アポトーシス基本情報
- アポトーシスにおいて何がイベントの進行を示しますか。またその研究のためにどのようなプロメガ製品が利用できますか?
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プログラムされた細胞死に対する興味の高まりは、アポトーシスを検出するための多くの手法の発達をもたらしました。プロメガは、Anti-ACTIVE® Caspase-3 pAb、Anti-PARP p85 Fragment pAb、Caspase™ FITC-VAD-FMK In Situ Marker、DeadEnd™ Fluorometric TUNEL System、DeadEnd™ Colorimetric Apoptosis Detection SystemおよびCaspACE™ Assay Systems, Colorimetricを含む、様々なアポトーシス検出のための抗体や製品を提供しています。これらのシステムのそれぞれの技術的な基礎を簡単に説明し、アポトーシスと関連する特異的な細胞イベントを評価するための各製品の有用性にハイライトをあてました。
アポトーシスは様々な刺激によって引き起こされます。そのような刺激はi) レセプター媒介型 とii)化学物質媒介型の2つの広いグループに分けられます。レセプター媒介型のアポトーシスの典型的な例はFas(CD95/Apo-1)レセプターに結合するFas Ligand(あるいは抗Fas抗体)です。これによりFas レセプターの三量体形成と、FADD/MORT1(Fas-Associated Death Domain)とTRADD(TNF Receptor-Associated Death Domain)のようなレセプターあるいはアダプタータンパク質の細胞内ドメインの移行がもたらされます。それに応じて、これらのアダプターの死作動体ドメイン(DED)はプロカスパーゼ-8のN末端の対応するDED領域と相互に作用します。これによりプロカスパーゼ-8の切断がもたらされ、活性化型のカスパーゼ-8が産生されます。カスパーゼ-8がFas誘因性のアポトーシスのために必要とされることを示している遺伝学的証拠と、それがすべての他の周知のカスパーゼを活性化できるというin vitro の証拠をあわせて、カスパーゼ-8がレセプター媒介型アポトーシスのイニシエーターカスパーゼとして示唆されています(2,3)。活性化型のカスパーゼ-8は、カスパーゼカスケードにおいていわゆる作動体カスパーゼ(例えばカスパーゼ-3と-7)を切断して、活性化します。さらに、活性化型のカスパーゼ-8はBid(プロアポトーシスの Bcl-2ファミリーメンバー)を切断することができ、それにより切断されたBidはミトコンドリアに移送され、続いてチトクロームC(4,5)の放出がもたらされます。放出されたチトクロームCは、dATPの存在下でApaf-1と複合体を形成します。この複合体は移送され、プロカスパーゼ-9を切断して活性化したカスパーゼ-9を産生します(6)。活性化型のカスパーゼ-9は直接作動体カスパーゼを活性化するためにカスパーゼ-8とともに働きます。
化学物質媒介型アポトーシスでは、ミトコンドリアからのチトクロームC放出がカスパーゼ活性化の前に起こります。この放出は、Bidのプロアポトーシスタンパク質Baxとの相互作用のような、Bidの切断とは独立したメカニズムに起因すると考えられます(7)。チトクロームCの放出に続いて、レセプター媒介型アポトーシスで上に記述されているのと同じような方法で、カスパーゼ-9が活性化されます。
両方の例で、後期のアポトーシスイベントは作動体カスパーゼの活性化の後に起きます。これらのイベントには細胞膜外部表面におけるホスファチジルセリンの露出(Annexin V結合)、Poly(ADP-ribose)Polymerase(PARP)の切断および染色体DNAの断片化が含まれます。
プロメガではアポトーシスの初期と後期両方の研究のために複数の製品を揃えています。CaspACE™ Assay System, Colorimetric(カタログ番号G7351、G7220)は、アポトーシス細胞におけるカスパーゼ-1あるいはカスパーゼ-3の活性を測定するために使用されます。さらに、新製品のAnti-ACTIVE® Caspase-3 pAb(カタログ番号G7481)は、アポトーシス細胞で活性化型のカスパーゼ-3を免疫細胞化学により検出するために使用できます。直接アポトーシス細胞をラベルするためには、CaspACE™ FITC-VAD-FMK In Situ Marker(カタログ番号G7461、G7462)を使うことができます。この製品はパン-カスパーゼ阻害剤VAD-FMKの細胞透過性のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合体で、不可逆的に活性化型カスパーゼに結合するため、アポトーシス細胞をin situで特異的に標識できます。同様に、細胞透過性のパン-カスパーゼ阻害剤、Caspase Inhibitor Z-VAD-FMK(カタログ番号G7231、G7232)は、アポトーシスにおけるカスパーゼ依存性経路とカスパーゼ非依存性経路を研究するためにすぐご利用いただけます。
チトクロームC局在の研究のために、プロメガはチトクロームCに対してのネズミモノクローナル抗体、Anti-Cytochrome C mAb(カタログ番号G7421)を提供します。一般に、ミトコンドリア特異的ダイ(例えばCMX-rosamine)を使った二重染色法が行われます。非アポトーシス細胞で、チトクロームC標識は斑点状のCMX-Rosamine の染色を反映する染色となるはずです。アポトーシス細胞では、チトクロームCは放出されているため、染色のこの同局在性は見られなくなります。チトクロームCは細胞質中に放出されると不安定になるため、多くの場合まったく染色が確認されない可能性があります。したがって、使われた染色条件がどんな存在するチトクロームCでも検出することが可能であることを示すために、非アポトーシスのコントロールを使うことが重要です。
アポトーシス後期の研究のために、PARPのp85カスパーゼ分解産物をプロメガのAnti-PARP p85 Fragment pAb*(カタログ番号G7341)を使って同定することができます。この製品は免疫細胞化学染色用にデザインされていて、PARPの切断型を特異的に識別します。この抗体はインタクトな完全長のPARPタンパク質を認識しません。したがって、この抗体で陽性に染色された細胞はアポトーシスを起こしていることを示しています。最後に、プロメガではアポトーシスの顕著な特徴とされるDNAの断片化を調べる2つのTUNEL法キットも提供しています。DeadEnd™ Fluorometric TUNEL System(カタログ番号G3250)は、断片化DNAの3'-OH末端にフルオレセイン-12-dUTP*を加えるためにターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Tdt)を使います。この標識は蛍光顕微鏡あるいはFluorescent Activiated Cell Sorting(FACS™)分析を使って視覚化されます。比色定量法のアッセイの方を希望する研究者のために、DeadEnd™ Colorimetric Apoptosis Detection System(カタログ番号 G7130、G7360)では、断片化されたDNAの3'-OH末端をビオチン化されたヌクレオチドでラベルします。ビオチン化された断片はその後ストレプトアビジン- HRP結合体と沈殿性のHRP基質(DABと過酸化水素)により検出できます。アポトーシスを起こしている核は標準的な光学顕微鏡下で視覚化され、茶色に見えます。
CellTiter 96R AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(カタログ番号G3580、カタログ番号G3581、カタログ番号G3582)は、テトラゾリウム化合物MTSを着色されたホルマザン産物に還元する細胞の能力を測ることによって、細胞生存度についてのin vitro の情報を提供します。活発な細胞代謝により、テトラゾリウム還元に必要なNADHのような還元物質の生成がもたらされます。着色されたホルマザン産物へのMTSの変換の増加は、生存する細胞数の相対的な指標となり、減少は細胞死の相対的な指標となります。
最近、カスパーゼ-8の1番目の死作動体ドメイン(DED)がそのカスパーゼ活性に依存せずにc-Jun N-terminal kinase(JNK)経路を活性化することができること、そして同じくこのような活性化を阻止するこのドメインにおける突然変異がFasレセプターによって媒介されるアポトーシスを阻止するということが明らかにされました(8)。したがって、JNK はアポトーシスにおいても何らかの役割を演じている可能性があります。JNK経路の分析のために、プロメガはAnti-ACTIVE® JNK pAb, Rabbit (カタログ番号V7931とV7932)を提供します。この抗体はウェスタン分析と免疫細胞染色の両方で使うことができます。 (eNotes - FAQ)
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