MEK Inhibitor U0126

MEK Inhibitor U0126とはどのようなものですか?またPD98059とのとの違いは?

MAPキナーゼキナーゼ1及び2(MEK1/2)はERK1/2をリン酸化して活性化させる酵素です。MEK Inhibitor U0126(カタログ番号V1121)は新規のMEK1/2の選択的阻害剤です。PD098059と同じく、U0126はMAPKの活性化を阻害します。U0126は有機化合物の一種(1,4-diamino-2,3-dicyano-1,4-bis[2-aminophenylthio]butadiene;MW= 426.5)で、MEKに非競合的に結合して触媒活性を阻害することにより、ERKのリン酸化による活性化を妨げます。しかもMEK1およびMEK2を同等に阻害します(in vitroでMEK1に対するIC50=72nM、MEK2に対するIC50=58nM)(1-3)。一方、MEK inhibitor PD98059は、RafによるMEK1の活性化を妨げる阻害剤です(PD98059はMEK2の阻害効果はほとんどありません:in vitroでMEK1に対するIC50=4μM、MEK2に対するIC50=50μM)。PD98059 は不活性型のMEK1に結合し、Rafによるリン酸化を妨げます。しかし、すでに活性化しているMEK1にはほとんど作用しません。つまり、U0126はMEK1/2の活性状態によらず、ERK1/2の活性化の下流にある酵素の活性化を阻害します。さらに、U0126はPD98059よりもin vitroおよびin vivoの両方で高い阻害効果を示します。細胞内でU0126はIC50値0.07μMで安定に活性型MEK2を阻害します。一方、PD98059のIC50値は5.00μMよりも大きくなります。IC50値はキナーゼの種類や細胞種によってそれぞれ異なります。(PN76-Q&A)(eNotes-FAQ0005)

参考文献:

  1. Dudley, D.T. et al. (1995) A synthetic inhibitor of the mitogen-activated protein kinase cascade. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 7686.
  2. Alessi, D.R. et al. (1995) PD 098059 is a specific inhibitor of the activation of mitogen-activated protein kinase kinase in vitro and in vivo. J. Biol. Chem. 270, 27489.
  3. Favata, M.F. et al. (1998) Identification of a novel inhibitor of mitogen-activated protein kinase kinase. J. Biol. Chem. 273, 18623.

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