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TrueSTABLE Cell とは?: HAC & 新規 lox テクノロジーによる超効率的な安定発現細胞作成システム

細胞ベース解析 ②: 新規 安定発現細胞作成 & 解析 TrueSTABLE Cell とは?: HAC & 新規 lox テクノロジーによる超効率的な安定発現細胞作成システム 概要 • かずさ DNA 研究所の HAC および新規 lox テクノロジーを利用した新しい安定発現細胞 TrueSTABLE Cell 作成 サービスを開始 • ゲノムを傷つけない人工染色体(HAC)技術でコピー数、発現量もコントロール可、新規組換え技術によるシステマチックな構築作業 • プロメガのルシフェラーゼ & タグ技術を導入でき、セルベース解析も受託可能 図 1. HAC への目的遺伝子の部位特異的組換え HAC 発現ベクター トランスフェクション GFP A B C 従来法 新導入法 従来のランダム インデグレーション ゲノムに傷 (どこに、何カ所入るかも不明) 複数種の安定発現株を 一度に作成可能 何度でも入れ替え可能 導入効率に優れる VloxP-SloxP サイト ※さらに 3 つの変異型 loxP サイトも利用可能(オプション) VloxP SloxP ・かずさ ORF リソース ・プロメガの発現 & 検出系 表 1. TrueSTABLE Cell と従来の安定発現細胞株との比較 特長 従来法(プラスミドベクターを使用する場合) 新導入法(TrueSTABLE Cell) 導入 導入先 ゲノム(ランダムに挿入される) HAC(HAC 上の定位置に挿入[挿入カセット]) 導入コピー数 (細胞あたり1種類の遺伝子について) コピー数の制御は困難(各クローンによりバラバラ) ※過剰発現で細胞毒性を持つタンパク質の場合、発現株が得られない可能性もある。 1 コピー 導入可能サイズ 10 Kb 程度 数 100 kb 程度(移動元に依存:プラスミド・BAC クローン) 作業効率 形質転換効率が低い(薬剤選択、大量のスクリーニングが必要) 新規 loxP によりシステマチック(複数種の安定発現株作成も容易) 発現量 コピー数・挿入部位に依存 一定(プロモーターに依存) 発現の安定性 低い(低下する場合あり) ※ クロマチン構造変化による発現抑制を受ける場合がある 安定(プロモーターの性質を維持) ※ HAC が宿主染色体と同程度に細胞中で安定である。 樹立に要する時間 3 ~ 4 ヶ月程度 1.5 ヶ月程度 イントロダクション これまで一般的に作成されていた安定性発現細胞は、用時トランスフェ クションの問題点を解決するものの、宿主ゲノム DNA に傷をつけ、また 取り込まれる宿主 DNA の部位、個数が多種多様で、さまざまなクローン が作られ、同じものを作ることは困難です。かずさゲノムテクノロジー ズでは、HAC にかずさ DNA 研究所の新規部位特異的組換え酵素システ ム(VloxP-SloxP テクノロジー)およびプロメガの HiBiT 技術を応用して、 これらの問題を解決しました。 背景 安定発現細胞 遺伝子組換え安定発現細胞はタンパク質の大量生産、長期的なタンパ ク質の機能解析、薬理学的研究、遺伝子治療の道具として、生命科学 研究において非常に高い需要があります。従来の安定発現細胞株の作 製には①目的遺伝子のトランスフェクション、②薬剤選別、③クローニン グ、④増殖、⑤発現解析といったステップを要し、多大な時間と労力を 要します。また従来法の問題点として、宿主のゲノム DNA を傷つけるこ とによるアーティファクトが懸念されます。また、導入コピー数の厳密 な制御は不可能であり、さらに長期培養により発現量が減少するなど、 発現量のコントロールは困難を極めます。そのため同一クローンを用い た解析でも培養を重ねることで再現性が低下する場合や、クローン間 の表現型の比較(例えば目的遺伝子の野生型と変異型)が単に発現量 の差を反映した結果であることなどが懸念されます。 HAC について HAC とは人工的に作られた 47 本目のヒト染色体です。細胞に導入する と、細胞分裂時に宿主細胞の染色体と同様に複製、分配され、長期に 渡り安定に保持されます。宿主細胞の染色体とは独立に存在し、宿主 細胞のゲノム DNA を傷つけることはありません(図 1、表 1)。 KGT のご紹介 株式会社かずさゲノムテクノロジー ズ(Kazusa Genome Technologies: KGT)は、2015 年に公益財団法人 かずさ DNA 研究所(KDRI)からス ピンオフして設立された会社です。 KDRI の所有する遺伝子資源に Promega Corporation の先端テクノ ロジーを融合した各種クローンを はじめ関連技術受託サービス提供 などをコアビジネスとして、様々 な連携機関との多方面への事業展 開を行い、お客様の広いニーズに マッチしたサービス提供を行って います。 株式会社かずさゲノム テクノロジーズ(KGT) 10 Cell Based Analysis 新規安定発現細胞 TrueSTABLE Cell 作成システムの利点 弊社がご提供する HAC を用いた TrueSTABLE Cell では従来の安定発現 細胞と比較して、以下の利点があります。かずさ DNA 研究所が開発し た部位特異的相同組換え手法を用いることで、① 1 細胞当たり 1 コピー の遺伝子を決まった位置に挿入することが可能、②宿主のゲノム DNA を傷つけない、③ HAC 上の決まった位置に挿入され、細胞内で一定量 保持されるため同じプロモーターを用いた場合発現量を一定に調節可 能、④サイレンシング等の影響を受けず、長期に安定した発現が可能、 ⑤単一 HAC 内の複数の異なる部位特異的組換え領域を用いることで異 なるプロモーター調節下での複数の遺伝子の安定発現細胞株の樹立も 可能になります。以上の特徴により、長期に渡る表現型解析やクローン 間の比較を常に一定の発現量の下で行うことが可能になります。また、 HAC では挿入可能な DNA の長さに制限がないため、転写調節領域等の 非翻訳領域を含めた配列やポリシストロニックな配列も挿入可能といっ た利点があります。加えて、薬剤選別も不要であり、薬剤耐性株単離 に要する時間や選別によるバイアスを回避できます。 迅速な構築 従来の安定発現細胞株作製では細胞を十分量増やしたのち qRT-PCR や western blotting 等による発現解析が行われています。弊社では発現解 析にプロメガ株式会社が開発した高感度の検出系を用いることで、発 現解析のための細胞増殖に要する時間を大幅に短縮することが可能に なりました。さらに、弊社のシステムでは複数の遺伝子を同時に細胞に トランスフェクションした場合、1 細胞当たり 1 種の遺伝子のみ挿入さ れるため、目的遺伝子が多種にわたる場合でも同時に作製が可能であり 迅速に構築できます。 目的遺伝子の作製から発現解析までサポート 目的遺伝子を持つプラスミドベクターの構築に関して、かずさ DNA 研 究所が持つ豊富な遺伝子資源をもとに、プロメガ株式会社が開発した フレキシクローニング技術を用いて迅速な構築が可能です。また、各 種タグ、シグナル配列の融合などにも対応しております。さらに、安定 発現細胞作製後の発現解析、タグに応じた解析も提供可能です。 まとめ 新規安定発現細胞 TrueSTABLE Cell 作成システムではゲノムに傷を入れ ることなく目的遺伝子を特定の場所へ正確に導入した真の安定発現株 を迅速に提供することができます。また、かずさ DNA 研究所が持つ豊 富な遺伝子資源と、プロメガ株式会社が開発したフレキシクローニング システム、検出用タグ及びこれを用いた解析を組み合わせたサービスを 提供しております。 価格とお問い合わせ先 受託サービス名 細胞 参考価格(¥) アカデミア 企業 TrueSTABLE Cell 作成サービス (Target Insertion) (A)HEK293 600,000 ~ 1,000,000 ~ (B)お客様ご提供の細胞(汎用培養細胞の場合) 1,400,000 ~ 1,800,000 ~ 安定発現細胞作成サービス (Random integration:従来の安定発現株作成法による) (C)HEK293 800,000 ~ 1,200,000 ~ (D)お客様ご提供の細胞(汎用培養細胞の場合) お問い合わせ お問い合わせ HEK 293 を用いた TrueSTABLE Cell 作成サービスに含まれる受託内容例(A:① + ② + 納品物 ③) ① 目的遺遺伝子の HEK293(HAC を含む)への導入 ※目的遺伝子(ORF)は材料としてご提供ください(Flexi ORF Clone より別途購入も可能)。 ② HEK293(HAC を含む)での目的遺伝子発現の確認 ※ HiBiT、NanoLuc®、HaloTag® などプロメガの検出タグによる発現確認の場合は作業、試薬代は料金に含まれる。 [注意]上記以外のタンパク質検出法による発現確認については別途お見積りいたします。 ③ 納品物は目的遺伝子を導入した HEK293 最低 3 クローン(各 106 個細胞)、発現確認データ その他(B)(C)(D)については別途お見積りいたします。 ・納期:2 か月~(TrueSTABLE Cell HEK293 の場合)、3.5 か月~(お客様ご提供の細胞または Random integration の場合[B、C、D]) クローン:プロメガの HiBiT、NanoLuc®、HaloTag® などの検出、精製タグを付加した ORF クローン(Flexi ORF Clone)やこれらのタグを利用した タンパク質相互作用解析用クローンセット(8 クローン)などの販売、サブクローニング受託サービスなども承ります。 セルベース解析:プロメガの HiBiT、NanoLuc®、HaloTag® などのレポーターを定量するアッセイも承ります。 ※納品された細胞に対する遺伝子改変はライセンス上不可 ※本サービスで利用する HAC はクロモリサーチ社で開発されたものです。 本サービスの詳細、お問合せ、見積依頼は以下をご覧ください。 www.promega.co.jp/truestablecell/ 図 2. HEK293 細胞に導入した HAC HAC 11Promega  WA BAN