでDNA抽出 ※ 精製して得られた核酸は、濃度・純度・分解度などの品質を確認してください。 これらの品質が、ご利用される診断薬の添付書に記載されている核酸の規定に適合することをご確認の上、核酸をお使いください。 単一の凍結組織からのDNA/RNAの同時抽出 推奨する凍結組織の量 : 最大 40mg 程度 400μL Homogenization Buffer (1-thioglycerolを含む)でホモジナイズ ≪ RNA抽出 ≫ Maxwell® RSC simplyRNA Tissue Kit (AS1340) ≪ DNA抽出 ≫ Maxwell® RSC Blood DNA Kit (AS1400) 200μl Lysis Buffer 300μl Lysis Buffer 撹拌 全量をカートリッジのウエル#1へ 10μL DNase Iをウエル#4へ 撹拌 20分間 @ 56°C 全量をカートリッジのウエル#1へ Maxwell® RSC InstrumentでRNA抽出 Maxwell® RSC InstrumentでDNA抽出 ※ 精製して得られた核酸は、濃度・純度・分解度などの品質を確認してください。 これらの品質が、ご利用される診断薬の添付書に記載されている核酸の規定に適合することをご確認の上、核酸をお使いください。 単一の検体からMaxwell RSC Instrumentを用いて精製した核酸の例 凍結組織 ※ 50μL溶出 / 蛍光定量 / 単位はng/μL 生検組織数 DNA RNA コメント 濃度 DIN 濃度 RIN 組織片 1個 78.4 9.3 27.21 9.5 組織片 2-3個 57.43 ー 8.44 ー 血餅含んだか? 有核成分少ないか? 肝生検 1本 39.0 ー 22.0 ー 組織片 1個 組織片 2-3個 ※ 血液成分優位な場合 FFPE ※ 同上 DNA RNA コメント 濃度 5μm厚 x10枚 1.86 (蛍光) 8.4 (吸光) 5.16 (蛍光) 6.10 (吸光) 極小の生検検体から作成したFFPEのため、収量が少ないことが予測されていた Maxwell® RSC Instrumentを使用するメリット 凍結組織からの核酸収量が不十分な場合、FFPEからの核酸抽出に迅速に対応可能! 生検検体のような小さなサンプルからも抽出可能 抽出・精製中は他の作業に従事できる Maxwell®は作業工程が少なく、更に所要時間自体を約90分(FFPE Plus DNA Kitの場合)に短縮する。加えて、最大48検体を同時処理できる。TAT改善にも貢献している。 Maxwell ®導入前、ピペット操作など担当者の習熟度の差によって核酸の収量に差が出ることもあったが、Maxwellの自動精製により、手技間差が解消でき、核酸精製工程の品質平準化にも寄与している。 製品情報 キット名 カタログ番号 回数 定価 (¥) Maxwell® RSC DNA FFPE Kit AS1450 48 50,000 Maxwell® RSC RNA FFPE Kit AS1440 48 50,000 Maxwell® RSC Blood DNA Kit AS1400 48 46,000 Maxwell® RSC simplyRNA Cells Kit AS1390 48 45,000 機器名 カタログ番号 サイズ 定価 Maxwell® RSC Instrument AS4500 1台 2,900,000 Maxwell® RSC 48 Instrument AS8500 1台 7,000,000 ※ 価格は2023年4月現在のもので、予告なく変更する場合があります。 PK2305-02P prmg_info_pk2305-02p