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Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System

プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 1 www.promega.co.jp Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System 日本語プロトコール No. TB281J 2001 年 7 月作成 カタログ番号 A1270, A1330, A1340, A1460 および A1470 I. はじめに …………………………………………………………………………………………….. 1 II. キットの構成品……………………………………………………………………………………. 3 III. プロトコール ………………………………………………………………………………………. 4 A. 大腸菌の準備 …………………………………………………………………………………… 4 B. 大腸菌溶解液の調製 …………………………………………………………………………. 4 C. プラスミド DNA の単離および精製プロトコール…………………………………. 5 IV. 補足情報 …………………………………………………………………………………………….. 6 A. プラスミドと大腸菌株の選択および調製…………………………………………….. 6 B. 大腸菌株の選択 ……………………………………………………………………………….. 7 C. アルカリプロテアーゼの使用 ……………………………………………………………. 8 D. 自動化蛍光シークエンシングに適用するための注意点…………………………. 8 V. 困ったときには・・・ ………………………………………………………………………………. 9 VI. バッファーと溶液の組成 …………………………………………………………………….. 11 VII. 関連製品の紹介………………………………………………………………………………….. 11 VIII. 参考文献 …………………………………………………………………………………………… 11 IX. 簡易プロトコール ………………………………………………………………………………. 12 目 次 I. はじめに Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System(a) を使えば、迅速なプラスミド DNA の単離を 簡単かつ確実に行えます。ミニプレップの全行程は30分以内に完了します。このキットではどのよう なプラスミドでも単離することができますが、プラスミドの大きさが20,000bp以下のときに最も効率 的に単離できます。単離されたプラスミドは、さらに精製することなく一般的な分子生物学の実験と 同様に、自動化蛍光 DNA シークエンシングにも適用できます。また、Recombinant RNasin® Ribonuclease Inhibitor(b,c) (カタログ番号N2511)のようなリボヌクレアーゼ阻害剤を添加すれば、in vitro転写 にも適用できます。 このマニュアルには、大腸菌からプラスミドDNAを単離するためのプロトコールが紹介されていま す。Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System では、一晩培養した大腸菌の培養液、1 ~ 10mlからプラスミドDNAを精製することができます。プラスミドの収量は、大腸菌の培養液量、プラ スミドのコピー数、培地の種類、大腸菌株など数多くの要因によって変わります。図1にWizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System を用いたプラスミド DNA の単離・精製の手順を示します。 2 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com www.promega.co.jp Overnight Culture Centrifuge. Remove culture media Resuspend cells. Lyse cells. Neutralize. Clear lysate. Transfer lysate. Bind DNA. Wash, removing solution by centrifugation or vacuum. Elute plasmid DNA. Transfer Spin Column to a Collection Tube. Centrifuge. 図 1. Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System を用いたプラスミド DNA の単離・精製の流れ図 遠心 培養液を除く 細胞を撹拌・ 溶解・中和する 遠心 上清を移す DNA の結合 遠心または吸引により洗浄 溶液を除去する プラスミド DNA を溶出 Spin Column を Collection Tube に移す 遠心 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 3 www.promega.co.jp Wizard ® Plus SV Minipreps DNA Purification Systemに含まれる 構成品とその他の Wizard® Plus System(e)に含 まれる構成品の交換や 代用はできません。 Wizard® PlusとWizard® SV Plus の試薬に互換 性はありません。 II. キットの構成品 製品名 サイズ カタログ番号 Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System 50 回分 A1340 (Vacuum Adapter 付) 1-10ml の培養液から 50 回の精製を行うために十分量の試薬が含まれています。 ・ 20ml Wizard® Plus SV Cell Resuspension Solution ・ 20ml Wizard® Plus SV Cell Lysis Solution ・ 30ml Wizard® Plus SV Neutralization Solution ・ 20ml Wizard® Plus SV Column Wash Solution ・ 50 Wizard® Plus SV Minipreps Spin Columns ・ 50 Collection Tubes (2ml) ・ 550µl Alkaline Protease Solution ・ 13ml Nuclease-Free Water ・ 20 Miniprep Vacuum Adapters(d) 製品名 サイズ カタログ番号 Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System 250 回分 A1470 (Vacuum Adapter 付) 1-10mlの培養液から250回の精製を行うために十分量の試薬が含まれています。 ・ 75ml Wizard® Plus SV Cell Resuspension Solution ・ 75ml Wizard® Plus SV Cell Lysis Solution ・ 100ml Wizard® Plus SV Neutralization Solution ・ 100ml Wizard® Plus SV Column Wash Solution ・ 250 Wizard® Plus SV Minipreps Spin Columns ・ 250 Collection Tubes (2ml) ・ 2,700µl Alkaline Protease Solution ・ 25ml Nuclease-Free Water ・ 20 Miniprep Vacuum Adapters 製品名 サイズ カタログ番号 Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System 50 回分 A1330 250 回分 A1460 製品名 サイズ カタログ番号 Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System, Trial Size 10 回分 A1270 1-10ml の培養液から 10 回の精製を行うために十分量の試薬が含まれています。 ・ 3ml Wizard® Plus SV Cell Resuspension Solution ・ 3ml Wizard® Plus SV Cell Lysis Solution ・ 4ml Wizard® Plus SV Neutralization Solution ・ 4ml Wizard® Plus SV Column Wash Solution ・ 10 Wizard® Plus SV Minipreps Spin Columns ・ 10 Collection Tubes (2ml) ・ 550µl Alkaline Protease Solution ・ 1ml Nuclease-Free Water ・ 5 Miniprep Vacuum Adapters 保存と安定性: 保存と安定性 Wizard® Plus SV Minipreps に含まれる全ての構成品は 22 ~ 25℃で保存してください。試薬の有効期限は製品のラベルに表示されています。 注 意 : カタログ番号 : A1330 とA1460 の製品 には Vacuum Adapter が含まれません。 4 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com www.promega.co.jp III. プロトコール 準備するもの (溶液の組成はセクション VI をご覧ください。) ・ 抗生物質を含むLB寒天培地 ・ 微量高速遠心機(14,000×g) ・ 抗生物質を含むLB液体培地 ・ 滅菌済み1.5ml微量遠心チューブ ・ エタノール(95%) ・ 高速遠心機(10,000×g) 新規に Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System を使う前に、以下の ように Wizard® Plus SV Column Wash Solution を希釈してください。 10回用のキット(カタログ番号A1270)では、7mlの95%エタノールを加え、最終 液量を 11ml にする。 50 回用のキット(カタログ番号 A1330、A1340)では、35mlの95% エタノールを 加え、最終液量を 55ml にする。 250回用のキット(カタログ番号A1460、A1470)では、170mlの95%エタノール を加え、最終液量を 270ml にする。 A. 大腸菌の準備 1. 抗生物質を含む Luria-Bertani (LB) 寒天培地から単一コロニーを採り、同じ 抗生物質を含む1~10mlのLB 培地に接種する。Terrific Brothのような富栄 養培地では、Wizard® Plus SV Minipreps システムの許容量を超える細胞密 度となる可能性があるため、プロメガでは LB 培地を推奨します。 2. 37℃の振とう培養器で一晩(12 ~ 16 時間)培養する。一定の培養液量に対す るプラスミドDNAの収量を増やすために、培養時間を最適化することができ ます。しかし、培養時間が長すぎると、培養液中での細胞死や細胞の溶解に より DNA の収量が減る可能性があるため注意が必要です。 高コピー数プラスミドの場合: 高コピー数プラスミドの場合 5ml 以上の大腸菌培養液の処理を推奨しません。 5ml 以上の培養液の処理を行っても、Wizard® Plus SV Minipreps Spin Column の DNA 結合容量を超加し、プラスミド DNA の収量の増加は期待できません。 低コピー数プラスミドの場合: 低コピー数プラスミドの場合 十分な量の DNA を回収するには、より多量 (10ml まで)の大腸菌培養液の処理が必要な場合があります。10ml 以上の培養 液を処理した場合、大腸菌の残さが完全に除かれず、プラスミドDNA中に混入 物が増加します。 B. 大腸菌溶解液の調製 1. 1~5ml (高コピー数プラスミド)または10ml (低コピー数プラスミド)の大腸 菌培養液を卓上遠心機で10,000 ×g、5分間遠心し、菌を回収する。上清を 捨て、ペーパータオルの上で逆さまにして余分な培地を除く。 2. 250µl の Wizard® Plus SV Cell Resuspension Solution を加え、ボルテック スまたはピペッティングにより大腸菌のペレットを完全に攪拌する。細胞を 完全に攪拌することが重要です。攪拌した大腸菌を滅菌済み1.5ml 微量遠 心チューブに移す(すでに1.5ml 微量遠心チューブで行っている場合には、そ のまま以下のステップに進んでください)。 3. 250µl の Wizard® Plus SV Cell Lysis Solution を加え、4 回の転倒混和により 混合する(ボルテックスはしないでください)。 ボルテックスはしないでください 細胞溶解液が透明になるま で、約 1 ~ 5 分間インキュベートする。 注 意: Alkaline Protease Solutionの添加(ステップ4)に進む前に、大腸菌溶解 液が半透明になっていることを確認してください。5 分間以上のインキュ ベーションは行わないでください。 注 意:A600の値で2~4 が菌の回収とプラスミ ドDNAの単離に適しま す。 染色体DNAのせん断を 起さないように、ス テップ 2 以降では転倒 混和を行い、ボルテッ クスはしないでくださ い。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 5 www.promega.co.jp 4. 10µl の Alkaline Protease Solution を加え、4 回の転倒混和により混合する。 室温で5分 間インキュベートする。アルカリプロテアーゼは、 分 間 エンドヌクレ アーゼや細菌を溶解する時に放出され、単離した DNA の精製度を低下させ るタンパク質を不活性化します。 5. 350µl の Wizard® Plus SV Neutralization Solution を加え、すぐに 4 回の転 倒混和により混合する(ボルテックスはしないでください)。 6. 大腸菌溶解液を最高速度(約 14,000 × g)で室温、10 分間遠心する。 C. プラスミド DNA の単離および精製プロトコール Miniprep Vacuum Adapters が添付された Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System (カタログ番号A1340または A1470)をお使いの場合、プラスミ ドDNAの精製方法を選択できます。遠心プロトコールでは、大腸菌溶解液をSpin Columnに通したり、カラムに結合したDNAを洗浄するために微量高速遠心機 を用います。また、吸引プロトコールでは、遠心操作に代わり吸引圧を利用して 吸引圧 溶解液をカラムに通したり、カラムの洗浄を行います。Minipreps Vacuum Adapterを用いると吸引装置(例えばVac-Man® Laboratory Manifold)と真空ポン プを使って DNA 精製を行うことができます。 プラスミドDNAにニッ クを生じる可能性があ るため、ステップ4 で Alkaline Protease Solutionを加えてから5分間 以上インキュベートし ないでください。 吸引プロトコール 吸引装置 (Vac-Man ® または VacMan ® Jr. Laboratory Vacuum Manifold) のポートに Luer-Lok Stop Cock を介して Miniprep Vacuum Adapterを取り付ける。Spin Column を Miniprep Vacuum Adapter にぴっ たりと収まるまで押し込む。 1. 大腸菌溶解液の上清(約850µl、 セク ションIII.B、ステップ6参照)を準備 したSpin Columnに静かに移す。白 色の沈殿に触れたり、上清と一緒に 沈殿をカラムに移さないようにご注 意ください。 2.少なくとも15インチHgの吸引圧で Spin Column を吸引する。すべての 溶液がSpin Columnを通過してから 吸引を停止する。 3. あらかじめ95%エタノールを加えて 希釈した750µlのColumn Wash Solution を Spin Column に加える。 4.Spin Column を吸引し、Column Wash Solution を通す。すべての溶 液がSpin Columnを通過してから吸 引を停止する。 遠心プロトコール Spin Column を2ml Collection Tubeに 差し込み、各サンプルにつきプラスミ ド DNA 精製ユニットを準備する。 1. 大腸菌溶解液の上清(約 850µl、セク ションIII.B、ステップ 6参照)を準備 したSpin Columnに静かに移す。白 色の沈殿に触れたり、上清と一緒に 沈殿をカラムに移さないようにご注 意ください。 2. この上清を微量遠心機の最高速度で 室温、1 分間の遠心を行う。2ml Collection TubeからSpin Columnを はずし、通過した溶液を Collection Tubeから捨てる。Collection Tubeに Spin Column を再び挿入する。 3. あらかじめ95%エタノールを加えて 希釈した 750µl の Column Wash Solution を Spin Column に加える。 4. 微量遠心機の最高速度で室温、1 分 間の遠心を行う。2ml Collection TubeからSpin Columnをはずし、通 過した溶液をCollection Tubeから捨 てる。Collection Tube に Spin Column を再び挿入する。 注 意: 白色の沈殿を : 誤って Spin Column に 移してしまった場合、 Spin Column 内の溶液 を滅菌した 1.5ml 微量 遠心チューブに戻し、 最高速度で 5 ~ 10 分間 の遠心をもう一度行っ てください。遠心後の 上清を同じ Spin Columnに移してくださ い。Spin Columnは同一 のサンプルにのみ再使 用できます。 インチ H g に対する 換算表 15 インチ Hg 50.8 kPa 381 Torr 0.501 atm 7.37 psi 38.1 cm Hg 508 mbar 6 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com www.promega.co.jp 遠心プロトコール ( つづき) 5. 250µlのColumn Wash Solutionを加 え、もう一度洗浄する。 6. 最高速度で室温、2 分間の遠心を行 う。 7. Column Wash Solutionを持ち込まな いように注意しながら、 Spin Column を新しい滅菌済みの 1.5ml 微量遠心チューブに移す。Spin ColumnにColumn Wash Solutionが 付いていた場合には、最高速度で 1 分間、もう一度遠心を行う。 吸引と遠心プロトコール(つづき) 8. Spin Column を新しい滅菌済みの 1.5ml 微量遠心チューブに移す。 9. 100µl の Nuclease-Free Water を Spin Column に加え、プラスミド DNA を溶 出する。最高速度で室温、1 分間の遠心を行う。 10. DNA を溶出した後、Spin Column を 1.5ml 微量遠心チューブからはずし、廃 棄する。 11. 溶出したDNAを–20℃または–20℃以下で保存する場合、DNAは水溶液中で 安定なためバッファーを加える必要はありません。4℃で保存する場合、DNA は TE バッファー中で安定なため、100µl の溶出した DNA に対して 10µl の 10 × TE バッファーを加えてください。 12. 微量遠心チューブのフタを閉め、–20℃またはそれ以下の温度で保存する。 IV. 補足情報 A. プラスミドと大腸菌株の選択および調製 一晩培養した大腸菌からWizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System を使って、プラスミドDNAを精製できます。プラスミドの収量は、プラスミ ドのコピー数、培養液中の細胞密度、培地の種類、大腸菌株などによって変 わります。 プラスミドのコピー数はプラスミド DNA の収量に影響する重要な因子です。 コピー数は複製起点を含む領域やその周囲の領域によって主に決定されます。 レプリコンとして知られるこの領域は、細菌の酵素複合体によるプラスミド DNAの複製を調節します。あるDNA配列が特定のプラスミドに挿入された場 合、複製の妨げとなり、プラスミドのコピー数が低下することがあります。 適当な抗生物質を含む新しいLuria-Bertani(LB)寒天培地から十分に隔離され た単一コロニーを選び、適当な抗生物質を含む1~10mlのLB培地に接種し ます。接種した培地を37℃で一晩(12 ~ 16 時間)培養します。高コピー数の 大腸菌の場合、A600の値で2.0~4.0が菌体の回収とプラスミドDNAの単離 に適した密度です。 注 意: 精製したプラス : ミドDNAを自動化蛍光 シークエンシングに用 いる場合、ステップ 11 において TE バ ッ ファーは加えないでく ださい。 吸引プロトコール(つづき) 5. 250µlのColumn Wash Solutionを 加え、もう一度洗浄する。吸引に より溶液を Spin Column に通す。 6. さらに 10 分間の吸引により Spin Column を乾かす。 7. 吸引を停止し、Spin Columnを2ml Collection Tube に付ける。Spin Column に残った Column Wash Solution を除くために最高速度で 2 分間の遠心を行う。2ml Collection Tubeとこのステップで集めた 溶液を廃棄する。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 7 www.promega.co.jp B. 大腸菌株の選択 エンドヌクレアーゼは12kDaのペリプラスムタンパク質で、2本鎖DNAを分解 します。このタンパク質は endA 遺伝子にコードされています。大腸菌の遺伝子 型endA1は、野生型endAの変異を表し、不活性型のヌクレアーゼを産生します。 この変異を含む大腸菌株は、EndA – として表されます。表 1 に EndA – と EndA + の大腸菌株を示します。 表 1. EndA – と EndA + の大腸菌株 EndA – EndA + BJ5183 BL21(DE3) DH1 CJ236 DH20 HB101 DH21 JM83 DH5α™ JM101 JM103 JM110 JM105 LE392 JM106 MC1061 JM107 NM522 (NM で始まるすべての大腸菌株は EndA+) JM108 NM554 JM109 P2392 MM294 PR700 (PR で始まるすべての大腸菌株は EndA+) SK1590 Q358 SK1592 RR1 SK2267 TB1 SRB TG1 XL1-Blue Y1088 (Y10 で始まるすべての大腸菌株は EndA+) XLO BMH71–18 ES1301 大腸菌の遺伝子型において、endA1(またはendA)がないということは、活性化 型エンドヌクレアーゼ I を発現する野生型遺伝子の存在を示します。野生型は EndA + で示されます。Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System を 使った場合、EndA + とEndA -の両方の大腸菌株から高品質な DNA を簡単に単 離することができます。しかし、多くのアプリケーションで、EndA +株が問題と なる場合があります。一般的には、できるかぎり EndA -の大腸菌株を使用する ことを推奨します。特に自動化蛍光シークエンシングではEndA-が推奨されま す。 蛍光DNAシークエンシングのようなアプリケーションでは、プラスミドの収量 と品質を最適にするため、プラスミドと大腸菌株の選択について特に考慮が必要 です。自動化蛍光シークエンシングでは、高コピー数プラスミドと増殖に EndA -の大腸菌株を使うことによって最適な結果が得られます。 8 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com www.promega.co.jp C. アルカリプロテアーゼの使用 EndA +とEndA-の両方の大腸菌株から単離されたプラスミドDNAの品質 を改善するためにプロメガのWizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System には、Alkaline Protease Solution が含まれます。もともと subtilisin Carlsbergとして同定されたアルカリプロテアーゼは、Bacillus licheniformis から単離されました(1)。大腸菌溶解液を調製するときに、エンドヌクレアー ゼを不活性化するために、1サンプルあたり約250µgのアルカリプロテアー ゼを溶解ステップの最後で加えます。アルカリプロテアーゼは非特異的にタ ンパク質を分解するため、大腸菌溶解液に混入するタンパク質の全体量を抑 えることができます(2,3)。 アルカリプロテアーゼはpH9以上で最適に機能します。アルカリ溶解ではこ の状態にあるため、このステップにおいてよく機能します。溶解液が中和さ れたとき、アルカリプロテアーゼの活性は著しく減少します(4,5)。 この手順で調製されたDNAは蛍光シークエンシング、制限酵素処理、クロー ニングを含む分子生物学実験の幅広い領域で使われています。 D. 自動化蛍光シークエンシングに適用するための注意点 自動化蛍光シークエンシングのアプリケーションに対して、プラスミドの収 量と品質を最適にするためプラスミドと大腸菌株の選択について特に考慮が 必要です。 精製したプラスミドDNAは蛍光サイクルシークエンシングに推奨される範囲 の濃度(理想は0.2µg/µl、0.1µg/µl以下にならないように)にしなければなりま せん。低コピー数プラスミドから得られたプラスミドDNAを用いる場合、実 験に使う前にアガロースゲル電気泳動 / エチジウムブロマイド染色により DNA濃度を決定することを強く推奨します(6)。分光光度計によるDNAの定 量方法では誤りが生じることがあり、大量のサンプルが必要となります。 Wizard® Plus SV Minipreps System では、pGEM® Vector(f) と DH5α™大腸菌 を含むLB培地の培養液1.5mlを使った場合、通常3.5~5.0µgのプラスミド DNAを回収できます。低コピー数プラスミドでは、シークエンシングに十分 量のDNAを得るためにより大量の培養液が必要です。低コピー数プラスミド の場合、pALTER® -1 Vector(f,g) (アンピシリン耐性)と DH5α™大腸菌を含む 10ml の LB 培養液から通常 1.5 ~ 3.0µg のプラスミド DNA が得られます。 BigDyeTM を使ったシークエンシングを行うときの考慮事項 Wizard® Plus SV Minipreps System で得られた鋳型は、ABI PRISM® BigDye™ Terminator (Perkin-Elmer Corporation カタログ番号 4303149, 4303150, 4303151) の反応を含む多くの蛍光シークエンス法に適しています。 BigDye™ Terminator プレミックスの希釈を行う時、適切な希釈溶液(250mM Tris-HCl [pH 9.0], 10mM MgCl2) を使って希釈することが重要です。 高コピー数プラスミドを使った場合、6 倍希釈した BigDye™ Terminator プレ ミックスから 500 塩基以上の配列を解読できます。 注 意: 高コピー数プラ : スミドと EndA -の大 腸菌を使うことで通常 最適な蛍光シークエン スの結果が得られます。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 9 www.promega.co.jp 表 2 に、BigDye™ Terminator 反応で適切な希釈を行うために必要とされる BigDye™ Terminator プレミックスと希釈溶液の量を示します。これらの反応液 の泳動についての詳細は、BigDye™ Terminatorシステムに添付されるプロトコー ルをご覧ください。各反応につき、表2に示した試薬を別々のチューブに加えて ください。 表 2. BigDye™ Terminator 反応の希釈倍率 構 成 Terminator プレミックス * DNA 鋳型(2 本鎖プラスミド) プライマー 希釈バッファー ** Nuclease-Free Water で 最終液量を調整する V. 困ったときには・・・ 症 状 考えられる原因 コメント 大腸菌の溶解が起こりにくい 培養液中に含まれる大腸 A600 において 2 ~ 4 を示す大腸菌培 菌による大腸菌培養液の 養液を使ってください。すべての培地 過培養 に抗生物質を加えてください。 低コピー数および高コピー数のプラス ミドそれぞれに対して推奨される培養 液量を使ってください(低コピー数プ ラスミドでは最大 10ml、高コピー数 プラスミドでは最大 5ml)。 大腸菌ペレットの攪拌が 大腸菌の溶解を行う前に大腸菌ペ 十分でない レットを十分攪拌してください。Cell Resuspension Solution を加え、ボル テックスまたはピペッティングを行っ てください。攪拌後には大腸菌の塊は 見えなくなります。 プラスミド DNA が精製されない Column Wash Solution に 精製作業を始める前に、セクショ エタノールを加えていな ン III に従い、Column Wash Solution い を調製してください。 プラスミド DNA 収量の定 アガロースゲル電気泳動 / エチジ 量を誤っている ウムブロマイド染色によりプラス ミドDNAの収量を測定してください。 ゲルにローディングする 最後の洗浄ステップの後に、カラ と、ウェルから DNA が浮 ムに残ったエタノールを完全に除 き出す くため、10 分間の吸引による乾燥を 確実に行ってください(吸引法の場 合)。ローディングダイの濃度を上げ てください。 低コピー数プラスミドを 高コピー数プラスミドを使ってくださ 使った い。 希釈なし 2 倍希釈 4 倍希釈 6 倍希釈 8.0µl 4.0µl 2.0µl 1.3µl 200–500ng 200–500ng 200–500ng 200–500ng 3.2pmol 3.2pmol 3.2pmol 3.2pmol 0µl 2.0µl 3.0µl 3.4µl 20µl 20µl 20µl 20µl 溶液量 * Terminator プレミックスは 2.5 ×の溶液です。 ** 希釈バッファーは 5 ×の溶液です。 10 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com www.promega.co.jp V. 困ったときには・・・(つづき) 症 状 考えられる原因 コメント プラスミド DNA の収量が少ない 形質転換されていない大腸菌 液体培地と寒天培地の両方に抗生物質 による大腸菌培養液の過培養 を加えたことを確認してください。 大腸菌の培養液が古い 抗生物質を含む培地に、一晩培養した プレートから新鮮な単一のコロニーを 接種してください。37℃で12~16時 間培養してください。 低コピー数プラスミドを使 使ったプラスミドのコピー数を確認し った てください。高コピー数プラスミドを 推奨します。 プラスミド DNA の収量が アガロースゲル電気泳動 / エチジウム 正確に定量されていない ブロマイド染色により確認してくださ い。分光光度計をもちいた定量結果の みを当てにしないでください。 プラスミド DNA にニックが入る。 アルカリ溶解ステップのイ Lysis Solution と Alkaline Protease ンキュベーションが長すぎる Solutionを大腸菌溶解液に加えたとき のインキュベーションは、それぞれ 5 分以内にしてください。 蛍光自動シークエンシングで長 シークエンス反応に加えた 新しく単離した大腸菌のコロニーを新 く読めない DNA 量が少なすぎる しい LB 培地に接種してください。プ ラスミド DNA を精製し、アガロース ゲル電気泳動 / エチジウムブロマイド 染色で定量してください。 DNA の溶出に TE buffer を もう一度プラスミド DNA を精製し、 使った Nuclease-Free Water で溶出してくだ さい。 プラスミドの濃度が正しく プラスミド DNA の正確な定量にはア 定量されていない ガロースゲル電気泳動 / エチジウムブ ロマイド染色を使ってください。 制限酵素で消化されない 制限酵素の濃度が低い、 制限酵素の量を増やす、またはイン または処理時間が短い キュベーション時間を延ばしてくださ い。使っている制限酵素の最適温度と 最適バッファーで消化してください。 持ち越した塩を除くためにプラスミド DNA のエタノール沈殿を行ってくだ さい。 ゲノム DNA が混入している ボルテックスや撹拌のしす ゲノム DNA のせん断を避けるため ぎによりゲノム DNA が混入 Lysis Solution を加えた後にサンプル している をボルテックスしないでください。 誤った試薬を使った 使用前に Column Wash Solution をエ タノールで希釈したことを確認してく ださい。注 意:Wizard® PlusとWizard® SV Plusの試薬に互換性はありません。 ゲル電気泳動で確認した DNA 収量 分光光度計の読み値を上げ フェノール:クロロホルム抽出とエタ が、分光光度計の結果に比較して る混入物が溶出された DNA ノール沈殿を行い、70% エタノール 低いように見られる に存在する で洗浄後に、再び分光光度計による測 定を行ってください。最も正確な定量 結果を得るためにはアガロースゲル電 気泳動 / エチジウムブロマイド染色に よって DNA の定量を行います。 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com 11 www.promega.co.jp VI. バッファーと溶液の組成 10 × TE buffer 100mM Tris-HCl (pH 7.5) 10mM EDTA LB medium 10g casein peptone 5g yeast extract 5g NaCl 15g agar (寒天培地作成時のみ) 1Lの蒸留水に溶解する。オートクレーブ し、55℃まで冷ましてから抗生物質を加 える(表 1 を参照)。 VII. 関連製品の紹介 Wizard® SV 96 Plasmid DNA Purification Systems 製品名 サイズ カタログ番号 Wizard® SV 96 Plasmid DNA Purification System(a) 1 × 96 回分 A2250 5 × 96 回分 A2255 Wizard® SV 96 Cell Resuspension Solution 500ml A7113 Wizard® SV 96 Cell Lysis Solution 500ml A7123 Wizard® SV 96 Neutralization Solution 500ml A1481 Wizard® SV 96 Wash Solution 185ml A1311 Wizard® SV 96 DNA Binding Plates 10 枚入 A2271 Wizard® SV 96 Lysate Clearing Plates 10 枚入 A2241 Vac-Man® Laboratory Vacuum Manifold 20 個口 A7231 Vac-Man® Laboratory Vacuum Manifold 2 個口 A7660 Vac-Man® 96 Vacuum Manifold 96 ウェルフォーマット A2291 Vacuum Miniprep Adapters 20 個 A1331 SV Total RNA Isolation System(d) 50 回分 Z3100 SV Total RNA Isolation System, Trial Size 10 回分 Z3101 VIII. 参考文献 1. Guntelberg, A.V. and Otteson, M. (1954) Compt. Rend. Trav. Lab. Carlsberg 29, 36. 2. Aehle, W. et al.(1993) Rational protein engineering and industrial application: structure prediction by homology and rational design of protein-variants with improved ‘washing performance’—the alkaline protease from Bacillus alcalophilus. J. Biotechnol. 28, 31. 3. van der Osten, C. et al.(1993) Protein engineering of subtilisins to improve stability in detergent formulations. J. Biotechnol. 28, 55. 4. Vetter, R. et al. (1994) Highly alkaline proteases. U.S. Pat. No. 5,352,603. (October 4, 1994). 5. Shetty, J.K., Patel, C.P. and Nicholson, M.A. (1995) Method of preparation of purified alkaline protease. U.S. Pat. No. 5,439,817. (August 8, 1995). 6. Kahn, M. et al. (1979) Plasmid cloning vehicles derived from plasmids ColE1, F, R6K, and RK2. Meth. Enzymol. 68, 268. 12 プロメガ株式会社 テクニカルサービス部 Tel. 03-3669-7980 prometec@jp.promega.com www.promega.co.jp このプロトコールは、このキットを使ったことがあるユーザーが流れを追うことを目的に作成されてい ます。初めてお使いになる方は本文のセクション III を参照してください。 大腸菌溶解液の調製 1. 大腸菌溶解液の調製 大腸菌培養液を 10,000 × g で 5 分間遠心し、大腸菌をペレットにする。 (セクション III.B) 2. 250µl の Cell Resuspension Solution を加え、各サンプルを完全に懸濁する。 3. 250µl の Cell Lysis Solution を各サンプルに加え、4 回の転倒混和により攪拌。 4. 10µl の Alkaline Protease Solution を加え、4 回の転倒混和により攪拌。室温で 5 分間インキュベート。 5. 350µl の Neutralization Solution を加え、4 回の転倒混和により攪拌。 6. 最高速度で室温、10 分間遠心。 プラスミド DNA の結合 遠心法による精製: 吸引法による精製: (セクション III.C) 1. Spin Column を Collection Tube 1. マニホールドのポートに Miniprep に挿入する。 Vacuum Adapter を取り付け、 2. 大腸菌溶解液を準備した Spin Adapter Tube にSpin Column を再び Column に移す。 挿入する。 3. 最高速度で室温、1 分間遠心。 2. 大腸菌溶解液を準備したSpin Column 通過した液体を捨て、Collection に移す。 Tube に Spin Column を挿入する。 3. 吸引により、カラムに液体を通過さ せる。すべての液体がカラムを通過 した後、吸引を止める。 洗 浄 遠心法による精製: 吸引法による精製: (セクション III.C) 4. エタノールで希釈済みの 750µl の 4. エタノールで希釈済みの 750µl の Wash Solution を加える。 Wash Solutionを加える。カラムに液体 5. 最高速度で室温で 1 分間遠心。 を通過させるために吸引する。 通過した液体を捨て、Collection Tube 5. 吸引を止め、250µl Wash Solution を加 に Spin Column を再び挿入する。 え、ステップ 4 を繰り返す。 6. 250µl Wash Solution を加え、ステ 6. 吸引を 10 分間続けて、Spin Column を ップ 5 を繰り返す。 乾かす。 7. 最高速度で室温、2 分間遠心。 7. Spin Column を 2ml Collection Tube に 移し、最高速度で 2 分間遠心。 溶 出 8. Spin Column を滅菌した 1.5ml 微量遠心チューブに移す。 (セクション III.C) 9. DNAを溶出するために、100µlのNuclease-Free WaterをSpin Columnに加える。 最高速度で室温、1 分間遠心。 10.DNAの溶出後、1.5ml微量遠心チューブからSpin Columnをはずし、Column を廃棄する。 11.DNA を –20℃または –20℃以下で保存する。TE バッファー中に保存するに   は、10µlの10×TE バッファーを溶出したDNAに加える。TE バッファー中 ならば 4℃に保存できます。 Wizard® Plus SV Minipreps DNA Purification System: 簡易プロトコール