Dual-Glo™ Luciferase Assay System・Dual-Luciferase® Reporter Assay System

レポータートランスフェクションの結果を標準化することは、なぜ必要なのですか?また、どのような内部標準ベクターを使うのが最も良いですか?

真核細胞における一過的なレポータータンパク質の発現は、遺伝子発現の様々な側面を分析する強力なツールです。多くの場合、遺伝子発現の制御に関わる調節因子は、レポーターベクターにクローニングされ、調節因子が遺伝子発現に及ぼす影響を調べるためにこれらのキメラベクターが細胞にトランスフェクトされます。一般的なレポーター遺伝子には、ホタルルシフェラーゼや、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)、グリーン・フルオレセント・プロテイン(GFP)、βーガラクトシダーゼが含まれます。トランスフェクトされた細胞にさまざまな処理を与えることで、これらの処理がレポーター遺伝子の発現に及ぼす影響を測定できます。

ほかの要因も一時的な発現の研究から得られる結果に影響を与えます。これらの要因には、レポーター・アッセイ試薬の多様性と共に、(1)培養細胞の数や健康度の違い、(2)細胞のトランスフェクション効率や(3)細胞溶解の効率の違いが含まれます。これらの要因を補うために、2番目のレポーターベクターがトランスフェクション実験に取り入れられます。これにより、実験のためのレポーター遺伝子の発現がコントロール・レポーター遺伝子の発現で標準化されます。標準化のためのベクターは、実験のためのレポーターベクターに対して行われる処理に反応しないプロモーターの転写調節下に、レポーター遺伝子を含みます。実験のためのレポーターの活性をコントロール・レポーターの活性で標準化することで、レポーターアッセイで問題とされるアッセイ毎のばらつきを取り除きます。
以下の表は、Dual-Luciferase® Reporter Assay Systemを使っている典型的なトランスフェクション実験で得られるデータの抽出標本を示しています。

表 Dual-LuciferaseR Assay Systemを用いたトランスフェクション実験における活性定量

Day1
Treatment
Replicate
Luciferase Activity (RLU) Ratio
(F:R)
Normalized Fold
Change in Activity
Firefly (F) Renilla (R)
Control        
1 5,128 2,511    
2 7,553 3,815    
3 10,555 5,413    
  7,745 3,913 1.98 1.00
Treatment A        
1 51,376 4,467    
2 40,712 3,574    
3 88,787 7,654    
  60,292 5,232 11.52 5.82
Treatment B        
1 587,635 5,144    
2 988,347 8,832    
3 409,881 3,564    
  661,954 5,847 113.21 57.18
Control treatment = no treatment; RLU = relative light units, Except for the final column, values in boldface type are averages.
Day2
Treatment
Replicate
Luciferase Activity (RLU) Ratio
(F:R)
Normalized Fold
Change in Activity
Firefly (F) Renilla (R)
Control        
1 15,529 20,433    
2 21,897 30,841    
3 10,760 13,620    
  16,062 21,631 0.74 1.00
Treatment C        
1 850,239 20,843    
2 578,951 14,830    
3 943,873 21,788    
  791,021 19,154 41.30 55.81
Treatment D        
1 14,865 19,305    
2 8,967 12,284    
3 13,767 20,246    
  12,533 17,278 0.73 0.99
Control treatment = no treatment; RLU = relative light units, Except for the final column, values in boldface type are averages.


トリプリケートで同じ種類の細胞に、同じホタルルシフェラーゼ遺伝子を含む、実験のためのレポーターベクターと、内部標準としてTK(tymidine kinase)プロモーターの支配下にあるウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を含むコントロール・レポーター・ベクターを共トランスフェクションしました。ルシフェラーゼのレポーター活性は、同じ組の中でかなり大きく変わります(例えばDay2コントロールのホタルルシフェラーゼの活性は10,000~21,000RLUの範囲にあります)。しかし、ホタルとウミシイタケルシフェラーゼの活性の比率を求めると、様々なレプリケートの値が標準化され、お互いに近似の比率となります(例えば、0.76、0.71、0.79)。

下記の等式は、活性の標準化した倍率の変化を決めるために使われます。

(F/R)sample
ΔFold Activity = ――――――――
(F/R)control
 
Fはホタルルシフェラーゼの活性で、Rはウミシイタケルシフェラーゼの活性

例えば、Day2の処理Cは、次のようになります。

(791,021/19,154)
ΔFold Activity = ―――――――――――
(16,062/21,631)
(41.30)
= ―――――
(0.74)
= 55.81

ホタルルシフェラーゼとウミシイタケルシフェラーゼの活性の比率が実験間で異なるため、トランスフェクション実験間のデータを比較するには、共通のサンプル(コントロールトランスフェクションの繰り返し)が含まれるようにします。

この例が表に示されています。例えば、Day1のコントロール処理のホタルルシフェラーゼとウミシイタケルシフェラーゼの活性の比率は、1.98です。一方、Day2の比率は0.74です。2日間に共通のサンプルを行わず、結果を標準化するために、最初の日のトランスフェクション実験のコントロールの結果に頼らなければならないとすると、処理Cの活性は処理Bで得られた活性のわずか37%になります。しかし、コントロール処理が両方の日に行われ、活性がその日のコントロールの結果で標準化されると、処理Bと処理Cは、同じ活性の増加になります。このように、正確な比較をするためには、異なるトランスフェクション実験間で変化しない処理を含めることが必要になります。「共通」のトランスフェクションで使用される2つのプラスミドの相互の活性は、実験間で変化しないと仮定されています。

適切な内部標準ベクターの選択は、レポーターベクターの項目のpRL, phRL, phRG をご参照ください。

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