Ribo m7G Cap Analog
- ライセートを使ったin vitro翻訳を行う場合、cap付加された転写産物はcap付加されていない転写産物よりも効率的に翻訳されますか?
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Rabbit Reticulocyte Lysate(RRL)やWheat Germ Extract(WGE)で翻訳反応を行う場合、効率的な翻訳のためにほとんどの転写産物でcap構造を必要としません(1,2,3)。cap付加されていないRNAでも翻訳反応に加える量を増やすことでタンパク質合成量はcap付加されたRNAと同等になります(4)。
RRLでは最大刺激レベルより20mM上の濃度のKClにおいて、キャップ付加されていないRNAからのタンパク質合成に最適な条件を示します(5)。
RRLでの翻訳はmRNAのcap構造の存在に比較的影響されません。しかし、一般的に知られているRNA結合タンパク質(hnRNP A1, La, hnRNP 1/PTB, p50)を加えることにより、RRLにおける翻訳にcap構造が必要となることをSvitkinらの研究グループは発見しました。これらのタンパク質はcap付加されていないmRNAの翻訳を著しく阻害します。一方、cap付加されたRNAの翻訳には影響しません(6)。著者らは細胞質に存在するこれらRNA結合タンパク質の機能の一つとして、5’末端のcap構造を介した機構によりリボソームの結合を促し、誤った翻訳開始点からの開始を妨げているのではないかと考えています。
RRLとWGの翻訳キットでは、cap付加された転写産物の翻訳効率が上がることもあります(2,3,7)。例えば、dihydrofolate reductaseのmRNAの翻訳をRRLで行った場合、cap付加されたRNAがcap付加されていないRNAの4~8倍のタンパク質を発現することをRestoらは観察しました(8)。(PN74-Q&A)
- Dasso, M.C. and Jackson, J. J. (1989) Nucl. Acids Res. 17, 3129.
- Rabbit Reticulocyte Lysate Systems Technical Manual #TM232, Promega Corporation.
- Wheat Germ Extract Technical Manual #TM230, Promega Corporation.
- Gurevich, V.V. et. al. (1991) Anal. Biochem, 195, 207.
- Kozak, M. (1990) Nucl. Acids Res. 18, 2828.
- Svitkin, Y.V. et al. (1996) EMBO J. 15, 7147.
- RiboMAX™ Large Scale RNA Production Systems - SP6, T3, T7 Technical Bulletin #TB166, Promega Corporation
- Resto, E. et al. (1992) Nucl. Acids Res. 20, 5979
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